まだまだ世界は広い。中央アジア、キルギスの保健相が、トリカブトを煎じたものをコロナ治療薬として国民に推奨しているらしい。「飲む前に温める様に」と用法も教えてくれる懇切丁寧ぶりである。微量であれば強壮剤になると知られてはいるが、飲んだら死ぬかも知れない代物に頼らなければならない程に、ワクチン供給が逼迫しているのかも知れない(単に西洋医学を信じていない可能性も有るが)。作用機序の理屈が通っているから、私はトリカブトよりはmRNAワクチンを信用しているが、実際どちらが有益なのかは自分に投与しなければ分からない。重篤な副作用(量を間違えると死ぬ)が明確で実績も豊富なだけ、トリカブトに分があると云う見方も出来るだろうが、いきなり人体実験はまずいだろう。ただこの手の無謀な試行錯誤の末に、因果関係を発見するのが科学の根本であると私は考えている。一笑に付す心算は無いが、その煎じ薬は出来れば飲みたくないのである。