自分の感受性くらい
ぱさぱさに乾いてゆく心を
ひとのせいにはするな
みずから水やりを怠っておいて
気難かしくなってきたのを
友人のせいにはするな
しなやかさを失ったのはどちらなのか
苛立つのを
近親のせいにはするな
なにもかも下手だったのはわたくし
初心消えかかるのを
暮しのせいにはするな
そもそもが ひよわな志にすぎなかった
駄目なことの一切を
時代のせいにはするな
わずかに光る尊厳の放棄
自分の感受性くらい
自分で守れ
ばかものよ
自分の感受性くらい 茨木のり子 【いばらぎ のりこ】
大正15年6月12日~平成18年2月19日。新鮮ではつらつとした感受性を基底に、高度な批評精神と人間信頼に裏打ちされたヒューマニズムあふれる詩を作った。
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代表詩集
「対話」 昭和30年
「見えない配達夫」 昭和33年
「自分の感受性くらい」 昭和52年
「倚りかからず」 平成11年
ぱさぱさに乾いてゆく心を
ひとのせいにはするな
みずから水やりを怠っておいて
気難かしくなってきたのを
友人のせいにはするな
しなやかさを失ったのはどちらなのか
苛立つのを
近親のせいにはするな
なにもかも下手だったのはわたくし
初心消えかかるのを
暮しのせいにはするな
そもそもが ひよわな志にすぎなかった
駄目なことの一切を
時代のせいにはするな
わずかに光る尊厳の放棄
自分の感受性くらい
自分で守れ
ばかものよ
自分の感受性くらい 茨木のり子 【いばらぎ のりこ】
大正15年6月12日~平成18年2月19日。新鮮ではつらつとした感受性を基底に、高度な批評精神と人間信頼に裏打ちされたヒューマニズムあふれる詩を作った。
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代表詩集
「対話」 昭和30年
「見えない配達夫」 昭和33年
「自分の感受性くらい」 昭和52年
「倚りかからず」 平成11年