読書日記 嘉壽家堂 アネックス

読んだ本の感想を中心に、ひごろ思っていることをあれこれと綴っています。

小説新潮1月号

2007-01-19 22:44:06 | 読んだ
「林檎の香」もう2月号がでるというのに1月号です。

小説新潮は連載物が面白く、まずそれを読んで、それからチョイと休んで読みきり物、という読み方をしている。

連載物は、おおむね次の順に読んでいる。(お気に入りの順といってもいい)

「仮想儀礼」第34回 篠田節子
 新興宗教を興した男のお話。興してつぶされていく、今まさにどん底。

「ソロモンの偽証」第50回 宮部みゆき
 中学校で自殺した(とされる)男の子をめぐるお話。
 
この二つともに「いやな奴」が多く出てくる。しかし、客観的に見ていられるからいやな奴なので、現実には多くの者がそういやな奴になっていない、ということに気づく。

「盤上の人生、盤外の勝負」河口俊彦
 将棋指たちの話。このれは常に面白い。小説新潮の隠れた「目玉商品」と思っている。

「警官の血」第8回 佐々木譲
 だんだん面白くなっていく。戦後警察の歴史、というカンジだったが、主人公の心の病もひとつのテーマか。

「風は山河より」第57回 宮城谷昌光
 戦国末期の奥三河の菅沼氏三代を描く。今まで取り上げられたことのなかった武将たちが描かれている。

「知りすぎた男たち」第7回 藤原正彦
 国家の品格の著者が、明治末期からの日本のスパイたちを描く。スパイといっても武士の心を残したさわやかな者である。ちょっと愛国心高揚というものが透けて見えるので<警戒>している。

このほかにも連載ものがあるのだが読んでいないのである。

小説新潮は、実は連載マンガも面白い。

「ムーさん」二階堂正宏
 バカバカしいほどに勘違いをする女たちに持てまくるムーさんがうらやましい。

「同じなのはタイトルだけ 日本・世界文学全集」福山庸治
 日本や世界の名作文学の題名だけ同じで、それをマンガにしている。ムーさんがソノマンマなのに対して難解でシュールである。

さて今月の読みきりは新年号だけあって、読みやすい、というか丁度いいものであった。

「極悪人」曽野綾子
「優雅な生活」三浦しをん
「真面目な関係」阿刀田高
「歌うべきか騙すべきか」岩井志麻子
「宿敵-露の玉垣-」乙川優三郎
「人にやさしく」垣根涼介
「林檎の香」北村薫
「オーディション」鈴木光司
「黒豆」諸田玲子

を読んだ。

お勧めなのは「宿敵」「林檎の香」

この世の中、「誤解」と「勘違い」、「真っ直ぐと」と「曲がったもの」の組み合わせだということが、これらの短編を読むと思い知ることができる。
そんな世の中だから、面白い、のである。

追伸
 今月の「腹立ち日記」の山下洋輔「怒りのハードボイルド」であって、久々に山下洋輔の文に接した。笑ってしまった。

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