何ごともシンプルであることに勝るものはない。テレビのリモコンしかり、携帯電話の取説しかり。こういうと誰もがうなづくのだけれど、実際にはそんな風には考えない。多くの場合、ついつい「足し算思考」に陥りがちだ。
例えばあるプロダクトを考えよう。それは携帯電話でもいいし、掃除機でもいいし、耳掻きでもいい。それらをより便利にしようとしたらどう考えるだろう。何を改善すればいいか、どんな機能がたりないか、何かが「あれば」便利になるだろうか--そう考えはしないだろうか。ついつい「付け足す」ことを考えてしまうのだ。
これはもちろん間違いではない。いろんな機能があれば便利なことは間違いない。ただ同時に考えねばならないのだ--単純に付け足すということは「利便性」だけではなく「わかりにくさ」も付け加えられるのだ。
テレビのリモコンを思い出してほしい。普段、いったいいくつのボタンを使っているだろうか。
「電源」、「1」~「12」までのボタン、「音量」、場合によってはビデオとの「入力切替」くらいじゃないだろうか。実際には使い方がわからないボタンが多くあり(ほとんどの場合、それらは無視されている)、リモコンを開くと更に多くのボタンが顔を出すだろう。これらはすべて「便利」にするためのボタンなのだ。しかしどれだけの人が使うのだろう。
同じようなことが他にもある。
事業領域の重なる異なるサービスを統合しようとした場合、どうすれば最もシナジーを実現することができるだろうか。
仮にA、B、Cという三つのサービスがあり、それぞれ「5」のポテンシャルをもていたとしよう。「足し算思考」の人はこの三つを全て足そうと考える。つまり
A:5 + B:5 + C:5 = 15
を目指そうとするのだ。しかし問題はそう簡単ではない。同じ事業領域であれば実は重なる領域もあるし、設計思想の違いから相殺する部分もあるだろう。メリットだけではなく、デメリットが膨らむ可能性もある。単純に 「 5 + 5 + 5 」という風にはいかないのだ。しかし足し算思考の人にはこのことがわからない。
本当のシナジーはどうすれば生まれるだろうか。
仮にはじめから「5」を足し合わせるのではなく、効果的な要素だけを選び、それ以外をそぎ落とし、「掛け合わせ」てみるとどうだろう。つまり
A:4 × B:4 × C:4 = 64
や
A:4 × B:3 × C:2 = 24
といった考え方だ。1つ1つをみれば決して「5」ではない。個別でみればサービスレベルは低下するかもしれないが、効果的なものに絞った上でそれらを「掛け合わせる」ことで、全体としてのサービスレベルを大きく向上させるのだ。
しかしこういった考え方は難しい。まず「削る」ということに対する心理的な「拒否反応」があり、何を掛け合わせることが「シナジー」を生み出すかといった綜合的な「ビジョン」が必要であり、そのための本質の「理解」や「決断力」・「行動力」といったものが問われることになる。
果たしてあなたの職場でこういった考え方ができる上司がいるだろうか。
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これはもちろん間違いではない。いろんな機能があれば便利なことは間違いない。ただ同時に考えねばならないのだ--単純に付け足すということは「利便性」だけではなく「わかりにくさ」も付け加えられるのだ。
テレビのリモコンを思い出してほしい。普段、いったいいくつのボタンを使っているだろうか。
「電源」、「1」~「12」までのボタン、「音量」、場合によってはビデオとの「入力切替」くらいじゃないだろうか。実際には使い方がわからないボタンが多くあり(ほとんどの場合、それらは無視されている)、リモコンを開くと更に多くのボタンが顔を出すだろう。これらはすべて「便利」にするためのボタンなのだ。しかしどれだけの人が使うのだろう。
同じようなことが他にもある。
事業領域の重なる異なるサービスを統合しようとした場合、どうすれば最もシナジーを実現することができるだろうか。
仮にA、B、Cという三つのサービスがあり、それぞれ「5」のポテンシャルをもていたとしよう。「足し算思考」の人はこの三つを全て足そうと考える。つまり
A:5 + B:5 + C:5 = 15
を目指そうとするのだ。しかし問題はそう簡単ではない。同じ事業領域であれば実は重なる領域もあるし、設計思想の違いから相殺する部分もあるだろう。メリットだけではなく、デメリットが膨らむ可能性もある。単純に 「 5 + 5 + 5 」という風にはいかないのだ。しかし足し算思考の人にはこのことがわからない。
本当のシナジーはどうすれば生まれるだろうか。
仮にはじめから「5」を足し合わせるのではなく、効果的な要素だけを選び、それ以外をそぎ落とし、「掛け合わせ」てみるとどうだろう。つまり
A:4 × B:4 × C:4 = 64
や
A:4 × B:3 × C:2 = 24
といった考え方だ。1つ1つをみれば決して「5」ではない。個別でみればサービスレベルは低下するかもしれないが、効果的なものに絞った上でそれらを「掛け合わせる」ことで、全体としてのサービスレベルを大きく向上させるのだ。
しかしこういった考え方は難しい。まず「削る」ということに対する心理的な「拒否反応」があり、何を掛け合わせることが「シナジー」を生み出すかといった綜合的な「ビジョン」が必要であり、そのための本質の「理解」や「決断力」・「行動力」といったものが問われることになる。
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