日本で一番の繁華街はどこでしょうか?東西いろいろありますが 新宿はまず指折りの街ではないでしょうか。
その中でも新宿南口は比較的新しい町でした。 星部長は亜衣とのデートにこの町をよく利用していました。 新宿は会社のある秋葉原から遠くてまずここまで来ないからです。
それは他の社員も同じように考えていましたから、実は以外とウロチョロしていたりするのでした。
それでもほとんどが歌舞伎町や西口に集まっていましたからやはりこの南口は穴場でありました。
その南口の片隅にこのスナックはありました。
おじさんがひそひそ話をするには打って付けの静かで小さなお店でした。
落ち着いた音楽に薄暗い店内で星部長と佐川本部長は水割りを交わしていました。
『どう調子は…』
甲高い声で佐川本部長は上機嫌でした。
『ああこの前は親父の件ではお世話になったよね』
兎に角礼は言うべきだろう…
確かに同期はありがたいと星部長は感じました。
櫁一対と花輪をもらってつくづくこの年に入社して良かったと思いました。それも佐川本部長が自ら動いて皆からお金を集めたと聞いて改めて感謝するのでした。
星部長はその後どう切り出そうか、と考えていましたが、まず平凡にお礼を述べたらなんとかなるだろう…と思いました。
『どう落ち着いたかい』水割りをちびりと舐めながら佐川本部長は口を切りました。『もう一段落したよ』
『そうかそりゃあ良かった…』
『何せ初めてだからなぁ(笑)』星部長は頭を撫でながら言い訳みたいに言うと佐川本部長は笑いました。
『そりゃあ誰だってそうは経験しないぜ』
確かに佐川本部長の言うとおりでした。つられて星部長も笑いましたが 佐川本部長は覗き込むようにしながら『…で変な電報が来たんだって…』星部長の顔色が変わりました。 おまえの相談はこんなところだろ! 佐川本部長は見通しているのでしょうか?
星部長は佐川本部長の鋭さに脱帽でした。こいつには勝てないや!入社以来30年佐川はいつも同期の先を走っていました。星部長は隠さずに話す事にしました。
田中部長の事矢野役員との関係など…です。
佐川本部長は珍しく神妙な顔つきで星部長の話を聞いていました。
星部長は一通り話を済ますと水割りを一気に飲み干しました。
『ホウ~』感心したように佐川本部長は星部長を見ました。
『ここは静かな良い店だよなぁ』しみじみ見渡すと佐川本部長もグイッと空けました。
『すみません♪お代わり!』星部長がカウンターに声を掛けます。
『はい』ママさんらしき人が笑顔で水割りを持ってきました。
そして星部長の顔を見るとあれっと言う顔したのを佐川本部長は見逃しませんでした。
『ママさん今夜は人が違いましたか(笑)』
まずい!苦笑いをして星部長は話題を変えようと必死です。
『星ちゃん慌てなくても大丈夫だよかみさんには内緒にしてやるから(笑)さ』
絶対知らないはずなのになんでこんなに鋭く突いて来るんだよ。
星部長は苦笑いしているしか仕方ありません。
それでも星部長は同期仲間でも特に佐川本部長とは馬が合いました。
『…で矢野役員の件だけどあの人時々あれやるんだよ』
『あれって電報?』
頷きと佐川本部長は矢野役員の得意技だと言い切りました。
『どうして…』星部長には何がなんだか分かりません 『一体なぜ俺にわざと間違った電報送るんだよ』
星部長は少し腹が立ちました。
間違いならどうと言う事無いのがわざとなら…
『まあまあ(笑)』佐川本部長は宥(なだ)めながらも笑っていました。
そして小声に変えて『あの人はなぁ…』佐川本部長の小声につられて星部長は顔を寄せると佐川本部長は笑いました。
『星ちゃんあまり近付くなよ俺は彼女とは違うぜ(笑)』呆気に取られてただただ呆然。
佐川本部長はそんな星部長を気にも止めずにいましたが、笑い終わると真顔に返りました。
そして今度は佐川本部長の方から頭がくっつくくらい近付くと
『矢野役員の尾っぽを踏んだんだよ』
『尾…なんだって?』
星部長は聞き返しました。
『怒らせたんだよ』今度は佐川本部長もはっきりと言いました。
『どうして?』星部長にはさっぱり分かりません。
何を根拠に言うんだよ…いつ俺が怒らせたのかなぁ!
星部長は首を傾げるばかりでした。 『分からないかぁ』つまみのあられを口に運び水割りを一口… 美味いねぇ!『星ちゃんの悩んでいる顔見ながら一杯やるのは楽しいね』佐川本部長がからかうように言いますが、星部長には見当がつきません。
『教えて欲しいかい』『あぁわからないよ』
『じゃあヒントをやるよ…』
『まず矢野役員の自宅は国分寺だね』
『?…』
『ヒントその2…キャバクラ(笑)』『?』
『な、何なんだよ(笑)さっぱりわからないよ』
口を尖(とが)らかして抗議します。 『わからないか(笑)』
『国分寺にキャバクラ…だろ…』
『そうそう(笑)』『教えてよ!』
『少しは考えて見ろよ…』
『…う~ん』
腕を組み星部長は唸ります。
『ハハハうなってばかりいないで考えたらどうだい(笑)』
『考えているよ!』
『そうか…そうは見えないけど…』
その中でも新宿南口は比較的新しい町でした。 星部長は亜衣とのデートにこの町をよく利用していました。 新宿は会社のある秋葉原から遠くてまずここまで来ないからです。
それは他の社員も同じように考えていましたから、実は以外とウロチョロしていたりするのでした。
それでもほとんどが歌舞伎町や西口に集まっていましたからやはりこの南口は穴場でありました。
その南口の片隅にこのスナックはありました。
おじさんがひそひそ話をするには打って付けの静かで小さなお店でした。
落ち着いた音楽に薄暗い店内で星部長と佐川本部長は水割りを交わしていました。
『どう調子は…』
甲高い声で佐川本部長は上機嫌でした。
『ああこの前は親父の件ではお世話になったよね』
兎に角礼は言うべきだろう…
確かに同期はありがたいと星部長は感じました。
櫁一対と花輪をもらってつくづくこの年に入社して良かったと思いました。それも佐川本部長が自ら動いて皆からお金を集めたと聞いて改めて感謝するのでした。
星部長はその後どう切り出そうか、と考えていましたが、まず平凡にお礼を述べたらなんとかなるだろう…と思いました。
『どう落ち着いたかい』水割りをちびりと舐めながら佐川本部長は口を切りました。『もう一段落したよ』
『そうかそりゃあ良かった…』
『何せ初めてだからなぁ(笑)』星部長は頭を撫でながら言い訳みたいに言うと佐川本部長は笑いました。
『そりゃあ誰だってそうは経験しないぜ』
確かに佐川本部長の言うとおりでした。つられて星部長も笑いましたが 佐川本部長は覗き込むようにしながら『…で変な電報が来たんだって…』星部長の顔色が変わりました。 おまえの相談はこんなところだろ! 佐川本部長は見通しているのでしょうか?
星部長は佐川本部長の鋭さに脱帽でした。こいつには勝てないや!入社以来30年佐川はいつも同期の先を走っていました。星部長は隠さずに話す事にしました。
田中部長の事矢野役員との関係など…です。
佐川本部長は珍しく神妙な顔つきで星部長の話を聞いていました。
星部長は一通り話を済ますと水割りを一気に飲み干しました。
『ホウ~』感心したように佐川本部長は星部長を見ました。
『ここは静かな良い店だよなぁ』しみじみ見渡すと佐川本部長もグイッと空けました。
『すみません♪お代わり!』星部長がカウンターに声を掛けます。
『はい』ママさんらしき人が笑顔で水割りを持ってきました。
そして星部長の顔を見るとあれっと言う顔したのを佐川本部長は見逃しませんでした。
『ママさん今夜は人が違いましたか(笑)』
まずい!苦笑いをして星部長は話題を変えようと必死です。
『星ちゃん慌てなくても大丈夫だよかみさんには内緒にしてやるから(笑)さ』
絶対知らないはずなのになんでこんなに鋭く突いて来るんだよ。
星部長は苦笑いしているしか仕方ありません。
それでも星部長は同期仲間でも特に佐川本部長とは馬が合いました。
『…で矢野役員の件だけどあの人時々あれやるんだよ』
『あれって電報?』
頷きと佐川本部長は矢野役員の得意技だと言い切りました。
『どうして…』星部長には何がなんだか分かりません 『一体なぜ俺にわざと間違った電報送るんだよ』
星部長は少し腹が立ちました。
間違いならどうと言う事無いのがわざとなら…
『まあまあ(笑)』佐川本部長は宥(なだ)めながらも笑っていました。
そして小声に変えて『あの人はなぁ…』佐川本部長の小声につられて星部長は顔を寄せると佐川本部長は笑いました。
『星ちゃんあまり近付くなよ俺は彼女とは違うぜ(笑)』呆気に取られてただただ呆然。
佐川本部長はそんな星部長を気にも止めずにいましたが、笑い終わると真顔に返りました。
そして今度は佐川本部長の方から頭がくっつくくらい近付くと
『矢野役員の尾っぽを踏んだんだよ』
『尾…なんだって?』
星部長は聞き返しました。
『怒らせたんだよ』今度は佐川本部長もはっきりと言いました。
『どうして?』星部長にはさっぱり分かりません。
何を根拠に言うんだよ…いつ俺が怒らせたのかなぁ!
星部長は首を傾げるばかりでした。 『分からないかぁ』つまみのあられを口に運び水割りを一口… 美味いねぇ!『星ちゃんの悩んでいる顔見ながら一杯やるのは楽しいね』佐川本部長がからかうように言いますが、星部長には見当がつきません。
『教えて欲しいかい』『あぁわからないよ』
『じゃあヒントをやるよ…』
『まず矢野役員の自宅は国分寺だね』
『?…』
『ヒントその2…キャバクラ(笑)』『?』
『な、何なんだよ(笑)さっぱりわからないよ』
口を尖(とが)らかして抗議します。 『わからないか(笑)』
『国分寺にキャバクラ…だろ…』
『そうそう(笑)』『教えてよ!』
『少しは考えて見ろよ…』
『…う~ん』
腕を組み星部長は唸ります。
『ハハハうなってばかりいないで考えたらどうだい(笑)』
『考えているよ!』
『そうか…そうは見えないけど…』