読書日記 嘉壽家堂 アネックス

読んだ本の感想を中心に、ひごろ思っていることをあれこれと綴っています。

名残り火 -てのひらの闇Ⅱ- 藤原伊織 文春文庫

2010-07-10 10:33:04 | 読んだ
久しぶりの投稿である。
長い間ブログの更新をしていないと「投稿」が「投降」になってしまっているようで、なんだか心苦しいのであるが・・・

しかし、この「心苦しい」というのは誰に対してなんだろうか?
つまりは自分にとってなんだろうけれど、なんだか『読者』を意識しているようで、それはそれなりに恥ずかしい。

前回からの期間、というよりは6月中旬からやっかいな事件に巻き込まれている。
そんなときこそ、気分転換・ヒーリング・活力増進のために『読書」が必要なのだが、読みたくない気持ちになってしまったのである。
また、楽天イーグルスも負け続け(やっと前節のロッテ3連戦を3連勝したが)、我が草野球チームもソフトボールチームも負けが込み、なんとなく「やれやれ」という気持ちであった。

それでも、細々とこの「名残り火」を読んではいたのである。

藤原伊織の小説は一気呵成に読むのが通常であった。
眠るのを放っておいて、ベットサイドの灯だけで読むのがよかった。

それが今回は続けることが出来なかった。
おかげで、何度もページを遡ることが必要だった。

さて、この小説は『てのひらの闇Ⅱ』とあるように、続編というかシリーズものである。
別冊文芸春秋に発表当時は読んでいたのだが、なにしろ別冊文芸春秋は季刊であるので、そのうちフェードアウトしてしまったのである。

ちなみに「てのひらの闇」は2002年11月17日にその感想を書き留めている。

物語の主人公は「堀江雅之」
経営コンサルタントのような仕事「堀江企画」を経営している。といっても彼一人なのだが。

藤原作品の主人公たちは、カッコイイのか悪いのか、いい奴なのか悪い奴なのか、優秀なのかダメなのか、敏感なのか鈍感なのか、はっきりしない。
ハッキリしているのは、自分のこととなると優柔不断になるくせに他のこととなると果断(すぎる場合もある)になることである。

堀江も、無頼風にしていて、礼儀を失してはいけないところではちゃんとした気遣いをする。

今回の物語は、堀江が以前勤めていた飲料メーカーの同僚で親友の柿島が死んだことが発端である。
「親父狩り」に遭遇して死んだ。
というのが最初の設定であるが、そこには多くの疑問がある。

その疑問に対する回答を堀江が探すのである。

その協力をするのが。会社勤務をしていたときの部下「大原真理」
この大原がいいのだ。前回のてのひらの闇でも大活躍した。

また堀江が通うというか入り浸っている目黒のバー「ブルーノ」のママ『ナミちゃん』も味がある。

そして柿島の細君・柿島奈穂子は非常に魅力的である。

藤原作品に登場する女性は、非常に魅力的か非常にどうでもいいかの2パターンである。普通の女性は登場しない、といってもいい。

更に、今回は、堀江の仕事の関係で知り合った、食品メーカーの社長・三上も個性的で魅力的なキャラクターである。

さて、物語の本筋である柿島の死は、やはり殺人であった。
その原因は何か、時代を遡り柿島夫妻の過去に起因するのであるが・・・
結末は、凄まじい、のひとことである。

それにしても藤原伊織が亡くなったのは残念である。
このシリーズはまだまだ続きそうであった。

文庫解説の吉野仁の言葉が、文庫の帯に書かれている。

『すぐれた作家の作品は容易に滅びることがないばかりか、再読するごとにあらたな感慨をもたらすものだ。読者が作品を読むかぎり、作者はいつまでも生きているのである』

だから読書はやめられない。

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