読書日記 嘉壽家堂 アネックス

読んだ本の感想を中心に、ひごろ思っていることをあれこれと綴っています。

幕末史 半藤一利 新潮文庫

2013-07-21 23:50:14 | 読んだ
司馬遼太郎の小説を読むにあたって「竜馬が行く」を最初に読むのか「燃えよ剣」を先に読むのかによって、その人の歴史観が変わるという話を聞いたことがある。

武田鉄矢は「竜馬が行く」を読み、大の坂本竜馬好きになった。
私は「燃えよ剣」を最初に読んだので、幕末に関する考え方は「佐幕」である。燃えよ剣を読んで新撰組に目覚め、さらに子母澤寛の「勝海舟」を読んだので、どうしても幕府側につきたい。

もちろん、時代の流れとしては徳川幕府は断末魔の状態であった。幕府を取り巻く環境が大きく変化していくことに組織は追いついていけない状態、つまり制度疲弊の状態であって、つぶれる状況ではあった。
それは認めるが、つぶれ方の問題である。

どう考えても、薩長のやり方は酷い、下品であった。
また、幕府はあまりにも正直に形式にこだわりすぎた。

というような考え方をする私にとって、半藤一利さんの書かれる幕末物は、そうだ!そうだ!と大きな声に出して叫びたいものである。

今回の幕末史の文庫本帯には

「というわけで、これから私が延々と皆さんに語ることになります幕末から明治11年までの歴史は『反薩長史観』となることは請合いであります。あらかじめ申し上げておきます。そう、『幕末のぎりぎりの段階で薩長というのはほとんど暴力であった』と司馬遼太郎さんはいいます。私もまったく同感なんです。」

と、本書の一部を紹介している。

私は「暴力と謀略」で討幕となったんだと思う。
勝海舟と西郷隆盛の会談で、江戸総攻撃が中止されたというのは、幕府側が薩長側の暴力と謀略を咎めたのではないかと思う。
あんたたちがそう出るなら、こちらも、徹底して下品に戦うよ。
ということを示したのではないかと思っている。

江戸時代に築かれた武家文化の上品さが明治になって相当薄れ、さらに大正・昭和・平成と下品度が増してきたと思う。
それは、明治維新の功罪の罪の一つだと思う。
しかし、そのあたりは、やっぱり勝ったほうが歴史を握るので、大きな声で語られないのではないか。

そのところを、この「幕末史」は描いている。
薩長卑怯なり!
幕府は情けない。
というのが、この本を読んでの感想である。

本日の「八重の桜」は、会津が降伏したところを描いていたが、会津側から描いた物語ということもあるだろうが、会津は上品であった、というように描かれていたように思う。

さて、本日の参議院選挙の結果が出始めているが、どの政党も上品でないのが残念である。上品だと勝てないのかもしれないが、上品さを根本に据えることが大事だと思うのだが・・・

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