放送大学で、学んでいます

大学を出ているので、編入で全科生になりました。心理学を中心に学びまして、今は、再入学により、再び学びを始めました。

西川 泰夫・高砂 美樹「心理学史」(’10) その2

2012年04月27日 | 心理学史('10)

心理学史も、一種の歴史なので、画期的な出来事であるとか、あたらしいことを考えた人の登場が注目され、それらのことについて述べられている。

そのなかで、「千里眼事件」が取り上げられているのは、なんともおもしろい。

「千里眼事件」は、学研のオカルト雑誌「ムー」などでも取り上げられていたように思うし、いわば正史ともいうべき「心理学史」でお目にかかろうとは夢にも思わなかった。

しかし、C.G.ユングが、そうであったように初めて会った人の過去を言い当てたり、初めて会うその人の朝食をあててしまう人というのは、数は少ないが、現実におられることはおられるので、 福来友吉(ふくらいともきち:1869~1952)が、信用失墜行為により自滅してしまったのは大変残念なことだと思う。

ただ、福来友吉の失敗に学ぶべき点は、新しいこと、とくに、時代精神とでも言うべき世の思想から外れたり、ずれたりしたものを持ち込むときの心構えである。

マーケティングでは、新商品を世の中に提案していくときに、この商品が奇異なものでもなく、むしろ価値のあるものだと印象づけるための手法を考えてきたし、そういうことなしに、製品が売れていくのはまれである。


たとえば、南博も、一流の社会心理学者であったが、その業績は知らない代わりに、カッパ・ブックスで何冊か持っていた記憶がある。

カッパブックスといえば、「頭の体操」の多湖輝というように、なんとなく軽いイメージがあり、私が若かった頃の心理学全般の雰囲気を象徴していたようにおもう。

どう見ても、実用的側面はないように思われた。

透視術の話に戻すと、たとえば、透視そのものの仕組みを解明しようとしたり、透視の実在を証明する研究に走らずに、透視が可能な人の存在の証明や、存在可能性を統計的に、あるいは、質的な研究により貢献しておれば、福来もインチキ学者としての汚名を着せられずに済んだのではないかと思えるのだ。

そうなると、福来の先生である元良勇次郎(もとら ゆうじろう、1858年12月5日) - 1912年12月13日)との関係が気になる。

 『透視と念写』 福来友吉 東京寶文館 1913 とあるから、元良の助言を求めることもできなくなっていたのかもしれない。

【参考URL】http://www.library.pref.gifu.lg.jp/gifuken/predec/08.htm 岐阜県図書館のページ

本講座のなかでの福来の位置づけは、変態心理学(現在の臨床心理学)の研究が停滞した原因となった人物になっている。

日本の学問の黎明期においては、人材が不足していたことが垣間見られる。


西川 泰夫・高砂 美樹「心理学史」(’10) その1

2012年04月25日 | 心理学史('10)

ブントというと、共産主義者同盟(bund)が連想されるが、心理学研究室を創設し、心理学実験に取り組んだのは、ヴント(Wilhelm Max Wundt, 1832年8月16日 - 1920年8月31日)で、字が違う。

たとえば、Hunt.S.Dというマーケティングの理論研究者は、ヴントの研究などを紹介しつつ、理論とは何かについて述べている。このように、商学におけるマーケティングなどにおいては、心理学が応用されているもっとも実用的な研究が多々見受けられる。

また、経済学も、所得という構成概念を検討する際に、心理所得という主観的に得られた何かを検討することになる。また、消費者心理という言葉に代表されるように、心理学的なテーゼを含む研究もよくみられる。

フロイトの精神分析という方法は、ひとつの理論に基づいているが、とくに発達的理論の分野では、客観性が疑問視されていたが、スターン(Stern,Daniel N 1934~)は、新生児や乳幼児などの観察により、独自の理論を作り上げるのに成功していると言えよう。

 

ざっと、教科書を読んでみても、歴史の教科書がそうであるように、何らかの「進化」するとか、時代が変わるような場面が重要視され、日常の心理学者の動向は見えてこない。

 

おそらく、地道な研究が今もなお続けられているのだろうが、心理学実験室で、こんな研究が行われているという報告を一般の人が目にする機会も少ないし、わかりにくい。

 

比較的目にするのが、シャレではないが、比較心理学、とりわけ、チンパンジーなどの研究である。これは、研究自体が楽しそうに見えるし、誰でもやってみたくなるかもしれない。

なじむまでには、そこそこの時間がかかるものなのだろう。


西川 泰夫・高砂 美樹「心理学史」(’10) その概要

2012年04月24日 | 心理学史('10)

昼休みに食事をしながら、サイトで、授業を見ています。

高砂 美樹先生、西川 泰夫先生、荒川 歩先生、サトウ・タツヤ先生の4名による講義となっていて、まず、第一回で、講義の体系がしめされた後、担当講師が、その部分を解説する講座となっています。

ただ、昔学んだ経済思想史や政治思想史とは、若干、趣が異なるような感じです。

具体的には、経済思想史であれば、だいたい、マルサスの「人口論」か、ケネーの「経済表」かアダム・スミスの「国富論」から始まり、ケインズv.s.フリードマンあたりまでが系統だって述べられ、その経済の見方の進展過程をたどることができるし、今でも、アダム・スミスは、何かの論拠に使えなくもないとおもわれます。

それに対して、この心理学史では、ウェーバーやフェヒナーといった物理学者の名前がでてきたり、聞いたことがないような日本人の名前がでてきます。西周は、誰でも知っているでしょうが、ゆうじろうといえば、石原裕次郎しか思い浮かばないものには初めて聞く元良勇次郎というような学者の名前が出てきます。

そういう意味では、ばらばらなものをつぎはぎしたような感じです。

日本人の名前は、たとえば、今田恵の名前が出てきますが、独自の理論を構築したかというと、そうでもないらしく、ウイリアム・ジェームスの学説研究を行っていた先生のようです。

 

いろんな心理学に言及されるので、幅広く知識を得るにはよいでしょうが、あまりおもしろいとも思われません。