
今年も、今週初めから三日間、宮城県に震災復興支援のボランティアに行って来ました。昨年までとは活動場所やメンバーも変わっての活動でした。私のグループは仮設住宅での奉仕活動や交流を行ったのですが、そろそろ来年秋くらいからは仮設も縮小されていくとか。復興は順調に進んでいるようですが、まだまだその被害は目に見えますし、内面的にはまだまだなんでしょうね。水曜日の朝に神戸に帰りましたが、一番の寒波がやってきて、宮城県より寒かったのでした。
それで、今回は11月の末に大阪に行ったときに、梅田茶屋町のタワーさんで買った一枚です。WEITBLICKというレーベル、よく知らないのですが、ライブ音源を中心に、ザンデルリンクやヨッフム、プレートルなどの演奏を安価で出していますね。このCDも1000円でした。その中で朝比奈さんのハイドンがありました。交響曲第92番ト長調「オックスフォード」と第99番変ホ長調が収められています。日本のオケではなく、ベルリン・ドイツ交響楽団(当時はベルリン放響)を指揮したもの。92番は1971年2月、99番は74年2月の録音。ともにライブではなく、放送用のスタジオ録音です。
朝比奈さんは、1950年代後半から1980年代まではほぼ毎年のように、渡欧してドイツを中心にいろいろなオケを指揮しています。1960年から79年(76年は除く)までは毎年1~2月に渡欧して、NDRやスロヴァキアPO,ワイマール・シュターツカペレ、ザグレヴ放響、ドレスデンPO、ベルリンSOなどに加えてこの当時のベルリン放響を指揮しています。それが1980年代以降は、1984年と1989年行ったのみになります。1989年には9月のベルリン芸術週間でドイツ放響を指揮してベートーヴェンの英雄を演奏しており、それはCDで聴くことができます。ドイツ放響とは、67・69・71・74年に指揮しています。これほど毎年のように、ドイツを中心とした国に行ったことは、彼のドイツ音楽への傾倒ぶりと関連あるのでしょうねえ。
また、朝比奈さんのハイドン、CDで聴けるのは、この2曲と104番がありますが、以前には四季や天地創造などもLPで出ていました。1997年に朝比奈さんは、ハイドンを指揮するときは、オケの、特に弦楽器の数を減らさなければならないことに抵抗がある、といわれてます。できるだけ曲によってオケの人数を減らすことは避けたい。なぜなら一緒にやっているものが曲によって出たり入ったりするとよくないからだそうです(『朝比奈隆 栄光の軌跡』)。このベルリン・ドイツSOはどれほどの規模かはよくわかりませんが…。
99番はハイドンの交響曲の中でもかなり好きな曲です。この朝比奈さんの演奏は、これまでいろんな演奏を聴きましたが、もっとも気持ちの籠もっているものではないでしょうか。全体的にはゆったりとしたテンポ。全体では約五分ほど長い演奏になっています。そして余裕のある編成で、旋律をたっぷり歌っており、朝比奈さんの心の籠もった演奏であります。特に、弦の艶っぽい美しさはうっとりさせられます。朝比奈さんのハイドンってどんなんやろ、と思っていましたが、ベートーヴェンやブルックナーと同じで、ハイドンのよさをたっぷり聴かせてくれるものになっています。今聴ける朝比奈さんの演奏では最も早い時期のものですが、朝比奈さんの演奏はどの時期も変わらず、やはり朝比奈さんでした。
第1楽章、序奏からかなりゆったりとして、情感あふれる演奏。主部に入ってテンポは速くなり、快活。その対比がいい。生気いっぱいの表情を各楽器が作り出している。第2楽章アダージョ。たいそうゆったりとしたテンポ。じっくりと噛み締めるような演奏で、優しさや慈しみににあふれ、いい演奏です。しっとりとした弦に表情豊かな木管、音符を一音一音確認していくような足取りが心に染み込みます。第3楽章メヌエット。ここでもゆったりとしたメヌエット。それでも違和感はなく、力強さも感じつつ、中間部もゆったりと音楽が流れていきます。第4楽章、少々押さえ気味で曲が進む。おとなしさの中に、ここまでもそうだが、それぞれの楽器の巧さも光る。対位法的な展開も鮮やかであります。
このCDの最後に朝比奈さんのドイツ語でのインタビューが収められています。ドイツ語も堪能なんですねえ。ベルリン・ドイツSOと演奏した1989年の英雄もいい演奏だそうです。未聴なので、また聴いてみたいものです。
(WEITBLICK SSS0106-2 2009年 輸入盤)
それで、今回は11月の末に大阪に行ったときに、梅田茶屋町のタワーさんで買った一枚です。WEITBLICKというレーベル、よく知らないのですが、ライブ音源を中心に、ザンデルリンクやヨッフム、プレートルなどの演奏を安価で出していますね。このCDも1000円でした。その中で朝比奈さんのハイドンがありました。交響曲第92番ト長調「オックスフォード」と第99番変ホ長調が収められています。日本のオケではなく、ベルリン・ドイツ交響楽団(当時はベルリン放響)を指揮したもの。92番は1971年2月、99番は74年2月の録音。ともにライブではなく、放送用のスタジオ録音です。
朝比奈さんは、1950年代後半から1980年代まではほぼ毎年のように、渡欧してドイツを中心にいろいろなオケを指揮しています。1960年から79年(76年は除く)までは毎年1~2月に渡欧して、NDRやスロヴァキアPO,ワイマール・シュターツカペレ、ザグレヴ放響、ドレスデンPO、ベルリンSOなどに加えてこの当時のベルリン放響を指揮しています。それが1980年代以降は、1984年と1989年行ったのみになります。1989年には9月のベルリン芸術週間でドイツ放響を指揮してベートーヴェンの英雄を演奏しており、それはCDで聴くことができます。ドイツ放響とは、67・69・71・74年に指揮しています。これほど毎年のように、ドイツを中心とした国に行ったことは、彼のドイツ音楽への傾倒ぶりと関連あるのでしょうねえ。
また、朝比奈さんのハイドン、CDで聴けるのは、この2曲と104番がありますが、以前には四季や天地創造などもLPで出ていました。1997年に朝比奈さんは、ハイドンを指揮するときは、オケの、特に弦楽器の数を減らさなければならないことに抵抗がある、といわれてます。できるだけ曲によってオケの人数を減らすことは避けたい。なぜなら一緒にやっているものが曲によって出たり入ったりするとよくないからだそうです(『朝比奈隆 栄光の軌跡』)。このベルリン・ドイツSOはどれほどの規模かはよくわかりませんが…。
99番はハイドンの交響曲の中でもかなり好きな曲です。この朝比奈さんの演奏は、これまでいろんな演奏を聴きましたが、もっとも気持ちの籠もっているものではないでしょうか。全体的にはゆったりとしたテンポ。全体では約五分ほど長い演奏になっています。そして余裕のある編成で、旋律をたっぷり歌っており、朝比奈さんの心の籠もった演奏であります。特に、弦の艶っぽい美しさはうっとりさせられます。朝比奈さんのハイドンってどんなんやろ、と思っていましたが、ベートーヴェンやブルックナーと同じで、ハイドンのよさをたっぷり聴かせてくれるものになっています。今聴ける朝比奈さんの演奏では最も早い時期のものですが、朝比奈さんの演奏はどの時期も変わらず、やはり朝比奈さんでした。
第1楽章、序奏からかなりゆったりとして、情感あふれる演奏。主部に入ってテンポは速くなり、快活。その対比がいい。生気いっぱいの表情を各楽器が作り出している。第2楽章アダージョ。たいそうゆったりとしたテンポ。じっくりと噛み締めるような演奏で、優しさや慈しみににあふれ、いい演奏です。しっとりとした弦に表情豊かな木管、音符を一音一音確認していくような足取りが心に染み込みます。第3楽章メヌエット。ここでもゆったりとしたメヌエット。それでも違和感はなく、力強さも感じつつ、中間部もゆったりと音楽が流れていきます。第4楽章、少々押さえ気味で曲が進む。おとなしさの中に、ここまでもそうだが、それぞれの楽器の巧さも光る。対位法的な展開も鮮やかであります。
このCDの最後に朝比奈さんのドイツ語でのインタビューが収められています。ドイツ語も堪能なんですねえ。ベルリン・ドイツSOと演奏した1989年の英雄もいい演奏だそうです。未聴なので、また聴いてみたいものです。
(WEITBLICK SSS0106-2 2009年 輸入盤)
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