「 瑞がき山 シリーズー3」
森川 雅昭さん 撮影
世界に範たるアメリカ合衆国が、この度は意外な、驚くべき或いは
呆れるほどの実体を世界に知られてしまった。
どうもアメリカ人、米国に対するイメージが裏切られ、こんなもの
だったのかという失望と意外な感覚を抱いた。
少年の頃から、英語の授業や映画そしてTV番組の『パパは何でも知っている』
などで描いていたアメリカ像がある。
そして子供の頃、疎開先に米軍が進駐してきた。米兵達は皆明るく紳士的で
やさしく、我が家にもよく遊びに来ていた。父親には缶ビール、母には缶詰、
兄と私にはハーシーのチョコやガムをよく手土産に貰ったものだ。
彼等が東京へ引き上げる時は、早朝だったが別れを惜しんで市民総出で道の両側で
見送ったのを覚えている。その中には、我が家が東京へ戻ってからも遊びに来てくれた。
チョコやガムを貰ったから言うのではないが、子供心にも彼等はとても優しく紳士で
明るかった。後で聞くと、東北地方は保守的でおとなしく、まずは反乱や革命などはない
として、米兵の中でも程度の良いワシントン出身の高校卒業の兵士を進駐させたそうだ。
地方によってはシカゴの山奥の木こり上がりの乱暴で、自分の名前も書けないような
兵士達が送られて、その地では略奪や暴行事件が多くて大変だったと聞かされた。
そんなわけで私のアメリカ人に対する心証はすこぶる良いのである。
ところがこの選挙の光景を見ていると、子供の頃のアメリカ人観が崩れそうである。
あの罵りあい、罵詈雑言それに対して熱狂的な一般の支持者達、銃で武装した集団、
そして負けたら裁判に持っていくと公言する候補者、一方が負けたら暴動が起きかね
ない空気で、商店のウインドウは板を打ち付けている。
こんな様々な事態をみると、民主主義とはこんなものだったのかと思ってしまう。