放送大学で、学んでいます

大学を出ているので、編入で全科生になりました。心理学を中心に学びまして、今は、再入学により、再び学びを始めました。

大山泰宏「人格心理学」第13回「物語に見る人格の変容」

2012年01月12日 | 共通科目
1.教養小説
(01) 教養小説の位置

     Bildungs Roman の訳語 ドイツで盛んになった。 ゲーテからトマス・マンまで 
     
     夏目漱石「三四郎」、下村湖人「次郎物語」

 特徴 立身出世だとか、外的な成功モデルなどが描かれず、内的な成長などを提示している

(02) ドイツの教養主義

<1> 背景

<2> 近代的な個人の形成を目指しているのに、そこでの自我の陶冶は受動的 → 感情移入が可能である → 自己の内的成長につながる

( 3) 教養小説における人格の成長

ヘッセの「デーミアン」を例に挙げて説明されている → 他なるものの存在

2.童話とファンタジー

(01) 神話・民話・童話

他なるものの存在 神話や民話にも見られる

危機との遭遇 → 物語が生まれる

(02)神話や童話から見るこころの変容

<1>極限状態 手なし娘 (手がないことを忘れているような状態=無意識状態 超越的機能)

<2>異質なものとの出会い

    変容の可能性

    排除の可能性

    

    探索のプロセスをとる → 見通しがないから イメージやシンボル的思考をもつことが有用になる

3.神秘主義と錬金術

(01) 錬金術と人格の変容  賢者の薔薇園をめぐって

 錬金術の解釈をめぐる変化  近代合理主義へ結びつく

 受動性 変容のプロセス

(02) 薔薇十字団と人格の成長

たとえば、スピノザが、レンズ磨きの職人であったことは深く結びついているとされる。 光学機器

ここでも、向こうからやってくるとき変容するという指摘がある。

 

[備忘] 下村湖人の「次郎物語」、山本有三の「路傍の石」などの教養小説が取り上げられる。とりわけ、ゲーテの「ヴィルヘルムマイスターの修業時代」が、わたしは好きだが、ここでは、ヘルマン・ヘッセの「デーミアン」が取り上げられ論じられる。また、人格の変容に関して、ユングが提示した「錬金術」の解釈に沿って話が進められる。

なお、変容が生じるときというのは、能動性や自己性を徹底的に失ってしまったときだとする指摘がなされている。

この指摘は、昨年の東日本大震災や原発事故、さらには、無能であった政府の存在が、新たな世界像や自己像の到来を示唆しているように受け取れる。

大山泰宏「人格心理学」第12回「人格の変容」

2012年01月12日 | 共通科目

1.カウンセリングの理論
(01)カウンセリングと心理療法

イ) アメリカの教育分野ではじまる。 社会変化とともに、精神疾患も対象となる。そのため、精神科治療と結びつく。

  心理療法は、医療分野で、精神疾患治療のため用いられてきた。

ロ) 日本での事情 疾患という個人に生じたマイナスや欠損を治療+それをきっかけに自己実現を目指す

(02)ロジャーズの理論

イ) 来談者中心療法(ロジャーズの方法論) 
   ロジャーズの三原則 

  <1> 自己一致 「ありのままの自分」と「自分の自己表象」とが一致していること 

  <2> 共感的理解 クライエントが認知している主観的世界の枠組み(スキーマ)に入り込んで、クライエントの立場から感情や思考、苦悩を理解しようとする態度

  <3> 無条件の肯定 クライエントが自分の話したい問題や感情、テーマを自由に安心して話すことができる面接場面の雰囲気を準備すること

      
      この3条件は、ホームランを打つコツのようなものだとされる。

      
2.カウンセリングの過程

(01) カウンセリングへの導入

    <1> インテイク面接  主訴を聞く 見立てを行う カウンセリングでは、セラピストの主観性が入る 何回も合ううちに、修正され、新たに生成される

    <2> カウンセリングにおける枠 週1回50分 他で会わない 電話しない=リミットセッティング=枠 クライエントの自助努力が促される

    <3> カウンセリングの実例を通した経過説明  導入期→展開期 → 収束期 → 終結

         印刷教材では、自己臭症の例 放送教材では、ポイントの解説 それぞれの時期に分けて解説あり

3.非言語療法

(01) 表現療法

(01)-1 表現療法の種類

 <1> 箱庭療法 放送教材で説明

 <2> 絵画療法 
 <3> その他

(01)-2 表現療法と対象

(02) 遊戯療法 フック-ヘルムートが始めた。 1920年代-30年代。 アンナ・フロイトやメラニー・クライン 心的発達理論とともに発達

           V.M.アクスライン(Axline) が、現在の形になるのに貢献。1969、「遊戯療法」 8つの原理 



[備忘] 心理療法やカウンセリングについて解説がある。また、カウンセリングの日本での展開に関する参考書として、放送授業で触れられている書物は、以下のものです。

伊藤良子編著「臨床心理学」ミネルヴァ書房、2009年所収


大山泰宏「人格心理学」第11回「人格の探求と文化」

2012年01月12日 | 共通科目
1.精神分析の始まり
(01)ヒステリーの形成
    イ)産業革命 労働形態の変化 社会の変化 男性性 女性性 役割の固定 物理学 エネルギー 人間の性的エネルギー 18世紀のロココ時代と 19世紀のヴィーダーマイヤー時代との比較 理想的女性の性質
      これらの背景のもと、ヒステリー症状が顕著になった
    ロ)シャルコーの病院改革 サルペトリエール病院 4000人 女性患者のみ
    ハ)催眠療法 シャルコーのお気に入り オーグスティーヌ

(02)初期フロイト
    イ)催眠療法から自由連想等の意識的表象へ
    ロ)考古学と類似 J.トマス(Thomas.2004) 精神分析の発想モデル = 「深層/表層メタファ」 背後への探求から深みへの探求へ 考古学 地層を深く深く掘り下げる
    ハ)徴候パラダイム C.ギンズブルグ(Ginzburg.1986) 徴候学的パラダイム(paradigm of the index)index  20世紀の自然科学的モデル 

(03)フロイトが向かっていた場所
    イ)前期フロイト 自然科学的 後期フロイト 反復強迫
    ロ)抑圧と排除  ラカン参照 「モーゼと一神教」「トーテムとタブー」


2.分析心理学
(01)ユングの人格理論
    イ)フロイトとユングの「身分」の違い フロイト→ ブリュッケ(神経生理学) J-M.シャルコー ユングの師=オイゲン・ブロイラー ユングにより精神分析が日の目を見る
      クラーク大学の講演 連想実験 ユング 「リビドーの変遷と象徴」により、フロイトと決別。 フロイトは、「精神分析運動の歴史」で応戦、ユングを排除 ユングは、中年の危機

(02)分析心理学の基礎概念
    イ)
    ロ) 
    ハ)

(03)ユングがめざしたもの

    イ)文明論へ向かった
    ロ) プエブロインディアンの文化 太陽


[備忘]

大山泰宏「人格心理学」第10回「人格が病むということ、傷つき」

2012年01月12日 | 共通科目
1.心の課題

(01)欲求と欲求不満

    イ) ニード

    ロ) デザイア

    ハ) マズロー 1生理 2安全 3親和 4自我 5自己


(02)心のテーマ



2.精神疾患



(01) 神経症

(02) 精神病

3.トラウマ

(01) トラウマの定義



(02) トラウマのメカニズムと心理療法








[備忘] 人格が病むということは、身体的やまいと違って、社会的な偏見などから、早期に対応できないといった問題を持っている。とくに、無限の欲動により人格がいつまで経っても完成されない現代にあって、その未解決性のような状態を抱えて生きることには、確立された方法論がない。

大山泰宏「人格心理学」第9回「人格とかたり」

2012年01月12日 | 共通科目
1.ナラティヴ

(01)ナラティヴとは
    <1> エディプス期 言語 自己表象
    <2> 積極的に出来事を選択し体系化し続け自分の人生の意味を更新し続ける側面
       ナラティヴ 個人の自己に関する表象を研究

    <3> 出来事の時間的な生起とは異なる形

    <4> 構成主義的思考
        1様々な見え方 2集団でも

(02) ナラティヴセラピー

   イ)ナラティヴの考え方を心理療法に応用
   ロ) ドミナントストーリー
      
   ハ) 日記を書く 

2.かたりと主体

(01) 「かたり」における主体の二重性と生成

     イ) かたり

     ロ)  はなし



(02) 発話行為としての人格の生成




3.心理療法とかたり

(01) 面接のインターバル



(02)  セラピストのかたり




[備忘]自我形成による制約、つまり言語的世界を生きるこらついて、「語る」ということは、どういう行為なのかについて述べられる。また、言語の獲得による成果でもあるし、縛りでもあるのだが、自身が、ドミナントストリーをもつこと、あるいは、もたされることと、近しい人との語らいやカウンセリング場面などで語りによる人格の変化への可能性が示唆される。

大山泰宏「人格心理学」第8回「人格が閉じるとき」

2012年01月12日 | 共通科目

1.ライフサイクル

(01)エリクソンの理論

  <1> 発達の漸成説

      イ)危機をひとつずつ乗り越えていく すると発達する
      ロ)ライフサイクルは、他者との関わりで相互的に展開していく

  時期        危機         発達課題

1、乳児期           基本的信頼       基本的不信   希望

2、幼児期前期       自律性           恥・疑惑      意志

3、幼児期後期       自主性           罪悪感       目的

4、児童期           勤勉性           劣等感       適格

5、思春期・青年期  同一性      同一性混乱    忠誠

6、成人期          親密さ           孤立          愛

7、壮年期          生殖性           停滞        世話

8、老年期          統合性           絶望        英知


(02)ライフサイクルの変化

   <1> フィリップス・アレス 
   <2> 現代のライフサイクル
       延長されてきていること 


   <3> バルテス(Baltes.1980) 生涯発達論 発達とは、能力の獲得だけでなく、同時に、失われるものがあるということ 指のでき方

2.中年期
(01)中年危機と意義

    ユングの考え方

(02) 中年期という概念の難しさ

3.老年期
(01)老年期と知恵

    老賢者

(02)老賢者になる難しさ

かつては、古老が、部族のアイデンティティーを語る語り部としての役割があった 論語

4.死
(01)死すべきものとしての人間
   ハイデガー

(02)人生のターミナル

    <1>キュブラー・ロス 死の準備の5段階 

1.否認 

2.怒り 

3.取引 

4.抑うつ 

5.受容 デカセクシス  希望

( 3) 死と宗教
     宗教性
     喪のプロセス

     



[備忘] この章で印象的なのは、たとえば、エリクソンによるライフサイクルモデルなどが、必ずしも、今の時代とマッチしないことや、とりわけ、ユングにより提示された老賢者表象としての老人の価値が、以前の社会構造との違いなどから毀損されていることなどから、何らかの新しいモデル(おそらくダイナミックなものでないと対応できないであろう)が想像されて意義深かった。


大山泰宏「人格心理学」第7回「人格の育ち」

2012年01月12日 | 共通科目

フロイト心理学について、やさしく書かれた本は多いし、たとえば、フロイトの「精神分析入門」は、普通に読めるし、他の書物も予備知識がないと分かりにくいものもあるが読める。しかし、70年代の現代思想とともに登場したラカンは、難解であった。印刷教材に出てくる「父の名」については、フィリップ ヒル、デビッド リーチ、Philip Hill、 David Leach 「ラカン」 (ちくま学芸文庫).2007年が、図やイラストがあって楽しい。また、巻末の文献紹介は役に立つかもしれない。ただ、印刷教材では、引用・参考文献に、ラカンに関してのものはない。

1.エディプスコンプレックス
(01)「わたし」の誕生  3歳頃 反抗期 「わたし」という言葉を使用

    <1> 最早期記憶 3歳ころ それ以前は幼児健忘、 最早期記憶の特徴 1. 自分を見ている 2.断片的


    <2> 3歳頃の特徴 反抗期 仮想能力(アイスクリームをおばあちゃんのところで食べる、雨が降ったら) 時制の使用 感覚与件の世界とイメージの世界とを区別するようになる  3歳頃を中心に正規分布

 

    <3> 2歳頃より ふりあそび 3歳頃から、○をかける コントロール可能 これは、言語を使用するとと密接に連関がある 言語を使って世界を構成=最早期記憶のころに一致する

 

    <4> 

(02)エディプスコンプレックス

    ソフォクレス「オイディプス王」の一部が紹介されている→ わたしということの秘密をコンプレックスとして内在化させている

( 3) ラカンによるエディプスコンプレックス
    <1> 父親からの禁止 規範=言語 言語的に表象し得ないエディプス期以前の世界を抱え込むことにより、「わたし」というものを獲得する
    <2> 3歳頃 対象と一体化した世界からの離脱 表象界 根源的な空白 

2.自我体験と前思春期

(01)自我体験(Ich-Erlebnis)(ビューラー,Beuhler.1923) 昔は、潜伏期として落ち着いたものと精神分析では考えられてきた。


    前思春期 10歳頃 チャムシップ(サリバンの言葉:統合失調症の治るとき) 自己の自明性が揺らぐとき

    千と千尋の神隠し 転校 ブタになる 

(02)自我体験の意義
    とこ->こと
    <1> 感覚的記憶から意味的記憶へ 時間感覚の変化 モニタリング能力 抽象概念の操作 1/3=0.3333 0.333*3=0.9999


    <2> 風景構成法 「川が立つ」時期 

[備忘] エディプスコンプレックスの一般的理解を、ラカンの非言語と言語的世界に分ける見方に結びつけることで、人生を大きく二つの世界に分けられることを示している。

ラカンの精神分析 (講談社現代新書)
新宮 一成
講談社




大山泰宏「人格心理学」第6回「人格のはじまり」

2012年01月12日 | 共通科目

1.遺伝と環境

(01) 氏か育ちか
     遺伝か環境か アヴェロンの野生児 18世紀末フランス トリュフォーの映画 ヴィクトールの事例 医師イタール
            アマラとカマラ   20世紀初頭インド

(02) 遺伝と環境を巡る研究

     イ) 行動主義 ワトソン
     ロ) 一卵性双生児をつかった研究  差違に注目がいきがち 


     ハ) 遺伝 優生学へ結びつく ゴダード(Goddard.1912) 「カリカック家」の研究 断種に結びつく

2.情動と調律

     赤ちゃんは、人間を他から区別する

(01) 母子の共鳴と模倣

     イ)新生児模倣 舌出し模倣
     ロ)リズム  同調 エントレイメント 母屋が、タラちゃんと声をかけると、しばらくして反応する


     ハ) 生後6ヶ月 他者の行動をまねる


     ニ) 生後10ヶ月 即時模倣


     ホ) 2歳 延滞模倣 記憶されたものに基づく → イメージの発達的起源

 

      

(02) 社会的学習

     イ) 古典的学習理論 強化プロセス ほめられると繰り返す 怒られるとやめる と、考えられてきた。


     ロ) バンデューラ(Bandura.1973) <1>起き上がりこぼしのようなものへの 暴力 大人 見せる 子ども 連れて行く まねる → 強化がされていないけれど まねる
                              <2>条件変更 報酬群 罰群 統制群(中立モデル) 罰は抑制 他は同じ


     ハ)バンジューラの概念 観察学習 モデリング 他者の行動等をモデルとして観察することで観察者の行動に変化が生じる学習

                     ------↑

                     こどもがテレビなどの暴力シーンをまねる

 

 

           精神分析 大人を通して、子どもを推測してきた。 ↓


( 3) 情動調律

     イ)母子 相互交流 自己の発達 精神分析→ クライン,ビオン,ウィニコット 対立 発達心理学者

     ロ) スターン(Stern.1985) 精神分析的姿と発達心理学的観察の統合 ビデオ 間主観的な状況                  間主観性は、初期には、主観性として議論
                         乳児の主観的世界を描写している そのための概念として、「自己感」(sense of self)を導入

        自己感とは、様々な体験を組織化していく中心として、自分自身が、他から区別された行為主体(エージェント)として
        自分を感じる主観的な感覚のことである

     <1> 新生自己感      2ヶ月まで     無様式知覚(amodal perception) 生気情動(vitality affect)  イボイボの棒をしゃぶらせると、それをじっと見る 共通感覚=スターンは、無様式知覚 体性感覚につながる


     <2> 中核自己感      2ヶ月~          身体的単位で一貫された存在として自己を認知 バウンダリー 領域を空間的に認識 

     <3> 主観的自己感  5-6ヶ月       母子一体の共通世界を読み取る 主観的な両者の関わり 情動律動 大人とのコミュニケーション  なだめると、なだめられる 子どもの意図 母の意図 共有 生気情動にコミット

                                                                         ~~~~↑

     <4> 言語的自己感  15ヶ月頃~     1歳ぐらいから言語により、自己を客体化、象徴を用いる ワンワン 一部しか表現できない 大きいワンワンも小さいワンワンもワンワン  身体的自己感 とギャップ

     <5> 物語的自己感               本講義では、カット

 スターンの図示

3.愛着理論

(01)愛着の基礎研究

    <1> 他者との関わりの必要性 スピッツ → 乳児院 情緒的関わりの欠如  ホスピタリティーとの関連

    <2> ハーロウ(Harlow.1958) 代理母実験 アカゲザル 授乳できる針金人形 と 柔らかい人形

    <3> 愛着(attachement)とは、特定の他者や対象との情緒的結びつきのこと 情緒的 身体的 かかわり 根源的な生得的欲求

(02) 愛着の内的ワーキングモデル

    <1> 生後8,9ヶ月頃 重要な他者からの反応は、自分の情動状態を鏡映させたものととらえる その情動の意味や状態を、重要な他者の調律のあり方により、意味づけ表象

    <2> 意味づけをする他者が、認知スキーマとして、フレームワークになる

    <3> 内的ワーキングモデル (ボウルビィ.Bowlby.1973) 自己と他者のイメージの基礎 危機的状況下で、その他者を回避するか接近するかの指針になる


    <4> エインズワース(Ainsworth.1978) ストレンジ・シチュエーションという手法

        イ)母親の一時不在と一歳児 

          回避型

          安定愛着型

          アンビバレンツ型

         一生続くと考えられる 近年反論も見られる

    <5> メイン(Main.1985) アダルト・アタッチメント・インタビュー (AAI) 1歳児 と 大人期で比較 相関あり

( 3)愛着理論の検討
    <1> メインの研究は、実際に母親の子どもの頃の体験が報告されているか分からない
    <2> スコルニック(Skolnick.1986)乳幼児期の母子関係と児童青年期ないし成人期以降での一致は、3割 七割は、変化する
    <3> 友人関係等で、内的ワーキングモデルが変化
    <4> 安定型が健康的で優れいる→問い直し
    <5> モデルであるということ

 

[備忘] この章では、スピッツによる乳児院等の施設での問題やハーローのアカゲザルを使った実験やボウルビィの愛着をめぐる話などがおもしろかったです。


大山泰宏「人格心理学」第5回「人格と関係性」 

2012年01月04日 | 共通科目

○ 人間一般にある行動特性を知ることの意義  ナチスのアイヒマンは、個人的な残虐性故かとかいった問題

1.スキーマ理論
(01)自己表象スキーマ
    <1>人格要因と環境要因の相互作用

    イ)行動の原因は、個体要因に帰属する

    ロ)環境要因も作用している

    <2>自己の認知のあり方 ---> 自己表象スキーマ理論 1970年代より

    イ)人間の行動の決定において、自己をいかに定義し、他者に表象するか

(02)対人スキーマ
    <1> 他者と出会ったときの、その認知の仕方。 過去に出会った人の記憶などから推測

        対人スキーマ 他者認知の際に利用されるイメージや参照枠

    <2> オルポートとポストマンの白人と黒人とナイフの実験
        イ)再生条件 7割 ○
        ロ)再認条件 3割  ○

    <3> 同じ情報でも、対人的情報を統合するときに使われる

(03) 印象形成
    <1> アッシュ(Asch.1946) 人物特性のリスト リストに、「温かい」「冷たい」かを入れてテスト


    <2> 「温かい」 「冷たい」→ 中心的役割 中心的特性


    <3> 中心特性以外で意味のとらえられ方が異なるもの 周辺的特性
    <4> 順番を変えるだけで 印象が異なる

2.意見や態度の形成

(01)対人魅力
    イ) フィードラー(Fiedler.1952) 好意を持つと似ていると解釈 「仮定された類似性」
    ロ) ザイアンス(Zayonc.1968)接触頻度  →   ストックホルム症候群

(02) 認知的不協和とバランス

    イ)防衛機制

    ロ)フェスティンガー(1957) 単純作業 報酬1ドル 楽しい 報酬20ドル コントロール群と差がない

    ハ)ハイダー 認知者 他者 対象  p o x

(03) 準拠集団
    イ)家族 
    ロ)マートン(1949)

3.人が理性を失うとき

    群集心理 ナチズム ル・ボン(19世紀)
  (01)同調行動
    イ) アッシュ(Asch.1958)線分 サクラ

    ロ) シェリフ(Sherif.1935) 知覚の自動運動現象

                       現実としては存在しない光

                       他者が光を見る

                       それが自分の規範になる

                       自分の見方が他者にとっても規範になる

 

                       集団でいることによって、ひとつの規則ができるが、それは、現実には存在しないかもしれない。



    ハ) アッシュのその後の研究 増大要因 1課題の重要性 2あいまいさやズレ 3集団凝集性の増大 4失敗体験のあるもの

                   減少要因  1社会的支持者 2

   (02) ミルグラムによる服従行動の実験

 

 

   (02’) ジンバルド Philip G. Zimbardo(1975) 模擬刑務所実験 

 

 the Stanford Prison Experiment http://www.prisonexp.org/


   



   (03) 傍観者効果

     イ) ラタネとダリィ(1968)

        火災報知器 1.責任分散  2.評価懸念  3.多数の無知

   (04) 集団極性化現象
        イ) ストーナー(1961) 
        <1>リスキーシフト 集団討議による意思決定 穏健な人の集まりでも、冒険的になる
        <2>コーシャスシフト 保守的 安全指向


   

 

                     
    
備忘1


大山泰宏「人格心理学」第4回「人格理論の現在」 その2 構成主義など

2012年01月04日 | 共通科目
3.構成主義とジェンダー

(01)構成主義とは

現実(リアリティー)というものは、実体として実在するのではなく、私たちの認知の枠組み、言語、コミュニケーションなどによって作り上げられたものである、という考え方。

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(備忘1)構成主義的な考え方がでてくる背景としては、英米哲学で繰り広げられた言語論争がある。大陸の哲学が、思弁的なものになっていったのに対し、社会科学・人文科学からの要請もあり、論理実証主義において課題となる「言語」の問題が話題の中心になっていった。よく引かれる例だが、結婚式で愛の誓いをするカップルの言説が真であるのか偽であるのかは、客観的に証明されるものでなく、たとえば、教会で神父さんが、新郎新婦に「愛の誓いについて、どうするのか」尋ねるという儀式などにより、おおまかに、おそらくそうであろうと推測されるのである。

(02)ジェンダー

<1> 本質主義 差は、男女の本質から生じる当然なものだとする考え方

<2>社会構成的考え方 
 イ)産業革命などの例があるように歴史的な経緯から、分業化が進み、性格特性などが構成された

 ロ)どのようにして、それらの特性を個人が所有することになるのか

   直接的な行動の強化(女児の人形遊び)  および 観察学習(モデリング)による代理強化 

( 3)心理学におけるジェンダー研究

  イ) 男性性 女性性 一次元的両極に位置した
  ロ) サンドラ・ベム(Bem,1974)によるアンドロジニー概念  ベム性役割尺度(BSRI:Bem Sex Role Inventory) により、男性性の次元と女性性の次元とには、相関関係が無いことを証明
  ハ) ベムによる「文化的レンズ」という見解(1981) 文化的に個人に埋め込まれたスキーマで、個人の経験と意味とつながりを与えるために作られた情動的/認知的構造として定義
  ニ) キャロライン・シェリフ(Sherif.1982) 情報処理スキーマと主張 「ジェンダーをもっとも正確に記述することができるのは、それを社会的水準において主に機能する社会的カテゴリーシステムとしてとらえた場合である」
  ホ) 心理学研究における問題点