ビールを飲みながら考えてみた…

日常の中でふっと感じたことを、テーマもなく、つれづれなるままに断片を切り取っていく作業です。

おっぱいバレー:綾瀬はるかと予定調和な世界

2010年08月05日 | 映画♪
何というか、綾瀬はるかの魅力がいっぱいといえば聞こえがいいのだけれど、こうすれば面白いよね、こうすれば感動するよね、こうすればみんなの期待を裏切らないよね、こうすれば70点以上とれるよね、といった感じで作られて70点以上をとったといった作品。そういう意味では面白いし、期待を裏切るわけでもないんだけど、まぁ、驚きもなく予定調和な世界が繰り広げられたといっていい。

【予告編】

おっぱいバレー映画予告編


【あらすじ】

1979年、北九州市の公立中学校。新任教師、美香子は赴任早々、男子バレー部の顧問になった。しかし、部員全員やる気のない弱小チーム。思春期まっさかりで、女性の裸を見ることしか頭にない部員たちに、美香子は優勝したらおっぱいを見せる約束をしてしまう。以来、俄然やる気を出して部活に励むようになり、少しずつ成長を見せる男子バレー部。美香子は、本当におっぱいを見せなければいけないのか?!(「goo 映画」より)


【レビュー】

何というか、何とも予定調和な印象が強くて、例えば全体の印象としては「ぼくたちと駐在さんの700日戦争」的なノスタルジーと笑いの融合だし、ストーリーの展開もとりたてて目新しいものはない。かといってあきらかに退屈するシーンもなくて、本当、可もなく不可もなくといった感じ。

何となく、最近の日本の映画というのは、こういった「安心できる」笑いと「安心できる」感動と「安心できる」ストーリー展開のものが多いような気がする。それはテレビの延長線上として映画が捉えられているからなのか、あるいはバブル以降(ポストモダン以降)のシリアスなストーリーに対するアレルギーのせいなのか。

そういう意味では、これまでだって「予定調和」的な作品は多いわけだけれど、その中でも映画作品としてはそれなりに「面白み」を作り出したものもあった。松雪泰子が主演し第80回キネ旬邦画第1位にも選ばれたた「フラガール」なども、「ブラス!」の日本版じゃんみたいな感想もあったわけだし、かなり「予定調和」な作品だった。それでも、そういう作品の中でも予定調和なだけで終わらなかったのは、例えば「作品」にかけるスタッフの情熱や役者の演技力が観客をグイグイと作品に引き込み、感情移入をさせ、(「予定」を越えた)感動や笑いや涙を引き出したからだ。

しかしこの作品ではそうした過剰な「何か」は存在しない。

主役でもある綾瀬はるかは、それが彼女の魅力でもあるのだけれど、あくまで独特の雰囲気を作り出すタイプの役者であって、役になりきり、見ている側の感情移入を呼び起こすタイプの役者ではない。「綾瀬はるかによる美香子」という雰囲気は作れても、その内面を演じることによって観る側の心の奥の何かを呼び起こすことはできない。

また演出的にも、こうすればこう観客は受け取るだろうといった計算が先にたち、実際その通りの効果は上げるのだろうが、それ以上の何ものでもない。「ほらここは笑うところですよ。面白いでしょ。」笑いも感動も、言い方は悪いがテレビと同じようなアプローチをし、その通りの効果を上げて終わってしまっているのだ。

日本の映画というのはいつからこういう状態になったのだろう。ドラマとしての本筋での勝負を捨ててしまっている気がする。

【評価】

総合:★★★☆☆
綾瀬はるかの魅力はいっぱいです:★★★★☆
懐かしの音楽がいい感じ:★★★★☆

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