ビールを飲みながら考えてみた…

日常の中でふっと感じたことを、テーマもなく、つれづれなるままに断片を切り取っていく作業です。

ダニー・ボイルの放つ傑作SFホラー「28日後…」

2004年10月02日 | 映画♪
「トレインスポッティング」のダニー・ボイル監督が描いたSFホラー。オープニングがちょっとチープだったのでどうなるかと思ったけれど、いやいやなかなか結構どうして見ごたえあり。ストーリーもしっかりしてるし、特に映画版とはエンディングの異なる「特別編」の方は見終わった後のカタルシスもあるのでお薦めの1本!

過激動物愛護団体が研究所内に隔離されていたウィルス感染中のサルを解放したことから、英国に死に至る謎のウィルスが蔓延する。そのウィルスの名は「凶暴性」。そのウィルスに感染すると理性は破壊され、目は血走り、死に至るまで他人を攻撃し感染を広げようとするという。それから28日後、既に英国民は集団脱出を果たしていた、一部の人間と感染者を除いて…
病院の中で目覚めたジム(キリアン・マーフィ)は廃墟とかした街で感染者たちに襲われたところをセリーナ(ナオミ・ハリス)に助けられる。足手まといになるような仲間はもちろん、生き残るためには仲間さえ必要ないとするセリーナ、フランク父娘とともにジムは「特効薬」があるというラジオを頼りに、マンチェスター郊外へと向かう――。




これを見てまず思い出したのが、望月峯太郎の「ドラゴンヘッド」。妻夫木聡主演の映画の方は見ていないのでマンガの印象しかないのだが、廃墟とかした国で生き残るために戦いながら仲間を探し旅を続ける、という設定はまさに通じているし、ともに単純な冒険物語というよりは人間本来がもつ「狂気」「凶暴性」を作品の中に秘めているからだろう。

特に、ジムらを保護してくれるはずのヘンリー少佐らの軍隊の持つ(おそらく現実の戦争状況下の軍隊が持っているであろう)異常性、狂気性はウィルス感染者と何が違うのか、あるいはセリーナを救うためとはいえ、感染者を利用しつつヘンリー少佐らと対決するジムの姿は、(目を閉じたとしても)理性的である人間の中にある「凶暴性」をさらけ出していたのではないか。状況が変われば我々はいつでも"感染者"になりうるのだ。

そもそも始まりはなんであったのか?

オープニングでいきなり示されるのは、人間が行ってきた暴力的なシーンをサルに見せていたことではなかったか。そのことを考えれば、ダニー・ボイルが設定した謎のウィルスとは我々人間に内在するものに他ならない。

映画本編では「人間が生き延びていくために戦いつづける姿」で終わってどちらかというとただのアクション映画のようになってしまっているが、特別編では別のラストは待っている。それはカタルシスのあるHAPPYENDであり、その一方であれだけの「狂気」の後でごく当たり前のように平穏に過ごすことができるという、人間のもつ"怖さ"を表したものでもある。

我々は平野を駆け抜ける白馬の家族の如く、「支え合う」ことの崇高さを称えつつ、この狂気を飼いならさねばならないのだ。


【評価】
総合:★★★★☆
典型的なホラー好き:★★☆☆☆
ハリウッド嫌い:★★★★★

【参考】

ドラゴンヘッド 全10巻 望月峯太郎
ドラゴンヘッド -DVD-〔送料無料キャンペーン中〕

1 コメント

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Unknown (めけ。)
2004-10-04 05:34:19
こんばんわ~

コメントありがとうございました。

そういえば内容的にはドラゴンヘッドに似てますね。

漫画のほうも最後が「ええええっーーー」ですが・・・

レビューの書き方がお上手ですね。

私の読み返すとほとんどレビューになってないような

気がしてきました

(絵文字かわいい!)
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