既に「楽天証券」や「ライブドア証券」が誕生していることを考えると、Yahoo!のこの選択は自社の強みを活かした「適した判断」と言えるのだろう。しかしビジネスの世界に「絶対」という解がない以上、長いスパンで見た場合、この判断はYahoo!に繁栄をもたらすものなのか、制約をもたらすものなのか、それは今後の展開次第というところなのだろう。
ヤフーがついに証券取引仲介サービス参入--銀行、カードに続き総合金融へ
まず認識しておかねばならないことは、《貨幣》とは「情報」に過ぎないということだ。物理的な紙切れや銅の塊に価値があるわけではなく、そこに《信用》という情報が付与されているからこそ、貨幣は《貨幣》としての価値をもちうるのだ。
そう考えると、このインターネット時代というのは、貨幣が情報としての特性をもっとも発揮すべき時代なのだろう。つまり物理的な貨幣など必要なく、インターネット上の口座を通じて、あらゆる商取引や金融資産の管理・運用を行う時代なのだ。そこでは個人の金融口座と口座情報のやり取りを行わないポータルサイトなど死滅していく。
Yahoo!は、そういう意味で、ある面では先行しある面では出遅れてしまっている。ヤフオクをキラーコンテンツとした「Yahoo!ID」という「個人口座」の開設には、他のポータルサイトに対して大きなアドバンテージを持ちつつも、実際の金融事業、特に証券分野に対しては、証券専門の「松井証券」はともかくも、ネット系総合事業体の「楽天」や「ライブドア」に対しても後塵を拝している。
確かに「あおぞら銀行」との提携によって、銀行業務への参入への道筋は開いているが、基本的に銀行業務というのは貸し出してナンボである。決済系の手数料収入をベースとするならば、クレジット業務や証券業務、先物取引といった分野の方がインパクトは大きいだろう。
そうした遅れを取り戻すためにYahoo!が選択したのが、自らのアドバンテージを発揮しうる「Yahoo!ID」と日興コーディアルなどの証券会社の口座を括りつけ、株に興味ある人が新たに証券会社に口座を開設する手間を省きますよ、というビジネスモデルだ。これは現時点ではもっとも現実的かつ効果的な戦略といっていい。しかし今後、貨幣のバーチャル化が進んだ時、彼らの選択は彼らにとっての制約になるのではないだろうか。
このニュースを読む限り、彼らは「Yahoo!ID」という口座についてオープンなスタンスを取っている。それは既に「Yahoo!ID」という大規模な口座を持っているからではあるが、逆に自らが主体的に証券業に参入する場合には利害関係が相反することになる。つまり多くの証券会社と提携することで「広く薄く」利益を得るために、自ら証券事業に参画し「より多く」の利益を得ることができにくくなるのではないだろうか。これらはどちらが正しいというわけではない。うまくいった方が正しいのだ。
電波行政によって既に3社という寡占状態が演出されている「ドコモ」ですら、自らクレジット業に参画する時代、Yahoo!の選択はある意味、安全パイをとった大企業病のように見えなくもない。金融を巡るネット企業の戦い/合従連衡はまだ始まったばかりなのだろう。
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そう考えると、このインターネット時代というのは、貨幣が情報としての特性をもっとも発揮すべき時代なのだろう。つまり物理的な貨幣など必要なく、インターネット上の口座を通じて、あらゆる商取引や金融資産の管理・運用を行う時代なのだ。そこでは個人の金融口座と口座情報のやり取りを行わないポータルサイトなど死滅していく。
Yahoo!は、そういう意味で、ある面では先行しある面では出遅れてしまっている。ヤフオクをキラーコンテンツとした「Yahoo!ID」という「個人口座」の開設には、他のポータルサイトに対して大きなアドバンテージを持ちつつも、実際の金融事業、特に証券分野に対しては、証券専門の「松井証券」はともかくも、ネット系総合事業体の「楽天」や「ライブドア」に対しても後塵を拝している。
確かに「あおぞら銀行」との提携によって、銀行業務への参入への道筋は開いているが、基本的に銀行業務というのは貸し出してナンボである。決済系の手数料収入をベースとするならば、クレジット業務や証券業務、先物取引といった分野の方がインパクトは大きいだろう。
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