カンプラ:レクイエム(死者のためのミサ曲)
第1曲 入祭唱
第2曲 キリエ
第3曲 昇階唱
第4曲 奉納唱
第5曲 サンクトゥス
第6曲 アニュス・デイ
第7曲 拝領唱
指揮:ルイ・フレモー
管弦楽:パイヤール室内管弦楽団
独唱:エディット・ゼーリヒ/ジョスリーヌ・シャモナン(ソプラノ)
アンドレ・ムーラン/ジャン=ジャック・ルジュール(テノール)
ジョルジュ・アブドゥーン(バス)
合唱:フィリップ・カイヤール合唱団
ステファヌ・カイヤー合唱団
チェロ:ジャン・ドゥフェリュー
フルート:マクサンス・ラリュー
オルガン:マリー=クレール・アラン
チェンバロ:アンヌ=マリー・ベッケンシュタイナー
録音:1960年2月9日~11日、パリ、マロニト教会
LP:RVC REL-1507
アンドレ・カンプラ(1660年―1744年)は、フランスの作曲家で、丁度リュリとラモーの中間の世代に当る。作品は宗教音楽に加え、世俗音楽とりわけ歌劇に多くの作品を遺している。これらの中で今回のレクイエム(死者のためのミサ曲)は、同じくフランスのバロック時代の作曲家であるジャン・ジル(1668年―1705年)のレクイエムと並び、今日でも演奏されており、数あるレクイエムの中の名曲の一つに数えられている作品。カンプラは、1694年から1700年までパリ・ノートルダム大聖堂の楽長を務め、さらに1730年からはオペラ座の指揮者に就任したが、ルイ14世の死後は、王立音楽アカデミーやヴェルサイユの宮廷楽長として、再び宗教音楽に力を入れ始める。カンプラの作曲の特徴について野村良雄氏はこのLPレコードのライナーノートに「カンプラの和声法は独特で斬新である。彼はアンリ・デュモントやドゥラランドをこえて、中世に負うところの複音楽的技法を心得ており、これが特にモテットや詩篇で効果を示す。彼の調性は『研究』されており、転調は輝かしい」と書いている。カンプラのレクイエムは、そんな巧みな作曲技法の上につくられたものであり、深遠で静寂な雰囲気が全曲を覆っているのが特徴といえる。一般のレクイエム作品にありがちな激しさが決して表面には現れず、深遠な空間がリスナーの前に大きく広がり、このことがかえってレクエムとして、より一層の深い感動を呼び起こしているかのようだ。そんなレクイエムをルイ・フレモー指揮パイヤール室内管弦楽団が精緻に演奏し、独唱、合唱陣も優美な歌唱で、この上ない宗教的雰囲気を盛り上げている。指揮のルイ・フレモー(1921年―2017年)はフランス出身。モンテカルロ歌劇場管弦楽団(モンテカルロ・フィルハーモニー管弦楽団)の首席指揮者を務めた後、バーミンガム市交響楽団の音楽監督に就任。同交響楽団を一流のオーケストラに育て上げた後、サイモン・ラトル(1955年生れ)にバトンタッチした。その後はシドニー交響楽団首席指揮者に転任。そしてパイヤール室内管弦楽団は、1959年に指揮者のジャン=フランソワ・パイヤールによって設立された、フランス、パリに本拠地がある室内オーケストラ。ジャン=フランソワ・パイヤール(1928年―2013年)は、フランス出身の指揮者。1953年にジャン=マリー・ルクレール器楽アンサンブルを創立するが、これが母体となってパイヤール室内管弦楽団を結成した。(LPC)