★クラシック音楽LPレコードファン倶楽部(LPC)★ クラシック音楽研究者 蔵 志津久

嘗てのクラシック音楽の名演奏家達の貴重な演奏がぎっしりと収録されたLPレコードから私の愛聴盤を紹介します。

◇クラシック音楽LP◇ルイ・フレモー指揮パイヤール室内管弦楽団のジル:レクイエム

2022-09-01 10:22:48 | 宗教曲


ジル:レクイエム~独唱、合唱と管弦楽のための~

指揮:ルイ・フレモー

管弦楽:パイヤール室内管弦楽団

独唱:ナディーヌ・ソートゥロー(ソプラノ)
   アンドレ・マラブレラ(バス)
   レミー・コラツッツァ(テノール)
   クサヴィエ・ドゥブラ(バス)

合唱:フィリップ・カイヤール合唱団

チェンバロ:アンヌ=マリー・ベッケンシュタイナー

オルガン:マリー=クレール・アラン

発売:1980年

LP:RVC(コスタラ出版社) REL-1509

 ジャン・ジル(1668年―1705年)は、フランスのバロック音楽の作曲家で、37歳という若さで一生を終えたこともあり、あまり馴染みのある作曲家とは言えない。しかし、ジルが作曲したこのLPレコードに収録されているレクイエムだけは例外で、同じくフランス出身のバロックの作曲家のアンドレ・カンプラ(1660年―1744年)のものと並んで、レクイエムの傑作として、現在までその名を知られている。1697年にトゥールーズのサンテティエンヌ大聖堂に教会楽長として就任したジルであるが、自らの短命を予感してか、自分の葬儀のためにモテットや、このレクイエムを作曲したとされる。もっとも、レクイエムは当初、依頼によって作曲したが、作曲料で依頼者と折り合いが付かずに最終的には自分の葬儀用に変更したという説がある。そんないわく付きのレクイエムであるが、ラモーやポーランド王スタニスワフ1世、ルイ15世の葬儀でも演奏されたというから、当時から高い評価を得たレクイエムであったことが分る。ジルの現存する作品は、大合唱と管弦楽つきのモテット5曲、声だけのためのモテット10曲、詩篇曲7曲、それにこのレクイエムなどである。カンプラは、ジルのレクイエムを広く紹介したことでも知られており、2人は互いにその能力を認め合った仲なのだ。そんなジルのレクイエムの冒頭のドラムの連打で始まる葬送行進曲は、曲全体の性格を、この一点に集約したようでもあり、実に印象的な出だしとなっている。曲全体は、イタリアバロック音楽の影響を強く受けていることが指摘されているように、全曲を通して歌うように爽やかなメロディーが耳に心地良く響くレクイエムとなっている。このLPレコードでは、名指揮者ルイ・フレモーとパイヤール管弦楽団だけに完成度の高い演奏が聴け、独唱、合唱陣も充実していて非の打ち所がない。指揮のルイ・フレモー(1921年―2017年)はフランス出身。モンテカルロ歌劇場管弦楽団(モンテカルロ・フィルハーモニー管弦楽団)の首席指揮者を務めた後、バーミンガム市交響楽団の音楽監督に就任。同交響楽団を一流のオーケストラに育て上げた後、サイモン・ラトル(1955年生れ)にバトンタッチした。その後はシドニー交響楽団首席指揮者に転任した。このLPレコードのオーケストラは、パイヤール室内管弦楽団。同楽団は、1959年に指揮者のジャン=フランソワ・パイヤール(1928年―2013年)によって設立された、フランス・パリに本拠地がある室内オーケストラ。(LPC)


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