「コブのないラクダ」とは、ザ・フォーク・クルセダーズの2枚目のシングル「悲しくてやりきれない」のB面に収録されている曲であり、少年であった私は、たぶん深夜放送で初めて聞いて愉快に思った思い出深いものなのだが、たまたま、藤圭子の死が、「うつ病」に依るものではないかと言われているように、その連想から、加藤和彦が思い浮かんだ。
日本人は、「甘えたくても甘えられない心理」(土居)を有しているのだろう。「甘え」てみることは、誰にも出来るが、心理的に、それが出来ないようになっているのは、「甘えて」その結果、その「甘え」が受け入れられなかったときの破綻を危惧するからなのだろう。
日本の文化は、「甘え」を許容するような外観を持っているが、現実には、そんなに「甘い」世界でないことは、誰もが知っていることだ。
「甘えた」人は、それにより破綻を来たし、「甘えられない」人も、それ故に破綻を来す。
許されているように見えながら、実は、どちらも選択できないようにしている「日本の社会」が、多くの自殺者を生んでいるのかもしれない。文化は、人を癒やしてもくれるが、そんなに甘くないことも知らしめようとしているようだ。