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道路の上空に全国初の津波避難タワー

2013-10-11 10:20:41 | 日記
 静岡県吉田町で、町道の上空に歩道橋を兼ねた津波避難タワーが完成しました。道路の上空を活用して津波避難タワーを整備するのは、全国で初めてです。9月23日に行った完成式典には太田昭宏国土交通大臣も出席し、「モデル的な取り組みとして、全国に広げていきたい」とコメントしています。 幅の広い歩道橋で、歩道橋と避難所が一緒になったような形です。
 町道の上空に完成した津波避難タワー 東日本大震災を受けて吉田町は2011年11月、独自の調査に基づく「吉田町津波ハザードマップ」を制定しました。この際のシミュレーションで沿岸に高さ8.6mの津波が到達した場合、駿河湾に面する同町の総面積の約40%に相当する約8.6km2が浸水することが判明したからです。
 完成した津波避難タワーは、こうした浸水区域への津波対策の一部です。小学校に避難できる区域などを除いて、13年度末までに合計15基の津波避難タワーを整備する予定だそうです。15基のうち、道路の上空に整備する津波避難タワーは6基になります。
 津波避難タワーを町道の上空に整備するのは、新たに用地を取得する必要がなく、早く整備できるからです。ただし、詳細設計に入る段階で、道路の上空に整備する津波避難タワーの設計基準はありませんでした。そこで、吉田町は国や静岡県などと検討委員会を設置。同検討委員会で「道路上に設置する津波避難タワーの標準仕様設計基準」を制定してから詳細設計したそうです。
 一方、道路の上空に津波非難タワーを整備するには道路法施行令などで定める占用許可が必要です。同町などの要望を踏まえ、政府は道路法施行令など改正する政令を12年12月に公布し、13年4月から道路の上空に津波避難施設などを整備できるようにしました。
 道路の上空に完成した津波避難タワーは、9月末までに2基です。いずれも上部構造が鋼床版鈑桁立体ラーメン構造で、下部構造が直径約1mの円形鋼製橋脚となっています。さらに、地震の際に液状化現象が生じる恐れを勘案して、基礎には鉄筋コンクリート製の基礎杭を採用し、最深部では約30mの杭を打設しました。
 津波避難タワーの床面の高さは、想定する最高の浸水高さより2.8mの余裕を確保しています。例えば、浸水高さを3.7mと想定する場所では、床面の高さを6.5mとしました。完成した津波避難タワーの床面積は1基が628m2で、もう1基が419m2。前者は約1200人、後者は約800人避難できます。通常時は町道の横断歩道橋として利用されます。
 工事費は、床面積が628m2の津波避難タワーで約4.5億円。津波避難タワーの整備は都市防災総合推進事業として進めており、工事費の半分は国の補助金で賄います。