蓮杖那智シリーズのなかで出てくる「国家的陰謀」のもとは何か?と思っていたら、この「暁の密使」らしいということがなんとなくわかったので読んでみた。
主人公の能海寛(のうみゆたか)は仏教者である。
彼は、明治の廃仏毀釈によって廃れかけている仏教を救うため、仏教の聖地であるチベットへ向かう。
しかし、チベットは当時鎖国をしていて容易に入国できそうにもない。
また、そうでなくてもその旅程には大きな困難がある。つまり高山やら砂漠やら、そして盗賊などの出没。
それでも能海は行きたいと所属する東本願寺の上層部に何度も願いをだす。
しかし、許可されない。
それでも、彼は仏教のほかに英語、中国語を学び、更に高山対策として富士山登山を行う。
そして、ある日、ごくあっさりと許可される。
能海は中国に渡り、長江を遡り漢口・重慶・成都を経て、チベットの首都ラッサを目指す。
というならば、単に仏教者の苦難の道のり、という物語なのであるが、明治期のチベットがもつ世界的価値にまつわる、各国の思惑と陰謀が絡むのである。
更に、日本がもっている思惑が能海の旅をややこしくさせる。
能海寛は実在し、チベットを目指して志半ばで斃れた。
ということで、この物語は実在の人物と架空の人物が入り乱れて進む。
「面白い」といえば面白い小説で、一気に読んでしまった。
ただし、日本がたくらんだ陰謀というのにどうも腑に落ちない。そんな陰謀がこの物語の柱になるのか?と思った。
そのあたりが、もうひとつピンとこなかったのであるが、こういう人物がいたのか、という驚きで読み終えたのであった。
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彼は、明治の廃仏毀釈によって廃れかけている仏教を救うため、仏教の聖地であるチベットへ向かう。
しかし、チベットは当時鎖国をしていて容易に入国できそうにもない。
また、そうでなくてもその旅程には大きな困難がある。つまり高山やら砂漠やら、そして盗賊などの出没。
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そして、ある日、ごくあっさりと許可される。
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というならば、単に仏教者の苦難の道のり、という物語なのであるが、明治期のチベットがもつ世界的価値にまつわる、各国の思惑と陰謀が絡むのである。
更に、日本がもっている思惑が能海の旅をややこしくさせる。
能海寛は実在し、チベットを目指して志半ばで斃れた。
ということで、この物語は実在の人物と架空の人物が入り乱れて進む。
「面白い」といえば面白い小説で、一気に読んでしまった。
ただし、日本がたくらんだ陰謀というのにどうも腑に落ちない。そんな陰謀がこの物語の柱になるのか?と思った。
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