リニアが予定通り開業できないとのニュースで、静岡県に問題があるかのような論調がありますが、地元の立場で何が問題なのかを考えます。
大雨が続き、静岡県内でもこの1週間の総雨量が600ミリを超えている所が山間部に何か所も出ています。
大井川上流の井川もその一つで、ここにはリニアの静岡工区の作業基地があります。
その基地まで通じる林道が、今回の大雨で路肩が崩れて復旧まで数カ月かかるとの報道があります。
静岡工区のトンネル掘削は、大井川上流の地上から斜坑を掘り、本体のトンネルを山梨と長野側に掘削していく作業になります。
斜坑を掘る準備作業のタイムリミットが6月ということで、これに着手できないために開業が予定通りにいかないと言われています。
作業基地は大井川の源流に近い南アルプスのふもとの山奥で、そこまでは狭い林道が通っているだけの場所です。
今回の大雨のように自然環境も、大規模な作業を行うには過酷な場所で、土砂の崩壊等により作業が予定通り進まないことは多々考えられます。
仮に静岡県が許可を出していたとしても、自然の不可抗力で作業が中断することはありますので、開業延期は静岡県の問題ではなく、JR東海の作業環境に対する考え方の甘さが一つ上げられます。
さらに重要な問題は、大井川の水量減少への対策がJRとして明確に示されていないことです。
大井川は、その水が流域の人々の飲料水、農業用水、工業用水として活用されています。
川に流れている水だけでなく、地下水脈も大切に活用されています。
トンネル掘削により大量の地下水が流出するおそれが指摘され、それが大井川の流量減少や地下水脈の変化につながる可能性があります。
これらは、流域の人々にとっては死活問題です。
JRは、流出した水を全量戻すなどと言っていますが、そもそも何を全量というのか示されていません。
具体的な対応策が何も示されていない状態で、静岡県が工事にゴーサインを出すということはあり得ないことです。
大井川の水の利用については、今までにいくつものダムが作られたことにより中流域で全く水が枯れてしまう状況が生じたり、そのことで地下水の水位が低下して工業用水に問題が生じたり、いくつもの問題を経験してきています。
今回のトンネル工事は、それらの経験に十分応えた対策が示されているわけではなく、流域の人々にとっては何の解決策も示されていないのが現状です。
リニアが静岡県を通過するだけで何のメリットもないから駄々をこねているというような論調は、流域の人々にとって水問題は死活問題だという状況を理解しない一面的な見方です。
それは、原発問題に似た構図だと考えます。
地元の苦労を考えずに利益を享受する人たちの一方的な論調。同じように見えます。
地元にとってどんな問題なのか、理解していただきたいものです。
表題の写真は、これから庭で勢力を広げようとしているオリヅルラン。
下の写真は、庭に咲いたニチニチソウ。
