今週の「東洋経済」で「通信はどこまでやすくなるか」という特集が組まれていて、電話、携帯、ブロードバンドについての争点がうまく整理されていた。こうやって見ると、いわゆるISPが話題になっていないというのが、競争の新しい段階-インターネット接続自体では差異化の難しいただのインフラとなりサービスやコンテンツといった付加価値に競争の中心が移行した段階にシフトしたのだなぁと思う。
その中で、何故「固定電話」などといった古いものが争点として上がっているのか。
今回の動きの中心もやはり孫正義率いるソフトバンクが仕掛けたものなのだが、音声通信の「IP」化というパラダイムシフトの中で、いまだ古いビジネスモデルが支配的な部分に対して新しいビジネスモデルを確立しようというところにある。携帯電話とメールがコミュニケーションの中心となったとはいえ、何と言っても、固定電話市場、特に電話料金における基本料部分の割合大きい。自然、競争も熾烈になる。
新しいビジネスモデルとして提示されたのが日本テレコム買収でソフトバンクが提供を開始した「おとくライン」とその対抗商品としてKDDIの提供する「光プラス」「メタルプラス」だ。これら両方に共通するのは、既存のNTT東西に依存している加入者網部分を出来るだけ自営化しようということ。そのあたりのイメージについては、「東洋経済」誌や以前、このブログでも述べたので参照していただければいいと思う(「ソフトバンク、固定電話進出でユニバーサルサービスはいずこへ」)。
この新しいビジネスモデルのプレーヤーとして、元日本テレコム(現ソフトバンク)とKDDIは登場してくるが、何故かNTTコミュニケーションズは登場してこない。それもそのはずだ。これは明らかにNTT東西の収入源から既得権益を奪い取ろうとするものなのであり、とするといくら内紛が多いNTTグループとはいえ、NTTコミュニケーションズがあからさまにNTT東西の収入源を奪いにいくというのは難しいのだろう。とはいえ、今後の競争力の確保を考えるとNTTコミュニケーションズの参入の可能性は必ずしも低くはないだろう。NTT東西が地域内でも全面的なIP化を実施し、数少ないPOIでIPによる接続を認めない限り、競争上参入せざろうえないのだろう。
話を新しいビジネスモデルに戻すが、今回のソフトバンクとKDDIの動きは、「基本料収入を切り崩す」という点では同じであるが、その狙いの本質は全く異なる。ソフトバンクが交換機を利用した「信頼性」を目指しているのに対し、KDDIはフルIP化による「効率性」だ。それを考えると、今回の動きでは「破壊屋」孫正義にしては何か中途半端でKDDIの方が有利なのではないだろうか。
そもそもIP電話が何故これだけ安いのか、1つはキャリアとして必要とされる「交換機」が「ルータ」に変わることによるコストダウンと、もう1つはネットワーク効率が大幅に高まるからだろう。
「無音」部分をふくめた「時間」の占有が前提となる交換機によるネットワークの場合、いくら多重化技術が発達したとしても、その効果には限界がある。「私」と「あなた」が電話をしていてたとえ2時間何一つ声を発しなかったとしても、ネットワーク上では二人をつなぐ回線は確保されており、だからこそ利用した時間と距離に基づいて料金が発生する。それに対して、IP化された音声は単なるデータとして扱われる以上、2時間しゃべらなければ(音声)データも流れない。その二人の無音の間に他人の音声をどんどん割り込ませて隙間を埋めていくことができるのだ。さらにオペレーションさえしっかりしていれば、音声だろうがデータ通信だろうがIPとして全てを扱える以上、ネットワーク設備の2重投資が不要になる。
そう考えると、今回のソフトバンクのビジネスモデルは、企業向けに「信用」を得たいという気持ちはわかるものの非常に中途半端なものに思える。既に抱えている資産や人件費といったものを別にすれば、KDDIのモデルがもっとも競争力を確保できるのだろう。
日本テレコムは日本で先駆けてIP-VPNを提供してきたのであり、そうしたノウハウを活かすなら、あえてフルIP化を実現してもよかったのではないだろうか。
その中で、何故「固定電話」などといった古いものが争点として上がっているのか。
今回の動きの中心もやはり孫正義率いるソフトバンクが仕掛けたものなのだが、音声通信の「IP」化というパラダイムシフトの中で、いまだ古いビジネスモデルが支配的な部分に対して新しいビジネスモデルを確立しようというところにある。携帯電話とメールがコミュニケーションの中心となったとはいえ、何と言っても、固定電話市場、特に電話料金における基本料部分の割合大きい。自然、競争も熾烈になる。
新しいビジネスモデルとして提示されたのが日本テレコム買収でソフトバンクが提供を開始した「おとくライン」とその対抗商品としてKDDIの提供する「光プラス」「メタルプラス」だ。これら両方に共通するのは、既存のNTT東西に依存している加入者網部分を出来るだけ自営化しようということ。そのあたりのイメージについては、「東洋経済」誌や以前、このブログでも述べたので参照していただければいいと思う(「ソフトバンク、固定電話進出でユニバーサルサービスはいずこへ」)。
この新しいビジネスモデルのプレーヤーとして、元日本テレコム(現ソフトバンク)とKDDIは登場してくるが、何故かNTTコミュニケーションズは登場してこない。それもそのはずだ。これは明らかにNTT東西の収入源から既得権益を奪い取ろうとするものなのであり、とするといくら内紛が多いNTTグループとはいえ、NTTコミュニケーションズがあからさまにNTT東西の収入源を奪いにいくというのは難しいのだろう。とはいえ、今後の競争力の確保を考えるとNTTコミュニケーションズの参入の可能性は必ずしも低くはないだろう。NTT東西が地域内でも全面的なIP化を実施し、数少ないPOIでIPによる接続を認めない限り、競争上参入せざろうえないのだろう。
話を新しいビジネスモデルに戻すが、今回のソフトバンクとKDDIの動きは、「基本料収入を切り崩す」という点では同じであるが、その狙いの本質は全く異なる。ソフトバンクが交換機を利用した「信頼性」を目指しているのに対し、KDDIはフルIP化による「効率性」だ。それを考えると、今回の動きでは「破壊屋」孫正義にしては何か中途半端でKDDIの方が有利なのではないだろうか。
そもそもIP電話が何故これだけ安いのか、1つはキャリアとして必要とされる「交換機」が「ルータ」に変わることによるコストダウンと、もう1つはネットワーク効率が大幅に高まるからだろう。
「無音」部分をふくめた「時間」の占有が前提となる交換機によるネットワークの場合、いくら多重化技術が発達したとしても、その効果には限界がある。「私」と「あなた」が電話をしていてたとえ2時間何一つ声を発しなかったとしても、ネットワーク上では二人をつなぐ回線は確保されており、だからこそ利用した時間と距離に基づいて料金が発生する。それに対して、IP化された音声は単なるデータとして扱われる以上、2時間しゃべらなければ(音声)データも流れない。その二人の無音の間に他人の音声をどんどん割り込ませて隙間を埋めていくことができるのだ。さらにオペレーションさえしっかりしていれば、音声だろうがデータ通信だろうがIPとして全てを扱える以上、ネットワーク設備の2重投資が不要になる。
そう考えると、今回のソフトバンクのビジネスモデルは、企業向けに「信用」を得たいという気持ちはわかるものの非常に中途半端なものに思える。既に抱えている資産や人件費といったものを別にすれば、KDDIのモデルがもっとも競争力を確保できるのだろう。
日本テレコムは日本で先駆けてIP-VPNを提供してきたのであり、そうしたノウハウを活かすなら、あえてフルIP化を実現してもよかったのではないだろうか。
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