アメリカの独立記念日そして七夕が終わって夏もこれからであるが、なぜか以前に出会った一人の老人の事を思い出す。
それ程昔の事ではない。ニューヨークの事務所があるビルのある会社の受付にいつも美人の金髪のお姉さんが座っていた、とこがある日その受付にアメリカ人の80歳は超えていると思われる爺さんが座っていた。年は重ねているが背筋は伸びて眼光はしっかりと焦点を捉えて人の良さそうな世話好きそうな爺さん、僕はこの会社のオーナーが遊びに来たのかな?と最初は思っていた。
その後何度も出会うたびに挨拶と軽い言葉を交わした。明るくて質素なその爺さんを見る度に、ふと頭の隅にこの爺さんどんな人生を生きてきたのかな?という事を思わなかったはずはなかったが...。
それからしばらくしたある日、ある軍人の経歴のある年配者と話をしていた時にその爺さんの話題になった。そして彼の口から出た言葉は...『彼は(あの爺さん)若い頃、硫黄島で日本軍と戦った経験があるのだよ。』と、その後少しその場の空気が変わったが、その時から僕はあの爺さんを意識するようになった。
...そう言えばあの爺さん僕に、貴方は日本人ですか?と聞いてきた事があった、その時の爺さんは屈託のないいい笑顔で目には慈悲(愛情感)が感じられたのを覚えている。
その後に何度も爺さんとは出会っているが彼の口からは結局過去の戦争の話を聞く事はなかったし、僕も聞かなかった。
硫黄島
1945年2月~、僅か21平方キロのこの小笠原諸島の孤島に、アメリカ軍約11万人、日本軍約2万3千人が激戦を展開した。
この戦いを日米両国からの視点で捉えた、“硫黄島からの手紙、父親たちの星条旗”は2006年に公開された。
今の時代は戦争時よりも遥かに良い時代である。それはあの老人のように過去に死を観る経験をしたが故に、生に対して明るく取り組む姿勢によって築かれた要素があったからかもしれない。(死を知って生を生きる)
硫黄島(IWO JIMA)黒い砂浜と殺風景な光景を想いながら ....... (排)