★クラシック音楽LPレコードファン倶楽部(LPC)★ クラシック音楽研究者 蔵 志津久

嘗てのクラシック音楽の名演奏家達の貴重な演奏がぎっしりと収録されたLPレコードから私の愛聴盤を紹介します。

◇クラシック音楽LP◇ヴィットリオ・ネグリ指揮ローザンヌ室内管弦楽団のチマローザ:レクイエム

2023-03-13 09:47:12 | 宗教曲

チマローザ:レクイエム

指揮:ヴィットリオ・ネグリ

管弦楽:ローザンヌ室内管弦楽団

独唱:エリ-・アメリンク(ソプラノ)
   ビルギット・フィニーレ(アルト)
   リチャード・ヴァン・ヴルーマン(テノール)
   クルト・ヴィドマー(バス)

合唱指揮:アンドレ・シャルレ

合唱:モントルー音楽祭合唱団

発売:1979年

LP:日本フォノグラム(フィリップスレコード) 13PCー106(839 752 LY)

 ドメニコ・チマローザ(1749年―1801年)は、イタリアの作曲家。11歳でナポリ音楽院に入学。作曲したオペラ・ブッハ(喜歌劇)は約70曲を数える。その他、今回のLPレコードにあるレクイエム、そしてオラトリオ、チェンバロ・ソナタ、オーボエ協奏曲などを作曲した。美しい旋律が印象的で、チマローザと同年生れのゲーテは、彼の音楽を賞賛しているほか、フランスの文豪スタンダールは、「私が生涯を込めて愛したのは、モーツァルト、シェークスピアそれにチマローザだけである」と語ったほど。ロッシーニが登場するまでは、オペラ・ブッファはチマローザこそが第一人者であったのだ。ローマなどで活躍した後、エカテリーナ2世に招かれ、ロシアにわたり、礼拝堂楽長、宮廷作曲家として過ごす。その後、ロシアを去り、ウィーンに赴いた。その後、ナポリで宮廷楽長、礼拝堂オルガン奏者などを務めたが、フランス軍への協力がもとで国外追放の身となり、その生涯を終えている。このLPレコードに収録されているレクイエムは、1787年にチマローザがロシアのペテルブルグについた直後の12月12日に、両シチリア王国の大使として滞在していて、おそらくチマローザをロシアへ呼ぶために力を貸したと思われるセルラ・カプーラ公爵の夫人が死亡したため、非常に短時日につくられた作品。作曲の対象となる典礼文は、モーツァルトのレクイエムと比べると、「グラドゥアーレ(昇階誦)」「トラクトゥス(詠誦)」の部分だけ多くなっている。チマローザは、ソプラノ、アルト、テノール、バスの独唱、合唱、弦楽オーケストラ、2つのホルン、通奏低音用オルガンを用いて作曲した。このチマローザのレクイエムは、モーツァルトのレクイエムと共に、18世紀のレクイエムの傑作と呼ぶにふさわしい作品となっている。この忘れられたチマローザのレクイエムを発掘したのが、このLPレコードで指揮をしている、フィリップスのプロデューサーでもあった指揮者ヴィットリオ・ネグリである。スイスの演奏家たちによるこの録音は、オペラの響きと宗教的荘厳さが巧くバランスした秀演となっている。特に合唱の美しさは特筆に値しよう。チマローザと同年代のモーツァルトのレクイエムが、現在でもたびたび演奏されるのに対して、残念なことにチマローザのレクイエムは滅多に演奏されることはない。それだけにこのLPレコード持つ意義は決して小さくないように思う。(LPC)


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ◇クラシック音楽LP◇ロベール... | トップ | ◇クラシック音楽LP◇ブレン... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

宗教曲」カテゴリの最新記事