都市の中心部と郊外と比較して常に気温が高いということは、100年以上も前から報告されており、世界中の多くの都市でも確かめられている。
この都市部の気温が周辺部より高くなる現象をヒートアイランド現象という。
都市内外の気温差は1年を通じてあるが、とくに風のない夜間は差が大きく、また夏よりも冬のほうが差が大きいという傾向がある。その温度差は、時には5度以上になることも。
その主な原因は、アスファルトの道路は昼間の太陽の熱射で深層まで高温となり、夜間に蓄積された熱が放出される。 緑地面積が小さくなると植物や地表からの水分の蒸発量が減少し、蒸発潜熱が減少する。 都市への人口の集中により各種のエネルギーの使用量が増え、排熱量が増加するなどである。
これらのことが悪循環になって、都市の気温は年々上がり続けている。大正時代は熱帯夜は年に一回あるかないかだったという。現在、ヒートアイランド現象がこのまま行けば、30年後の東京では気温が40度を超える日も珍しくなくなると予測する学者もいる。
ヒートアイランド現象の発生原因とされている「ヒートアイランド循環」と呼ばれる風の流れがある。都市部では、建物や道路の蓄熱、人工排熱などによって郊外よりも温度が高くなるために上昇気流が生じ、地上では郊外から都心へ、上空では逆の循環流が発生する。この上昇期流は「ダストドーム」と呼ばれる都市上空で汚染物質をドーム状に覆う現象を起こさせる。ヒートアイランド現象は、単なる熱汚染問題であるのみならず、大気汚染問題でもあるのだ。
内閣府の総合規制改革会議「ヒートアイランド現象の解消」について調査・審議され、2002年3月「規制改革推進3ケ年計画」として閣議決定した。
この決定に先立ち、環境省ではヒートアイランド現象は都市の熱大気汚染現象であるとの見解を公表している。
環境省・国土交通省・経済産業省等関係省庁からなる総合対策会議の設置によって、総合的な推進体制を構築するとともに、「解消対策に係わる大綱の策定」についても検討が始まっているが、問題は総合的にみた科学的研究成果があまりに少ないことである。
20世紀の100年間で東京首都圏の市街地面積と人工排熱はそれぞれ100倍になった。これがヒートアイランドの直接的原因であるが、その対策に最も有効なグリーンベルトが1930年当時、2万haが計画されていたが、その形骸すら残っていない。
木造密集危険市街地が2万ha以上、さらに都市内河川の80%が埋め立てられてしまった。
12万haあった東京湾の2万haが工業用地として埋め立てられ、火力発電所や石油・鉄鋼コンビナートが立地した。
このような状況から、必然的に生じたヒートアイランド現象の解明は社会的にも急務である。
① 都市再生・構造特区の指定並びに開発に当たって、ヒートアイランド現象を拡大させないよう十分な対策を立てる。
都市再生事業等による都市開発行為がヒートアイランド現象を悪化させないようヒートアイランドアセスメントを実施する体制を整備する。
② 人口過密な大都市にあっては、アメダス測定点の10倍以上の観測点を立体的に配置する。少なくとも、政令都市における重要な測定点を明示し、その管理手法を検討する。
③ 各地方自治体にあっては、それぞれ都市計画の前段階で環境計画の策定が義務付けられている。その環境計画の中で、都市環境気候図の作成を要望する。
これを受けて、東京都では、下記の方向性を打ち出している。
「ヒートアイランド現象に対する東京都の施策の方向」
(東京都環境基本計画第2部より抜粋)
ヒートアイランド現象は、環境への配慮が不十分だったこれまでの都市づくりの結果、生まれているものであり、東京では、ヒートアイランド現象の原因として挙げられているどの要素も改善に向かっていません。ここで政策の転換が図られない限り、今後も悪化していく強いおそれがあります。 ヒートアイランド現象の緩和に効果があると考えられる対策は、地球温暖化対策や都市緑化など、他の施策目標にも寄与するものであり、ヒートアイランド現象を緩和する都市づくりは、そのまま、環境に対する負荷の少ない持続可能な都市づくりに通じます。今後、都市レベルから個々の建築物における対策まで、あらゆるレベルにおいて水や緑の蒸散効果を回復する被覆対策、人工排熱の抑制を目指す省エネルギー対策など、着実な取組を進めていきます。また、東京湾からの海風や川沿いの風を生かし都市を冷やしていくことも有効と考えられ、建物の配置や高さ、形状を工夫するなど、「風の道」に配慮した都市づくりを検討していきます。
(ここまで東京都のHPより)
ヒートアイランド現象が、いかに、国、自治体、企業といったレベルで取り組まなければ解決出来ないことかがこれらのことからわかる。
またヒートアイランド対策はいまやビジネスであり関連のマーケットは広がりさまざまな新技術をひっさげて、企業はヒートアイランド対策を謳う。
新技術の開発が進むのは歓迎だ。
しかし小手先の緑化ビジネスや、パフォーマンスでは解決しない。
技術開発、科学的研究が包括的になされ、それがフィードバックされ、国と自治体、企業が総合的に連携し、これらすべてを有機的に機能させていくことが必要だ。
この都市部の気温が周辺部より高くなる現象をヒートアイランド現象という。
都市内外の気温差は1年を通じてあるが、とくに風のない夜間は差が大きく、また夏よりも冬のほうが差が大きいという傾向がある。その温度差は、時には5度以上になることも。
その主な原因は、アスファルトの道路は昼間の太陽の熱射で深層まで高温となり、夜間に蓄積された熱が放出される。 緑地面積が小さくなると植物や地表からの水分の蒸発量が減少し、蒸発潜熱が減少する。 都市への人口の集中により各種のエネルギーの使用量が増え、排熱量が増加するなどである。
これらのことが悪循環になって、都市の気温は年々上がり続けている。大正時代は熱帯夜は年に一回あるかないかだったという。現在、ヒートアイランド現象がこのまま行けば、30年後の東京では気温が40度を超える日も珍しくなくなると予測する学者もいる。
ヒートアイランド現象の発生原因とされている「ヒートアイランド循環」と呼ばれる風の流れがある。都市部では、建物や道路の蓄熱、人工排熱などによって郊外よりも温度が高くなるために上昇気流が生じ、地上では郊外から都心へ、上空では逆の循環流が発生する。この上昇期流は「ダストドーム」と呼ばれる都市上空で汚染物質をドーム状に覆う現象を起こさせる。ヒートアイランド現象は、単なる熱汚染問題であるのみならず、大気汚染問題でもあるのだ。
内閣府の総合規制改革会議「ヒートアイランド現象の解消」について調査・審議され、2002年3月「規制改革推進3ケ年計画」として閣議決定した。
この決定に先立ち、環境省ではヒートアイランド現象は都市の熱大気汚染現象であるとの見解を公表している。
環境省・国土交通省・経済産業省等関係省庁からなる総合対策会議の設置によって、総合的な推進体制を構築するとともに、「解消対策に係わる大綱の策定」についても検討が始まっているが、問題は総合的にみた科学的研究成果があまりに少ないことである。
20世紀の100年間で東京首都圏の市街地面積と人工排熱はそれぞれ100倍になった。これがヒートアイランドの直接的原因であるが、その対策に最も有効なグリーンベルトが1930年当時、2万haが計画されていたが、その形骸すら残っていない。
木造密集危険市街地が2万ha以上、さらに都市内河川の80%が埋め立てられてしまった。
12万haあった東京湾の2万haが工業用地として埋め立てられ、火力発電所や石油・鉄鋼コンビナートが立地した。
このような状況から、必然的に生じたヒートアイランド現象の解明は社会的にも急務である。
① 都市再生・構造特区の指定並びに開発に当たって、ヒートアイランド現象を拡大させないよう十分な対策を立てる。
都市再生事業等による都市開発行為がヒートアイランド現象を悪化させないようヒートアイランドアセスメントを実施する体制を整備する。
② 人口過密な大都市にあっては、アメダス測定点の10倍以上の観測点を立体的に配置する。少なくとも、政令都市における重要な測定点を明示し、その管理手法を検討する。
③ 各地方自治体にあっては、それぞれ都市計画の前段階で環境計画の策定が義務付けられている。その環境計画の中で、都市環境気候図の作成を要望する。
これを受けて、東京都では、下記の方向性を打ち出している。
「ヒートアイランド現象に対する東京都の施策の方向」
(東京都環境基本計画第2部より抜粋)
ヒートアイランド現象は、環境への配慮が不十分だったこれまでの都市づくりの結果、生まれているものであり、東京では、ヒートアイランド現象の原因として挙げられているどの要素も改善に向かっていません。ここで政策の転換が図られない限り、今後も悪化していく強いおそれがあります。 ヒートアイランド現象の緩和に効果があると考えられる対策は、地球温暖化対策や都市緑化など、他の施策目標にも寄与するものであり、ヒートアイランド現象を緩和する都市づくりは、そのまま、環境に対する負荷の少ない持続可能な都市づくりに通じます。今後、都市レベルから個々の建築物における対策まで、あらゆるレベルにおいて水や緑の蒸散効果を回復する被覆対策、人工排熱の抑制を目指す省エネルギー対策など、着実な取組を進めていきます。また、東京湾からの海風や川沿いの風を生かし都市を冷やしていくことも有効と考えられ、建物の配置や高さ、形状を工夫するなど、「風の道」に配慮した都市づくりを検討していきます。
(ここまで東京都のHPより)
ヒートアイランド現象が、いかに、国、自治体、企業といったレベルで取り組まなければ解決出来ないことかがこれらのことからわかる。
またヒートアイランド対策はいまやビジネスであり関連のマーケットは広がりさまざまな新技術をひっさげて、企業はヒートアイランド対策を謳う。
新技術の開発が進むのは歓迎だ。
しかし小手先の緑化ビジネスや、パフォーマンスでは解決しない。
技術開発、科学的研究が包括的になされ、それがフィードバックされ、国と自治体、企業が総合的に連携し、これらすべてを有機的に機能させていくことが必要だ。