ローマ・マエストラーレ通りを作る連載に戻ってきました。今回はトミーテックの建物を3棟ご紹介です。
1 ホテル・マエストラーレ
ホテル・マエストラーレも、マエストラーレ通りも架空の名前です(実在していたとしてもこのような風景ではないでしょう)。以前作った小さなトラムのジオラマの中で「ホテル・マエストラーレ」という名前を使いました。マエストラーレというのはイタリア語で北西から吹く風という意味で、フランス語だとミストラルになります。今回のジオラマもホテルを置きたいと思っていましたので、ホテルの名前も含めて以前のジオラマを引き継いだというわけです。西洋のホテルの中には、通りの名前をつけたりするものも見られますが、今回のジオラマの名前をつけるにあたって、ホテルの名前が街の通りの名前から採られていたら・・・と想定してマエストラーレ通りとなったわけです。
ホテルの建物は「昭和のビル C2」にしました。以前の小さなジオラマもこの建物の一部を使っていました。ヨーロッパあたりでも見かけそうな作りのビルというのが使いやすく、こちらの建物にしました。組立は塗装済みのパーツをはめ合わせていくだけですので、いたって簡単です。
オリジナルと違うところもあります。まず、建物上部に「MAESTRALE」の文字があります。こちらは「グリーンスタッフワールド(戦車の模型を作る方ならご存じでしょうか)」というメーカーから発売されているプラ製のアルファベットの切り抜き文字から使いました。ホテルの名前が建物上部に取り付けられているのはイタリアで見かけました。さらにはホテルのグレードを示す☆がついている場合もあります。文字は白モールドのため、ファレホの「OLD GOLD」という落ち着いた感じの金色で塗りました。以前も書きましたが、このホテルは三つ星を名乗っています。余談ですがイタリアで三ッ星を名乗るところならば各部屋ともテレビ、トイレ、バスタブ(シングルはシャワーのみというところもあるでしょう)つきで、朝食も提供され、運が良ければバーカウンターのようなところがあってお酒やコーヒーが遅い時間まで楽しめるかもしれません。二つ星、一つ星になりますと、シャワーが共通だったり、朝食もつかなかったりします。
オリジナルと違うところはもう一つ、建物入り口のひさしはヨーロッパのホテルらしく大きめにして、そこにホテル名を入れました。
ホテルのグレードも入っていますね。ひさしは紙製です。ラベルシールにホテルの名前と☆を出力して貼りました。花壇もオリジナルではなく、カトーのジオタウンシリーズから持ってきています。緑と花は前回のフォルマーの「ギフトショップ」のキットに入っていたものです。
2 教会
こちらは「教会A2」という商品名です。一番の特徴は屋根の色を変えたことでしょうか。
このオレンジがかった色ですが、イタリアの街並みを上から見下ろすと、こんな感じの色の瓦屋根を見かけます。街によっては旧市街はほとんどすべて同じ色、などと言う感じがします。製品の屋根は取り外せますので、GMカラー17番・オレンジAという色をベースにしました。こちらは近鉄の特急色に使われるオレンジ色です。もう少し赤味が入っていた方が良かったかもしれません。こちらの色を塗ってから適宜ウェザリングをしています。
建物のガラス部分ですが、透明プラパーツの裏側からランダムにクリアイエロー、クリアーレッド、クリアーブルーなどのエナメル塗料を塗って、ステンドグラスっぽくしています。一度建物用の照明を内部に入れてみたのですが、光が強すぎたので改善策を考えています。天然光があたるとほのかに光っていい感じなのですが・・・。
ローマと言うとカトリックの総本山、サン・ピエトロ寺院を筆頭に大小さまざまな教会があります。このサイズの教会では特別見向きもされないところなのですが、祭壇画の一枚がなんと・・・ということで一躍知られるようになった、という設定です。
3 映画館
実際に街中にこういう映画館があるのかは分かりませんが(ローマにはミニシアターっぽい映画館はあるようです)、ジオラマを作る際にどうしても入れたかったのがこちらです。今回は小さくて古い名画座というイメージで作っています。
「劇場3」という製品を使いましたが、このピンク色の外壁はなんとかしたくて、ファレホのカーキグレーという色で塗りなおしました。また、銀色の屋根もMr.カラーのガルグレーを吹き、さらにウエザリングを施して少し錆びたような感じにしました。入り口近くのタイルはクリアーイエローに塗りました。
(この時点では看板や劇場の名前もついていないですね)
劇場の屋根
劇場の名前は「TEATRO ORIONE」としました。直訳すれば「オリオン劇場」となりますが、模型に出てくる映画館の名称で「オリオン座」というのもありましたので、それをイタリア語に変換したというわけです。
上映作品の看板はネットから落としたものです。「さらば友よ」と「狼の挽歌」ですから「これぞ男気、チャールズ・ブロンソン特集」という感じですね。「さらば友よ」に関しては共演したアラン・ドロンがJAMの会期中に亡くなるというニュースもあって、模型の映画館では「追悼上映」になってしまいました。
そして次週以降の作品は
「これを見ずして日本映画を語るなかれ。巨匠たちの競演」と題して予定されているのがこちら。「シベリア超特急」、「幻の湖」、「だいじょうぶ、マイフレンド」ですよ。たしかにいろんな意味で「巨匠たち」ではありますが、どんな映画ファンが見に来るのでしょうか。
映画館はほぼ平屋のため、配置に気を付けませんと高い建物に隠れてしまいます。今回はそういうところも気を遣いました。