放送大学で、学んでいます

大学を出ているので、編入で全科生になりました。心理学を中心に学びまして、今は、再入学により、再び学びを始めました。

ビジネス書ですが、「10年後に食える仕事、食えない仕事」渡邊正裕(2012)、東洋経済

2012年02月25日 | 参考書・新刊書案内

淀屋橋のBook1st.で見つけました















10年後に食える仕事、食えない仕事
クリエーター情報なし
東洋経済新報社

グローバル化した時代にあって、多くの人は、10年後を予測し得ないであろう。そのような状況を踏まえ、著者は、例えば、日本語や日本のしきたりなどが、海外からの実質的参入障壁となり生き残る仕事ととして弁護士やお笑い芸人をあげて、それらの属性から、そのカテゴリーに、グローカルという名称を付与する。また、外国人であっても、仕事が、成立するものの例示として、コンビニの店員をあげている。そして、そのカテゴリーを重力系と名づけている。全部で4つのカテゴリーに分けて分析していく手法は、発想としてたいへん面白い。自分の立ち位置と重ね合わせながら読み進めると、残念ながら、7割ぐらいの人は、かえって不安になるかもしれない。しかし、時代は、われわれが生み出すと言うよりも、向こうからやってくるものだけに、その対応はなかなか難しい。要は、外国人でも代替しうる仕事やIT化による仕事の海外流出に耐えうるように今から準備しておけば、その不安も少しは軽減されると、わたしも思う。


中村仁一「大往生したけりゃ医療とかかわるな」幻冬舎新書

2012年02月18日 | 参考書・新刊書案内

 

大往生したけりゃ医療とかかわるな (幻冬舎新書)
中村 仁一
幻冬舎

今日は、美容院に行った帰りに、日経新聞でも大きな広告が打たれている中村仁一「大往生したけりゃ医療とかかわるな」幻冬舎新書、2012年を買ってきました。

最近は、この手の本が多く出版されています。

生まれてくると言うことも考えもので、50代半ばぐらいになると、あと何年ぐらい生きられるかとか、もっと具体的には、551蓬莱のぶたまんが、あと何個食べられるかということが頭の片隅に昇るようになります。

ぶたまんの季節は、やはり冬であって、ふうふうしもって食べるのがよりいっそうおいしいものです。データがないので、確実なことは言えないのですが、年間平均で数えると、最大でも年に5~6個、少ないと1~2個ぐらいですし、年間平均2個としても、あと20年食べても、60個しか食べられないことになります。

ぶたまんのことだと、食べられなくなるだけなので、さほど深刻でもないのですが、「死ぬこと」となると、これは、未体験の現象でもあり、かといって、考えないわけにもいかないという難問です。

 

この書物の特徴は、著者が体験したことを、著者の視点から医療界に対しても気兼ねなく持論として述べている点にあります。

 

ただ、そのために、やや偏見とも思える表現があります。たとえば、第4刷第3章128ページの「安易に『心のケア』をいいすぎないか」で、「心のケア」の押しつけがなされているのではないかという指摘がありますが、現実は、おそらく逆であろうと考えられます。

大きな事件が起きると、スクールカウンセラーが、学校に派遣されるというメディアの報道がありますが、それは、そのような専門家が派遣されてよかったという風に読み取るのではなく、派遣に頼らざるを得ない人材と諸制度が問題とされるべきでしょう。

本来なら、養護教諭が身体面のケアをし、常駐のカウンセリング担当(教諭)がいてしかるべきだろうと思われるからです。

アメリカのドラマを見ていると、サイコロジストが、学校や職場にしばしば登場する場面がありますが、その系譜は、学校教育における「ガイダンス(適性相談)」にあるように思われます。

 

なぜ、そのような誤解が生じるのかというと、著者自身が、よいカウンセリング体験を持たないか、かかわったカウンセラーがよくなかったか、あるいは、十分な研究をせずに、印象から、そのような判断を下しているのでしょう。

また、メディアが、ことさら、ことあるごとに、カウンセラーを派遣したことを騒ぎ立てることで、誤解を与えているとすれば、正確な報道が求められるだろうと思われます。

 


鷲田 清一「語りきれないこと 危機と傷みの哲学」(角川oneテーマ21)2012年

2012年02月13日 | 参考書・新刊書案内
語りきれないこと 危機と傷みの哲学 (角川oneテーマ21)
クリエーター情報なし
角川学芸出版

鷲田 清一「語りきれないこと -危機と傷みの哲学」(角川oneテーマ21)2012年を読んだ。

今回の震災と原発事故という災難に対して、どのように考え、対応すべきかについて述べた書物である。

ただ、震災と原発事故の両方を取り扱っているために、事故への批判は、我々の問題に修練させる形で最小限にとどまっている。

現象を内側に見るか、外側に見るかで、立ち位置も異なるのだが、事故に関しては、メディアの問題もあり、もう少し語るべきでないかと思われた。

平易な文章で書かれており読みやすいが、阪神大震災との差違について、違和感を覚えるかもしれない。

その点、安富歩「原発危機と東大話法」明石書店のほうが、論点が絞られていそうでおもしろそうである。こちらは、今度、書店に行ったとき立ち読みしてみたい。

 

 


斎藤環「生き延びるためのラカン」 (ちくま文庫)  文庫版で発売されました。

2012年02月11日 | 参考書・新刊書案内
文庫の解説が、中島義道先生なのが、哲学者で、ちと残念ですが、まあ、ラカンといえば、精神分析にフロイトを再解釈することで、命を吹き込み、その適応対象を文化・芸術 ・社会思想などへと拡大できるような理論の組み立てをおこなったことで知られています。
 
そのラカンの思想を、読みやすい日本語で、紹介されたもので、人にも依りますが、ラカンの入門書のひとつとして推奨できます。ラカンの神髄は、「欲動」というキーワードだと、わたしは思っていますが、それを理解すると、ドゥールーズ/ガタリ「アンチ・オイディプス」もちんぷんかんぷんではなくなります。
 
ただ、新宮一成先生の「ラカンの精神分析」講談社現代新書のほうが、実体験に即して記述されているので、読んでいて楽しいかもしれません。

斉藤先生の「生き延びるためのラカン」が、文庫に収録されたことで、入手しやすくなりました。

私としては、

1.
フィリップ・ヒル/新宮一成「ラカン」筑摩書房、2007年02月07日 文庫

2.
  • 新宮一成「ラカンの精神分析」講談社新書、1995年11月20日

とともに読むと理解が深まると思います。

3.

「二人であることの病い パラノイアと言語」 (講談社学術文庫)

ジャック・ラカン、宮本 忠雄、 関 忠盛 (文庫 - 2011/12/13)

 

私は、この書物も入手しましたが、アマゾンの書評に書かれているような意味で価値のある文献なのだろうと思われます。

ラカンの初期の論文で、比較的読みやすいと書かれていますが、それは、他のものに比べたらということで、

すらすら読めるのは、解説の箇所だけです。比較的読みやすいのもだけ、ざっと読みましたが、ラカンの思想の中での位置づけが

よく分からないため、その論文の意義が分かりかねます。

 

生き延びるためのラカン