よくフランス額装の説明をしても目を白黒される方がほとんどです。異なったものを理解してもらうには軽く3年以上かかると感じます。
今回 南山手美術館にて展示する作品には フランスで古くから伝わっている「ラビィ」という技法を使っています。マットに彩色したり、烏口ペンで線引きしたり。
2010年に訪れたイタリアのトスカーナのブティックは 看板や植木が紫づくしでした。マットに、ホルベインのパーマネントバイオレットで着色し、金色のテープを貼りました。
水彩画をされる方はご自分でマットをつくると 絵を描く意欲もわきますし、絵で行き詰まったら 気分転換のために 額装に逃げ込むことも出来ます。もちろん 額装に行き詰まったら 絵に戻ることも出来ます。また人生に行き詰まったら 絵や、額装に逃げ込むことが出来ます。
最近 透明水彩画の本が何冊も発行されています。みずみずしい透明水彩画の技法をわかりやすく解説した技法書が主ですが、やっと、求めていた本がポピュラーになったなと感じます。30年ほど前には 洋書関係でしか見ることは出来ませんでした。
みずみずしい水彩画をラビィの技法で 額装していると、生徒さんがとても感動してくれます。これまで声をかけてくださったかたは、お二人です。このお二人のおかげで私自身はラビィがとても好きになりました。やはり 実物をお見せしないと「フランス額装は訳がわからない」と相手にしてもらえないことが多いですから。
水彩画の本を見て、何枚も練習したら、透明感のある表現が出来ました。
太陽に照らされて透き通った葉っぱ、輝く花びら・・・こういう自然がきっと絵の具で表現できるのではないか・・・と最近思えるようになりました。あまり 色を重ねずに、水と紙の色 絵の具を少し使って。光と影の明暗をしっかり表現すると 光を描ける気がします。