ビールを飲みながら考えてみた…

日常の中でふっと感じたことを、テーマもなく、つれづれなるままに断片を切り取っていく作業です。

パトリス・ルコントの「タンデム」

2004年06月26日 | 映画♪
オープニング、いきなりリカルド・コチャンテの歌が心を打つ、パトリス・ルコントのロードムービーの傑作。「髪結いの亭主」が好きな人なら必見だ。



かって国民的な人気司会者だったミシェルは、マネージャーのリプトとともに視聴者参加型のクイズ番組のために各地を回っていた。我儘気ままなミシェルの行動にリプトは頭を悩ませている。番組は各地で熱狂的に迎えられるが、その実、かってのような人気はなく番組の打ち切りが決定する。ミシェルにとってこの番組が生きがいであることを知っているリプトは打ち切りのことを言い出すことができない。ついにはオンエアされることのない、にせの公開録音まで用意するのだが…

「テレビ」に娯楽の中心を取って代わられた「ラジオ」、「国民的番組」というものが存在しみんなが熱狂できた時代の終焉、滅びよく男のダンディズム、友情、そして終わらない旅。男とは結局見栄っ張りな生き物なんだと思う。

女の旅には終着点があるのに、男の旅には何故終わりがないのだろう。

この「タンデム」や「タンゴ」、ヴィム・ヴェンダースの「パリ、テキサス」、ジム・ジャームッシュの「ダウン・バイ・ロー」…それは例えどうしょうもなく退屈であっても生きていかねばならない「日常」そのものでもあり、どこであろうと約束の地と思うことのできない生きることへの「過剰さ」でもある。

否、ただそうでない男は社会に埋もれてしまっただけなのかも知れない。

主演のジャン・ロシュフォールの表情とフランソワ・ベルネームの音楽、リカルド・コチャンテの主題歌が哀愁をかもしだす。


3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
懐かしい。 (銀太郎)
2004-10-10 09:27:08
ども。

ルコント、お好きなんですね。ワタシも好きです。

ざらざらとしているようで滑らかなテイストがいいですね。一貫して男の悲哀を描いているところにもググっときます。

この映画、劇場公開時に観たんですけど、細かくは忘れていることが多いなぁ。また見直してみたいと思います。
返信する
Unknown (ビールを飲みながら)
2004-06-27 11:25:41
「ショコラ」見ましたよ。いい映画でしたよね。

ジュリエット・ビノシュが素敵でした!



それにしてもラッセ・ハルストレムっていい映画ばっかりですよね。

シッピング・ニュースにショコラ、サイダーハウス・ルール、ギルバート・グレイプ…



また見たくなりました。
返信する
人生は静かに流れる河 (ちるにーのつぶやき:)
2004-06-27 08:17:19
トラックバックありがとうございます。



>女の旅には終着点があるのに、男の旅には何故終わりがないのだろう。



やはり女は定住の地を、「自分の場所」を求め

男はさすらってたまに女の懐に立ち寄る生き物なのではないでしょうか



ごく日常でさえそうである気がします



それが「さだめ」



男の捜しているものは家の外にあり

女の捜しているものは家の中にある



「ショコラ」はごらんになりましたか?

ジュリエット・ビノシュ、ハマリ役です。



これからごらんになるのでしたら

必ずおいしいチョコレートを用意して。

絶対に食べたくなりますから。

でも辛党かな?







返信する

コメントを投稿