今年もまたこの日が廻ってくる。ニューヨークに住み続ける限りあの日に起こった出来事は意識しなくともリピートされる。セプテンバーイレブン(911)を僕の中でどの様に表現するのかを考えてみた。硬い綺麗な長方形のお餅が荒い金網の上で熱された炭火に炙られて、ぷくーっと膨らんでパスーッ...と弾けたその一こまが911の形容である。お餅は蓄えたエネルギーを放出し、いびつな形となって萎んでいく、そんな感じだろうか。結果、911以後は餅の焼けた匂いに覚醒され、近代世界史に対する見方が変わった。
マンハッタンの対岸にある Hamilton Park, NJ からの眺め。
正面右側の彼方に存在したツゥィンタワーが消えて今はフリーダムタワーに置き換わった。マンハッタンを眺める光景も9月11日が近づくと当時の光景が重なる。街を覆った黒茶色の煙、鳴り響くサイレンの音、そして鼻を突く焦臭い空気の感触。それらはもう忘れる事が出来ない。9月11日を迎える度にあの日に帰ってしまう。
今日のニューヨークは2週間ぶりの雨の日であった。一日中雨が降り続き空はどんよりとした灰色。夕方、運転するランドクルーザーのフロントガラスには大粒の滴が当たり激しく流れていく、フロントやサイドに並ぶ渋滞中の多数の赤いテールランプがフロントガラスを流れ落ちる雨を鮮明な血の色に変えた。それは血と涙が流れていく様な光景であり、左右に動くワイパーはまさに握りこぶしの腕で涙を拭くような感覚であった。
明日はSeptember Eleven。
911イブ(前日)の雨によって ニューヨークのWTCの跡地に美しい虹が架かりました。
...祈、
明日のニューヨークは晴れて欲しいな、って願っている。
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