小説新潮10月号の特集は「官能小説グラマラス」である。
この巻頭を飾った団鬼六の『旅路の果て-倒錯一代女」は9月27日のブログをご覧ください。
さて「官能小説」とはいったいいかなるものなのか。
先ず「官能」とはなにか
大辞泉では
肉体的快感、特に性的感覚を享受する働き。
となっている。
また「官能小説」とはウィキペディアでは
男女間もしくは同性間での交流と性交を主題とした小説の一ジャンル。ポルノ小説とも。
となっている。
では、この特集の小説はどう「官能」だったか?また「官能小説」だったか?を第1の視点として見てみよう。
スライダーが投げられない 南綾子
ママさんソフトボールチームの投手でありバツイチの主人公は、主将の緑山にいつも「なっさけない」といわれチームをやめようと思っている。
ある日、一人で沖縄料理屋に行くと、その店のマスターが主将の旦那であった。そして主将へのあてつけのようにその旦那と関係を持つ。
まあ、その関係を持つところの描写は通常の小説よりは官能度は高いものの、それよりも物語のほうが面白く、別に官能小説でなければならないとも思えなかった。
犬笛 唯野未歩子
夫に自殺された妻・真樹が母と旅にでる。
思い出すのは、夫と遊んだ「満員電車の中でセックスをする」ということである。
まあ、個々まで到達するまでには、官能的ではないことを思い出しているのであるが・・・。兎も角「官能的」である場面は、この満員電車の思い出なのである。
これは、南綾子の小説よりは官能度は高いが、その満員電車の中のプレイだけを描くともっとよかったのではないかと思う。
この小説も、無理やり「官能小説」にした感が否めない。
エクスワイフ 大石圭
離婚した妻をお金で買う元夫。というのが主題。
妻・亜里沙は「金の亡者」であるが、素晴らしい美貌の持ち主。その美貌に惚れた私と金の亡者で不貞ばかりはたらいている妻との結婚生活は短く終わり、マンションのローンを抱えたまま妻にマンションを取られ、赤いポルシェを売り払って500万円の慰謝料を支払う。
私はもう100万円で亜里沙を鞭打つことを提示する。彼女は承知する。
鞭打つことでも飽き足りなくなった私は、もう100万円を出して・・・
あまり面白くなかった、官能度も私的には低かった。
それは亜里沙に魅力を感じないからである。
くさい。死にたい 三日月拓
小学校5年生の女の子が主人公。彼女の母は売春で生活の糧を得ている。しかし、あまりにも貧乏なるゆえ、主人公は学校へも行かない。
母は彼女の前でも客をとる。客は彼女にも手を出そうとする。
母が客を待つときは「窓を開ける」そしてただいま商売中のときは「窓を閉める」
主人公が一人で部屋にいるときは窓を閉めておかなければならない。そうすると「くさい」のである。そして彼女は思う「死にたい」
この物語りも官能とは言いがたい。
なんだかやるせなくなってくるのである。
ラバーズ・ラヴァー 蛭田亜紗子
主人公のわたし(清花)は地方都市の27歳のモデル。仕事も減ってきている。
わたしの趣味はラバースーツに包まれること。
ラバーフェチの女の子の話である。
なんとなく「うら悲しい」感じなのである。
官能度ということで言えば点数は高めであるが、わたしが望んでいるレベルには達しない。
まとめ
まあ、小説新潮ではこのくらいが限界なのか、と思うのである。
どちらかといえば「官能」を少し強めにだした小説である。
そして、官能度が低いと物語的には面白い。
官能小説、なんていう冠がついていなければ、私的には評価は高い。
官能と人の心の動きは大いに関連している、ゆえにこの組み合わせの物語は面白いと思うのである。
それは、心の動きと官能は決して表に顕わにできないもの、もしくは表に顕したのでは物語にならないからではないかと思うのである。
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この巻頭を飾った団鬼六の『旅路の果て-倒錯一代女」は9月27日のブログをご覧ください。
さて「官能小説」とはいったいいかなるものなのか。
先ず「官能」とはなにか
大辞泉では
肉体的快感、特に性的感覚を享受する働き。
となっている。
また「官能小説」とはウィキペディアでは
男女間もしくは同性間での交流と性交を主題とした小説の一ジャンル。ポルノ小説とも。
となっている。
では、この特集の小説はどう「官能」だったか?また「官能小説」だったか?を第1の視点として見てみよう。
スライダーが投げられない 南綾子
ママさんソフトボールチームの投手でありバツイチの主人公は、主将の緑山にいつも「なっさけない」といわれチームをやめようと思っている。
ある日、一人で沖縄料理屋に行くと、その店のマスターが主将の旦那であった。そして主将へのあてつけのようにその旦那と関係を持つ。
まあ、その関係を持つところの描写は通常の小説よりは官能度は高いものの、それよりも物語のほうが面白く、別に官能小説でなければならないとも思えなかった。
犬笛 唯野未歩子
夫に自殺された妻・真樹が母と旅にでる。
思い出すのは、夫と遊んだ「満員電車の中でセックスをする」ということである。
まあ、個々まで到達するまでには、官能的ではないことを思い出しているのであるが・・・。兎も角「官能的」である場面は、この満員電車の思い出なのである。
これは、南綾子の小説よりは官能度は高いが、その満員電車の中のプレイだけを描くともっとよかったのではないかと思う。
この小説も、無理やり「官能小説」にした感が否めない。
エクスワイフ 大石圭
離婚した妻をお金で買う元夫。というのが主題。
妻・亜里沙は「金の亡者」であるが、素晴らしい美貌の持ち主。その美貌に惚れた私と金の亡者で不貞ばかりはたらいている妻との結婚生活は短く終わり、マンションのローンを抱えたまま妻にマンションを取られ、赤いポルシェを売り払って500万円の慰謝料を支払う。
私はもう100万円で亜里沙を鞭打つことを提示する。彼女は承知する。
鞭打つことでも飽き足りなくなった私は、もう100万円を出して・・・
あまり面白くなかった、官能度も私的には低かった。
それは亜里沙に魅力を感じないからである。
くさい。死にたい 三日月拓
小学校5年生の女の子が主人公。彼女の母は売春で生活の糧を得ている。しかし、あまりにも貧乏なるゆえ、主人公は学校へも行かない。
母は彼女の前でも客をとる。客は彼女にも手を出そうとする。
母が客を待つときは「窓を開ける」そしてただいま商売中のときは「窓を閉める」
主人公が一人で部屋にいるときは窓を閉めておかなければならない。そうすると「くさい」のである。そして彼女は思う「死にたい」
この物語りも官能とは言いがたい。
なんだかやるせなくなってくるのである。
ラバーズ・ラヴァー 蛭田亜紗子
主人公のわたし(清花)は地方都市の27歳のモデル。仕事も減ってきている。
わたしの趣味はラバースーツに包まれること。
ラバーフェチの女の子の話である。
なんとなく「うら悲しい」感じなのである。
官能度ということで言えば点数は高めであるが、わたしが望んでいるレベルには達しない。
まとめ
まあ、小説新潮ではこのくらいが限界なのか、と思うのである。
どちらかといえば「官能」を少し強めにだした小説である。
そして、官能度が低いと物語的には面白い。
官能小説、なんていう冠がついていなければ、私的には評価は高い。
官能と人の心の動きは大いに関連している、ゆえにこの組み合わせの物語は面白いと思うのである。
それは、心の動きと官能は決して表に顕わにできないもの、もしくは表に顕したのでは物語にならないからではないかと思うのである。
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