まさおさまの 何でも倫理学

日々のささいなことから世界平和まで、何でも倫理学的に語ってしまいます。

ゆっくり 「びすたーり」 でランチ

2010-07-12 17:47:57 | 飲んで幸せ・食べて幸せ
先週末、仙台の長町にある 「びすたーり」 というお店にランチを食べに行ってきました。
正確な名称は 「長町遊楽庵 びすたーり」 です。
まあはっきり言って仙台の長町って、福島から行くにはちょっと不便なところですよね。
今回はクルマで行ったので、うちから1時間くらいで着きましたが、
食事をしにわざわざ出かけていくようなところではありません。
たまたま知り合いがこちらの関係者だったもので、いろいろと話を聞いていて、
わざわざ出かけてみたいなと思い、御一緒させていただいたというわけです。

じっさいに行ってみると、わざわざ出かけていくだけの価値のあるお店でした。
長町という辺鄙なところ (長町に対して失礼かな?) にあるのは、
たまたま長町に、古くからあるので壊すのは忍びないけど、
ほっといてもどうしようもないという古民家があって、
それを再利用してお店に改造したからです。
外観はこんな感じです。



お店としてリフォームするときに相当手が入ってはいるのでしょうが、
中の梁や柱は元のままだそうです。
もともと材木屋さんだったということで、
使われている木は最高級のリッパなものです。
重厚な構造に漆喰の壁がステキな雰囲気の空間を作り上げていました。
お客さんがいっぱいだったのであまり中の写真を撮りまくるわけにいかなかったのですが、
中はこんな感じです。



とても寛げる雰囲気のなかでいただく料理はどれも美味しいのですが、
写真を撮るのを忘れてしまいました。
こちらでご覧ください。
日替わりランチもパスタランチも美味しかったのですが、
酒飲みとしては、できれば次回は電車で来て、ディナーをいただいてみたいところです。
こちらのコンセプトとしては、
「生産者の顔が見える、安心な食材でお料理を提供します」 ということだそうで、
名取にある 「びすたーりファーム」 で採れた野菜を中心に使っているのだそうです。
ランチもどれも野菜たっぷりな身体に優しい感じのお食事でした。

こちらではただ食事をするだけではなく、数多くのイベントが開催されています。
「コンサートや芝居が出来てゆっくり楽しめる」 というのもコンセプトのひとつです。
店内にはピアノが置いてあって、私にはまったくわかりませんが、
「ベーゼンドルファーModel225 セミコンサートモデル」 というけっこう高くていいピアノだそうです。
所有者のテノール歌手の方が、このお店のことを気に入って、
自分の家に置いておくよりもこの店で活用してほしいとのことで、
コンサートなどに自由に使ってもらえるよう、こちらに置かせてくださっているのだそうです。
第1と第3土曜日の夜には生演奏があるらしいので、
今度はそういう機会に出かけてみたいと思います。
あるいは菊池南里さんや、うちの大学の音楽の先生方や学生さんたちに、
ぜひここでコンサートを開いていただきたいと思うのですがいかがなもんでしょうか。

ところで、この店のロゴマークがとてもかわいいのです。
この写真で見えるでしょうか?



右下のやつです。
お箸の袋にもハンコが押されていたので、
そちらのほうがよく見えるかもしれません。



頭がおっきいのですが、これはカメをかたどったロゴです。
「びすたーり」 というのはネパール語で 「ゆっくり」 という意味だそうで、
「ゆっくり」 を表すためにカメのロゴなわけです。
このロゴは食器にも入っていました。



これもやっぱりちょっと見にくいので、拡大するとこう↓です。
さすがに写メではボケていますが。



このロゴや店名が表しているのは、
食事やイベントをゆっくり楽しむということだけではありません。
実は、このお店は障害者支援のための特定非営利活動法人 「ほっぷの森」 が運営しているのです。
そう言われなければ気づかないままのお客さんもいらっしゃるのだそうですが、
フロアでも厨房でも障害をもった方々がたくさん働いています。
彼らがゆっくり働いていける職場が 「びすたーり」 なのです。

日本という国は障害をもっている人たちに優しい国とはけっして言えません。
じっさい、この古民家に出会うまでにいくつか物件をあたっていたのですが、
障害者が出入りするからということで断られた話もあったのだそうです。
未だにそんなことが起こる国なのですが、
それでもこういうステキなお店も一方では誕生しているわけです。
今回連れて行ってくださったのはこの 「ほっぷの森」 の事務局長さんですが、
隣のテーブルである店員さんがメニューの説明をしているのを聞いて、
「○○ちゃん、メニューの説明できるようになったんだぁ」 と涙ぐんでおられました。
みんな障害を抱えているから自分のペースでゆっくりとなんだけれども、
障害があるからということに安住してしまうのではなく、
そんなことを感じさせないようなサービスを目指して、
(じっさい私はその話を聞かなければそこにドラマがあることに気づかなかったでしょう)
一歩一歩努力し続けていっている、そういうお店のあり方に心を打たれました。
私としても障害者のみなさんを支援するためになんていう気負いはまったくもたずに、
ただステキな建物と美味しい食事と (次回はぜひお酒も) 楽しいイベントをゆっくり味わうために、
また 「びすたーり」 を訪れてみたいと思います。
(でも長町はなあ…、できれば福島に姉妹店を作ってくれないかなあ…)