9月11日の朝を迎えた。本日も良い天気だ、空の色や風で揺れる木々、そして頬にあたる風には夏の終わりを感じる。空気はあの日と同じである。
10年前の今日の朝、僕はいつものようにマンハッタン(NY)の街を歩いていた。
オフィスのある5番街に差し掛かると複数のパトカーと消防車がけたたましくサイレンを鳴らしながら5番街を南に向かって走って行く。いつもは通勤者の波のうねりが左右に交差するこの時間だが、人々は足を止めて南方にある一つのビルを見上げ指差している。ニューヨークのランドマークであるワールドトレードセンター(WTC)から灰色の不気味な煙がたっていた。僕はその時その現象をビル火事だと思った。
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オフィスに入ってコンピューターのスイッチを入れて、仕事に取り掛かろうとしている時アメリカ人のパートナーが血相を変えて入って来た。
飛行機が突っ込んだんだ!
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...戦争が起こったのだ、僕は避難民。僕は幸いにも対岸のニュージャージーに脱出するフェリーに乗る事が出来た。いつもは先を譲るニューヨークの紳士達もそんな余裕はない、涙を浮かべその高級スーツに灰や埃をかぶった紳士達。フェリーは超満員でマンハッタンを離れていった。
街は崩壊したビルの埃と煙が霧のように覆っていた。
これらの現実が一瞬にして起こった事が衝撃であった。
WTCで働く友人...(安否を祈る)
...それから数時間後だっただろうかB大統領の声明が出た。
アメリカはテロに狙われた、我々は報復の体制に入る。
どのような明日がやって来るのだろうか...誰も答えられない。
暗い時代の幕開けであった。
あの日の朝は忘れる事が出来ない...。