看護学校の最後の授業では、哲学とは直接関係ないのですが、
積極的傾聴についてちょっとレクチャーし、グループワークもやってもらいました。
最後の授業では看護という仕事について考えてもらいましたので、
そのなかで積極的傾聴の話も出てきたわけです。
私はキャリアカウンセラー (キャリア・ディベロップメント・アドバイザー) の資格を取るときに、
積極的傾聴に関して理論的なことを学んだり、ロールプレイもさせられたので、その受け売りです。
積極的傾聴というと、なんだかいろいろと質問して話を聞き出すみたいに誤解されますが、
そうではなく、相手が話したいことをじっくりと聴いてあげることが積極的傾聴であり、
そのためにどうしたらいいかというノウハウ的なことも少し話しました。
姿勢や目線や頷き、表情などの非言語コミュニケーションが大事なこと、
言語コミュニケーションとしては、まずは相槌、そして相手のキーワードを繰り返すことが大事で、
質問する場合もこちらが訊きたいことを訊くのではなく、
相手のキーワードを掘り下げるような質問をしてあげることなどを簡単にレクチャーしました。
授業の最後に、この14回の授業を振り返ってもらいどんな学びがあったかをすべて思い出し、
そのなかで一番考えが深まったことは何だったかを考えてもらいました。
(これはレポートを書くための準備作業です。)
そして、4人ずつのグループに分け、1人あたり3分ずつそれについて話してもらいました。
残りの3人はその人の話に対して積極的傾聴をします。
友だちと思わず、患者さんの話を積極的傾聴しているんだと思ってやるようにと指示しました。
とはいえ慣れ親しんだ仲間ですから、グループによっては誰が発表者なのかわからないくらい、
ただの談笑になってしまっているケースもありましたが、
みんなそれなりに一所懸命取り組んでくれました。
このワークをやってみての感想をいくつか紹介しておきます。
「自分の意見をきいてもらうときにうなずいたり反応があると聞いてもらっていると感じるし、自分の意見に共感してもらっているとも感じることができました。」
「自分の考えを傾聴してもらいましたが、うなずきや目線を合わせて聞いてくれて、うまく伝えることができていませんでしたが、積極的傾聴をしてもらったことで、素直に思いや考えを伝えようという気持ちになったし、とても話しやすくなりました。」
「相手の目線やうなずき、身体の向きなど話を聞いてくれる姿勢が整っていれば、話したい気持ちになるし、話してもいいんだと思えました。」
「積極的傾聴をしてみて、相手があいづちをうってくれたり、うなずいてくれたりすると、話しやすい雰囲気になると感じました。実際に患者さんにかかわる時には、目線や表情などにも注意していきたいと思いました。」
「話す相手の表情や動きなど、非言語的なところで、話しやすさや話そうと思えるかどうかがかなり変わってくると思いました。」
「積極的傾聴をしてもらって感じたことは、『うんうん』 と話をきいてもらっていると 『聴いている』 感じが伝わってきて嬉しかったです。『うん』 の強弱でも伝わり方が分かるし、もう少し話したいと感じました。傾聴したときには相手の目を見ることが恥ずかしく感じることもありますが、そうやって話をきくことで、相手が話をしてくれることが分かった。」
「積極的傾聴をした時は、自分も相手の話をきちんと聞こうという気持ちになり、してもらった時は、自分の話を真面目に聞いてもらっているという気持ちになりました。やはり、表情や相槌、うなずきなど、聴く姿勢は大切だと分かりました。」
「積極的傾聴をする側としては、ただ聴いているだけでなく、どの部分がキーワードなのか見つけることが少し難しく感じました。また、される側としては、相づちや、真剣に話を聴いてもらえること自体が嬉しく思いました。」
「私が話をしている時に、うなずいたり、こういうことで苦しんだ、辛いと感じたということについて話した時に、辛そうな表情をしてくれたり、そういうふうにできたことについてほめてもらったりして話しやすかった。私が傾聴している時は、話してる人と目があったり、周囲の人の表情や態度をみて参考になった部分もあった。傾聴するのは難しいが、キーワードをくり返すことや、うなずく、表情も大切な傾聴の一つだと感じた。」
「積極的傾聴をしてもらい、あいづちや目を合わせ 『うん、うん』 と聞いてくれることで、話を聴いてくれているんだと感じ、話をたくさん聞いてほしいと思い、思いを伝えることができました。また3分間の中で、余った時間をメンバーがキーワードを引き出してくれて、またさらに話すというようなことがあり、自分の気持ちを知ってくれたという気持ちになりました。」
「積極的傾聴は自分の話をしっかり聞いてもらえていると感じることができました。日頃の生活で積極的傾聴ができていないなと感じました。」
「積極的傾聴は簡単そうに思えて難しかった。つい自分の意見をしゃべってしまったり、笑ってしまったりしてしまった。」
「積極的傾聴では、うなずいて聞いてくれたり、相づちをうってくれる人に話しやすいと感じた。やはり、『聴く』 ということは難しくて、自分も話してしまうことが多かったので気をつけたい。」
「今までの実習の中でも積極的傾聴を必要とする場面では行えていたと思っていた。しかし、先生もおっしゃっていた通り、グループメンバーで積極的傾聴をしているつもりだったが、振り返ってみるとできていなかった。そのため、今後の実習を通して積極的傾聴のスキルを身につけていきたいと思った。」
「私も、話を聞くことよりも話すことが多いので、積極的傾聴をするのは難しく感じた。でも、聴き手の反応一つで、話し手の話しやすさが変化することも感じられた。」
「積極的傾聴をしてもらった時には、自分の話したい事を好きな様に話し、相手に聴いてもらったのでスッキリしました。思いを伝えたいと強く感じている患者さんも多いと思うので、積極的傾聴は大切だなと感じました。」
「傾聴してくれて、うなずいたりしてもらうと、ちゃんと聴いてくれているのだなと思って、いろいろ話したくなった。特に患者さんや家族の話を聴く立場になるので、傾聴の大切さを改めて知ることができた。」
今年は時間が押してしまってわずかな時間のグループワークでしたが、
そのなかでみんないろいろなことを学び取ってくれたようでよかったです。
みんなの感想を読んでいて、このワーク、
「哲学」 の授業の一番最初にやっておけばよかったと思いました。
そうしたらみんなぼくの授業も積極的傾聴してくれて、
ぼくはそうとう気分よく講義することができたのではないでしょうか。
それを言ったら看護学校でよりも福島大学の授業でこそ、
最初に積極的傾聴の練習をしてもらう必要があるのかもしれません。
大学教員がどれほど砂を噛むような、虚しい気分で授業をしていることか…。
人の話を黙って90分間聞き続けるのが苦痛であることは知っていますが、
聞いているのかいないのかわからない、それどころかあからさまに聞いていない人もいる前で、
90分間しゃべり続けなければならない苦痛のことも少しは理解してもらえたらと思います。
積極的傾聴かあ。
憧れるなあ。
ぼくが入院したときにはぜひ、看護学校の教え子たちに積極的傾聴してもらいたいと思います。
その節はなにとぞよろしくお願い申し上げます
。
積極的傾聴についてちょっとレクチャーし、グループワークもやってもらいました。
最後の授業では看護という仕事について考えてもらいましたので、
そのなかで積極的傾聴の話も出てきたわけです。
私はキャリアカウンセラー (キャリア・ディベロップメント・アドバイザー) の資格を取るときに、
積極的傾聴に関して理論的なことを学んだり、ロールプレイもさせられたので、その受け売りです。
積極的傾聴というと、なんだかいろいろと質問して話を聞き出すみたいに誤解されますが、
そうではなく、相手が話したいことをじっくりと聴いてあげることが積極的傾聴であり、
そのためにどうしたらいいかというノウハウ的なことも少し話しました。
姿勢や目線や頷き、表情などの非言語コミュニケーションが大事なこと、
言語コミュニケーションとしては、まずは相槌、そして相手のキーワードを繰り返すことが大事で、
質問する場合もこちらが訊きたいことを訊くのではなく、
相手のキーワードを掘り下げるような質問をしてあげることなどを簡単にレクチャーしました。
授業の最後に、この14回の授業を振り返ってもらいどんな学びがあったかをすべて思い出し、
そのなかで一番考えが深まったことは何だったかを考えてもらいました。
(これはレポートを書くための準備作業です。)
そして、4人ずつのグループに分け、1人あたり3分ずつそれについて話してもらいました。
残りの3人はその人の話に対して積極的傾聴をします。
友だちと思わず、患者さんの話を積極的傾聴しているんだと思ってやるようにと指示しました。
とはいえ慣れ親しんだ仲間ですから、グループによっては誰が発表者なのかわからないくらい、
ただの談笑になってしまっているケースもありましたが、
みんなそれなりに一所懸命取り組んでくれました。
このワークをやってみての感想をいくつか紹介しておきます。
「自分の意見をきいてもらうときにうなずいたり反応があると聞いてもらっていると感じるし、自分の意見に共感してもらっているとも感じることができました。」
「自分の考えを傾聴してもらいましたが、うなずきや目線を合わせて聞いてくれて、うまく伝えることができていませんでしたが、積極的傾聴をしてもらったことで、素直に思いや考えを伝えようという気持ちになったし、とても話しやすくなりました。」
「相手の目線やうなずき、身体の向きなど話を聞いてくれる姿勢が整っていれば、話したい気持ちになるし、話してもいいんだと思えました。」
「積極的傾聴をしてみて、相手があいづちをうってくれたり、うなずいてくれたりすると、話しやすい雰囲気になると感じました。実際に患者さんにかかわる時には、目線や表情などにも注意していきたいと思いました。」
「話す相手の表情や動きなど、非言語的なところで、話しやすさや話そうと思えるかどうかがかなり変わってくると思いました。」
「積極的傾聴をしてもらって感じたことは、『うんうん』 と話をきいてもらっていると 『聴いている』 感じが伝わってきて嬉しかったです。『うん』 の強弱でも伝わり方が分かるし、もう少し話したいと感じました。傾聴したときには相手の目を見ることが恥ずかしく感じることもありますが、そうやって話をきくことで、相手が話をしてくれることが分かった。」
「積極的傾聴をした時は、自分も相手の話をきちんと聞こうという気持ちになり、してもらった時は、自分の話を真面目に聞いてもらっているという気持ちになりました。やはり、表情や相槌、うなずきなど、聴く姿勢は大切だと分かりました。」
「積極的傾聴をする側としては、ただ聴いているだけでなく、どの部分がキーワードなのか見つけることが少し難しく感じました。また、される側としては、相づちや、真剣に話を聴いてもらえること自体が嬉しく思いました。」
「私が話をしている時に、うなずいたり、こういうことで苦しんだ、辛いと感じたということについて話した時に、辛そうな表情をしてくれたり、そういうふうにできたことについてほめてもらったりして話しやすかった。私が傾聴している時は、話してる人と目があったり、周囲の人の表情や態度をみて参考になった部分もあった。傾聴するのは難しいが、キーワードをくり返すことや、うなずく、表情も大切な傾聴の一つだと感じた。」
「積極的傾聴をしてもらい、あいづちや目を合わせ 『うん、うん』 と聞いてくれることで、話を聴いてくれているんだと感じ、話をたくさん聞いてほしいと思い、思いを伝えることができました。また3分間の中で、余った時間をメンバーがキーワードを引き出してくれて、またさらに話すというようなことがあり、自分の気持ちを知ってくれたという気持ちになりました。」
「積極的傾聴は自分の話をしっかり聞いてもらえていると感じることができました。日頃の生活で積極的傾聴ができていないなと感じました。」
「積極的傾聴は簡単そうに思えて難しかった。つい自分の意見をしゃべってしまったり、笑ってしまったりしてしまった。」
「積極的傾聴では、うなずいて聞いてくれたり、相づちをうってくれる人に話しやすいと感じた。やはり、『聴く』 ということは難しくて、自分も話してしまうことが多かったので気をつけたい。」
「今までの実習の中でも積極的傾聴を必要とする場面では行えていたと思っていた。しかし、先生もおっしゃっていた通り、グループメンバーで積極的傾聴をしているつもりだったが、振り返ってみるとできていなかった。そのため、今後の実習を通して積極的傾聴のスキルを身につけていきたいと思った。」
「私も、話を聞くことよりも話すことが多いので、積極的傾聴をするのは難しく感じた。でも、聴き手の反応一つで、話し手の話しやすさが変化することも感じられた。」
「積極的傾聴をしてもらった時には、自分の話したい事を好きな様に話し、相手に聴いてもらったのでスッキリしました。思いを伝えたいと強く感じている患者さんも多いと思うので、積極的傾聴は大切だなと感じました。」
「傾聴してくれて、うなずいたりしてもらうと、ちゃんと聴いてくれているのだなと思って、いろいろ話したくなった。特に患者さんや家族の話を聴く立場になるので、傾聴の大切さを改めて知ることができた。」
今年は時間が押してしまってわずかな時間のグループワークでしたが、
そのなかでみんないろいろなことを学び取ってくれたようでよかったです。
みんなの感想を読んでいて、このワーク、
「哲学」 の授業の一番最初にやっておけばよかったと思いました。
そうしたらみんなぼくの授業も積極的傾聴してくれて、
ぼくはそうとう気分よく講義することができたのではないでしょうか。
それを言ったら看護学校でよりも福島大学の授業でこそ、
最初に積極的傾聴の練習をしてもらう必要があるのかもしれません。
大学教員がどれほど砂を噛むような、虚しい気分で授業をしていることか…。
人の話を黙って90分間聞き続けるのが苦痛であることは知っていますが、
聞いているのかいないのかわからない、それどころかあからさまに聞いていない人もいる前で、
90分間しゃべり続けなければならない苦痛のことも少しは理解してもらえたらと思います。
積極的傾聴かあ。
憧れるなあ。
ぼくが入院したときにはぜひ、看護学校の教え子たちに積極的傾聴してもらいたいと思います。
その節はなにとぞよろしくお願い申し上げます
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