読書日記 嘉壽家堂 アネックス

読んだ本の感想を中心に、ひごろ思っていることをあれこれと綴っています。

ローマ人の物語 41・42・43 ローマ世界の終焉 塩野七生 新潮文庫

2012-08-24 21:48:08 | 読んだ
とうとう「ローマ人の物語」終了である。

単行本の世界でも、文庫本の世界でも、とうに終わっていたのであるが、なんだか最後を読む気になれず、文庫の発売から約1年もたってしまった。

ローマ帝国は、西ローマ帝国と東ローマ帝国に分かれている。

紀元前1世紀にユリウス・カエサルによって「帝政」となった以降、ローマは多くの優秀な人材を輩出し、素晴らしい国を作り上げてきた。

しかし、拡張が限界に達すると、どんな優秀な人間がでてきても衰退の一途。

人の力も国の力も限界があるのだ、ということがわかる。

中国の王朝の歴史と同じように、ローマ帝国もまた忠実で優秀な臣下が登場し滅亡を防ごうとするのであるが、外部の敵に滅ぼされるのではなく内部から朽ちていくのである。

その最後の忠臣たちの物語を読むと、こちらは非常に悲しい思いになってしまう。
ローマ帝国の最後の忠臣はローマ人ではなかった、ということが悲しい。

ローマ帝国を滅ぼしたのは、一神教のキリスト教。
何故キリスト教が栄えたかといえば、ローマが平和であったから、と私は思う。

平和というのは堕落への一歩なのかもしれない。
戦が続けば、人の命の大切さを自覚し、愛の尊さも認識するのかもしれない。
平和であると、命よりも愛よりも「欲」が勝るのではないだろうか。

ローマ人の物語全43巻を読み終えて、現代日本について考えさせられた。
一言でいえば、今の日本は「幼い国家」と思う。
ローマ人たちは「大人」であったと思う。ローマ人たちは不平等も不公平も悪も汚れも社会の一部だと認識し、それらを取り除くことも必要だが、それらと仲良く共存することも必要だと考え、社会を作ってきた。

それがローマ帝国の魅力なんだと思う。

いずれこの43巻再読をしてみよう。

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