夜、今回の研修の講師をなさった、
北垣武文先生
(有限会社ヒュー リッドコンサルティング 取締役)
と雑談をする時間がありました。
研修のテーマは以前にもお伝えしたとおり「共に勝つ」。
私自身は「のるかそるか」という厳しい交渉を仕事で
リアルに体験したことはありません。
ただ、比較的若いころ、「交渉」が「失敗して」「最悪の結果」
を生んだケースにをその結果をリアルに体験し、交渉事の怖さが
頭というより、感覚に叩きこまれました。
私が経験したケースは・・・。
かつて大きな組織(例えば国家のようなもの)を背負って交渉事
をしていて成功した人間が、小さな組織(個人事務所)に移っても
同じスタイルで仕事をし、大きなプロジェクトに私財を投じた。
そして、個人事務所で私財を投じているにも関わらず、
大きな組織と同じやり方で進めたため、そのやり方では通用せず、
心無い相手にいいようにカモにされ、骨の髄まで吸い尽くされた。
その結果、プロジェクトは消滅し、多額の負債を個人的に背負うことに。
個人所有の家も土地も競売に出され、一時的には家族も崩壊。
その最中に本人も死亡。生命保険も残らなかった。
***
ここまでとはいわないにしても、
交渉事の怖さはここにあります。
だから、疑心暗鬼にもなります。
また、自社の状況が大きく変化し、経済状況も変化したことを
自覚せずに仕事をすると、これほど大きな打撃を被るのは事実。
「変化に対応できないことが、どれほど致命的か」を
私は亡骸を抱きしめながら理解しました。
喧嘩してでもわからせようと思ったがそれができなかったことを
心の底から悔やみながら。
これと同じことが、「変化しつつある業界」にいる私たち放送人
だと考えてよいと思います。
国家をバックにした人間が個人事務所になるほどではなくても、
私たちをとりまく環境は激変しています。
放送業界では、これまで「ねじふせ型」でも通用した、
というか、「ねじふせ型」の方が上手く事が進むケースが多かった
かもしれない。
そんな放送業界は、外部環境の大きな変化により、
「古い形の放送業界ビジネスモデルは崩壊した」と言われます。
「これまでのやりかた」=「ねじふせ型」(殿様商売)が通用しなくなった。
これはもう随分前からわかっていたことだと思います。
そして、相乗効果、シナジーといったものを生み出しながら、
つながり、広がっていくことに重きを置くようになったが、
それが実践できているのは、まだ一部の人間。
ちなみに、3年目になるこの研修の参加者が、社内ではまだ少ない
その実践者であること、すでに成果をあげていることは、
偶然ではないと思う。
その一部の人間はどんな交渉スタイルを持っているのか?
これが今回、私が持ち帰りたかったものです。
さて、話を戻します。先生との会話。
講習の中で、たびたび先生が「以前は違った」「古いタイプの交渉では」
という言葉を多用されていたので、
MBAホルダーという経歴から、先生が以前は「ねじふせ型」だったことは
推察できました。
先生自身はかなり早い時期に、そのスタイルの限界に気付き、
ご自分で勉強をなさって「創出型交渉」を身につけ、
その啓発や実践指導などをはじめられたようです。
ライオンへの途中歩きながら・・・。
私
「先生の交渉スタイルは、昔は『ねじふせ型』だったんですか?」
先生
「典型的でしたね(笑)。
当時コンサルタントはみんなそうだったんですよね。
で、途中で気付いたんです。
力でねじふせるだけでは限界があると」
(のようなお話をしてくださいました)
小手先では駄目なんですよ。
長期的にお互いの価値を創造していくには。」
私
「小手先多いですよね~、特にうちの業界。
でも、小手先は、ばれますよね」
先生
「すぐばれます。そうすると長期的な価値の創造には
つながらないんです。
交渉スキルは必要です。ただスキルだけでは上手くいきません。
どれだけつながり、広げていくか、価値を創出するか、
しかも長期にわたって。それが大切なんですよ。本質が。」
こんなかんじの真面目なお話を少しだけ聴かせていただき、
これが大きな収穫でした。
今回、
BATNAや
ZOPAなどの用語をゲームの中で実感して、
3つのCのフレームワークとともに、おさえておかなければいけないスキル
であることを痛感したが、と同時に「スキルだけでは駄目」だということが
よくわかりました。
たった2日間の研修でも、
「組みたい相手」「いっしょに仕事したい相手」
は、ある程度みんなわかったように、ゲームの最後感じました。
私自身は最後の組で人間性も能力も秀でていると感じた人たちと
最後のゲームをするという幸運に恵まれたため満足のいく交渉ができました。
現実ではこんなラッキーは、まずないだろうと思います。
それでも最後に「勝ちパターン」を実感できたのは大きな収穫でした。
そして「勝ち」の定義はいろいろありますが、協同する、つながる、
広がることにより、価値を創出することにより、
「現実の仕事の場で」「共に勝つことは可能だ」
という個人的な感覚が「確信」に変わりました。
最後に、交渉スタイルで「協調性」「受信」「発信」が大きく出て
「制圧性」が極めて低く出た私に、
「っていうか、そうしたくないんでしょ?」
といった同じミシシッピー社の社長(ゲーム上ね)Tさん、
その通りです。
このT社長(本当は某製造業の開発者)T専務(本当は教育産業)
ワインアドバイザーのYさんと最初に同じ班になり本当に勉強になりました。
ミシシッピー班のみなさん有難う。
以下すべて架空の設定ですが、
交渉の厳しさを制作会社役の私に教えてくれた
テレビ局側のタフネゴシエーターのKさん、Nさん、
ハリウッド女優の私を100万ドルプラスシリーズ化
PRでの主役級扱いで起用してくれた辣腕プロデューサー、
大手A社の新担当として最後の交渉を
Win-Winに導いたT専務(本当は教育産業)
高速デバイスを開発しわがA社と一連托生になってくれた
ベンチャーのTさんコンビ、
そして、すべてのみなさんと、先生に心からの有難う。