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こんなCDを買った!聴いた!

最近購入した、または聴いたCDについて語ります。クラシック中心です。

シェリングの無伴奏ライブ

2010年02月27日 00時21分35秒 | バッハ
ここ数日暖かくなりましたねえ。春を思わせる陽気です。もう2月も終わりですから、そんなもんといえば、そうですよねえ。「2月はにげる」といいますが、あっという間に月末。28日しかないのは大きいです。来週月曜日からは3月。仕事のことばかりですが、これまた年度末に向けて、忙しい時期です。あっ!そうそう、プロ野球もオープン戦が始まりますね。わがマリーンズの話題、とんと聞きませんが、今年はどうでしょうかねえ。なかなかであります。

さてさて、今回はバッハです。しかし、バッハは、若書きの作品も晩年の作品もそれほど目に見えての差、つまり若い頃の作品は未熟だ、ということをほとんど感じませんね。かのモーツァルトでも、感じますのにね。やはり、音楽史上最高の作曲家なんでしょうか。加えて、バッハの音楽は、精神性の高さをよく指摘されます。高い精神性とは何か。おそらくは、曲を聴き終わって、ああ、いい曲だなあとおもうだけではなく、心が揺り動かされるとか、心に強いインパクトを感じる、そんなことなんでしょうかねえ。そんなバッハの中でも、そんなことがよく指摘される作品。無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番ニ短調BWV1004であります。バッハがケーテン宮廷楽長をつとめていたころ、35才のときの作品。アルマンド、クーラント、サラバンド、ジーク、とシャコンヌから構成されています。特に、全曲中半分以上の長さのシャコンヌは「一挺のヴァイオリンで宇宙を描いた」と言われるように、ヴァイオリンのための音楽としては不朽かつ永遠のものでしょう。

この曲、従来から名盤として知られているものが、ヘンリク・シェリングの独奏ヴァイオリンによるものです。1964年の録音。しかし、今回はこの録音ではなく、1976年4月12日東京文化会館でのライブです。これはFM東京の生収録番組であった「TDKオリジナルコンサート」の放送用に収録されたものです。この番組は、民放が受信できなかった岡山の田舎で、『週間FM』などでFM放送の番組を見ていたとき、聴きたい番組No,1でありました。この放送がCD化されて、それも2枚組1050円という値段で買えるとは、もう驚き以外の何物でもありませんね。

まず、この演奏で特筆すべきものは、シェリングのヴァイオリンがまったくミスらしいものがまったくなく、演奏されているところです。特にこれは難易度の高い曲であるはずなんですね。にも関わらず、この演奏は凄いですね。基本的には、1964年の録音と変わらないような演奏なんですが、それぞれによさがあります。1964年のものは演奏の奥行きが深く、深遠。そして音色もなめらかになっています。これに対して、この演奏は安定感では今いちの感はぬぐえませんし、音色も洗練された美しさは、一歩も二歩も譲ります。しかし、演奏の端々に、しっとりとしたうるおい感じます。加えてライブは熱いです。ライブ特有の高揚感があります。シェリング、ここではこのバッハの音楽に全霊を込めて奉仕するところからのみ表現できる演奏を展開しています。特に、シャコンヌでは曲が進めば進むほど、決して声高に語りはしないものの、燃焼度は増していきます。ここが最大の聴きどころでしょうか。このシャコンヌ、名曲ですよねえ。ここで語られる世界は、深遠なことこの上ありませんが、永遠に継続するようで、細かな感動を幾十にも重ねながら熱い世界が展開されていきます。その中で、シェリングは、青白く燃えています。

このバッハの無伴奏、聴き込めば聴き込むほど、新しい世界が見えてきます。こんな音楽こそが高い精神性の音楽と言えるのでしょうね。
(Creative Core TDK-OC 010 2002年)

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