先日、ローカルのテレビ局のディレクターから、ヤングケアラーの事例をご存じないですかと問い合わせがありました。
ヤングケアラーとは、病気や障害のある親や祖父母あるいは兄弟などを介護している18歳未満の子どもを指す言葉として使われています。
今まで、その実態が明確にされていませんでしたが、埼玉県の高校生を対象とした調査で25人に1人が何らかの形で介護や世話をしていることが把握されました。
マスコミでも、これは大きく取り上げられています。
問い合わせのあったディレクターさんも、取材をしたいがなかなか実情がつかめなくて、様々な所に問い合わせているが実際にそのような事例に接することができないでいると話していました。
現在は、そのような状況にある方との関わりはありませんが、かつて30年近く対応した相談の中には病気の親が家事の多くを子どもに頼っているという事例はいくつかありました。
その頃、ヤングケアラーという用語は使われていませんでしたが、未成年の子どもが家族の世話をする状況に置かれている家庭があることは承知していました。
当時は相談に応じる側の立ち位置として、病気などの家族の相談に応じて支援をすることで子どもの負担を減らすことにつながるのではないかという思いがありました。
子どもがかかえる負担に心配はありましたが、直接子どもの悩みを聞くなどの対応は取られませんでした。
今も、病気や障害の相談支援者の対応としては似たような状況ではないでしょうか。
家庭の状況が多様でマニュアルに沿ったような対応は難しいこと、子ども自身がヤングケアラーという認識を持てないでいることなど困難な状況があります。
まずは、子どもに近い教育現場でそのような家庭状況を把握することが大切ではないでしょうか。
また、様々な相談機関において、病気や障害の相談の背景に家庭内の子どもが置かれている状況にも気を配った対応を求めることも必要となるでしょう。
親が未成年の子どもに世話をしてもらうのはネグレクトではというような見方もあるかもしれません。
しかし、親子2人だけの世帯で、親がうつ状態などで十分家事ができない時に、子どもが家事を手伝うことはありえることではないでしょうか。
教条的な見方ではなく、それぞれの家庭の状況に応じた対応が必要です。
ヤングケアラーの問題がマスコミの関心を集めている中で、子どもへの負担が軽減される様々な対応を考えていく大切な時かもしれません。