8月も下旬、蝉の鳴き声も心なしか元気がないようです。今週は、月曜日から木曜日まで、勤務地を離れて姫路・明石・加古川・神戸で残業がありまして、少々帰宅が遅くなりました。途中、局地的な豪雨に見舞われるなど、蒸し暑い中のなかなか辛いお仕事でありました。そして、金曜日は、ほっと神戸にマリーンズとバファローズの試合を観戦。マリーンズ、貧打で四連敗。近鉄のユニフォームでバファッローズはやってました。懐かしいです。でもこの貧打、なんとかなりませんかねえ。というわけで、今週は夜は家にはあまりおりませんでした…。
さて、今回はブルックナー。交響曲第5番であります。演奏は、朝比奈隆指揮大坂フィルハーモニー交響楽団。1973年7月24日、東京文化会館で大阪フィル第12回東京定期演奏会のライブです。朝比奈さんは、ブルックナーを得意とする指揮者であることは周知の通りであります。この1973年の東京での演奏について、「自分がブルックナーをやって行けると確信したのは、この東京での5番がきっかけだった」と朝比奈さん自身がおっしゃっています。朝比奈さんのブルックナーの指揮の原点ともいえるのが、この1973年の演奏。以降ブルックナー指揮者として数々の名演を残されることになります。朝比奈さん、このとき65才。「へー、そうなんやーっ」と軽く言ってはいけないかも知れませんが、65才になって、この成果をあげ、新たな頂上へと登っていく、この姿勢は、見習わなければいけません。
ブルックナーについては、以前にも申したかもしれませんが、聴く気にならないときもあれば、演奏によって、ずいぶん変わってきます。この5番もなかなかしんどい演奏もあります。しかし、この演奏は、まったくもって、そんなことには無縁の演奏であります。いやー、この演奏は、半端ではないです。初めから終わりまで、実に剛毅な骨太の管弦楽を大フィルから引き出しています。そんな管弦楽を駆使して、これまた朝比奈さんのたいそうスケールの大きい音作り。細かいところには、目もくれず、全体の音の響きを重視して、ずんずんとテンポをほとんど変えることなく、曲は進んでいきます。ブルックナーの5番は、大伽藍に例えられるような曲ですが、朝比奈さんの造作した大伽藍は、空前絶後のような偉容を我々の前に誇っているのでした。ただ、演奏の細部については、金管のピッチが合っていないとか、アンサンブルがバラバラとか、まあいろんな問題点があるそうですし、それが気になって良い演奏とというレベルではない、という向きもあるみたいですね。しかし、そんなことは全く私には気にならない。それ以上にこの演奏は、すごい迫力と興奮を我々にもたらしてくれるのであります。この演奏、それならばどこが我々を惹きつけるのが。朝比奈さんの指揮は、私にはまったくの自然体、音符をそのまま素直に演奏しているようです。他の演奏を比較すると、実に楽譜をそのまま、なんら作為的なものはない。オケも音の強弱などの他は、そのままやっていると思ってしまうような、そんな演奏に終始しています。きれいな旋律であるとか、ここのところは巧いなあ、そんな印象はまったくもってないのです。例えば、第二楽章、私は大好きなんですが、ここでオーボエの主題のあとに弦楽合奏でコラール風の主題が出て来ます。他の演奏で巧いなあと思うものがありますが、この演奏はまったくそれは感じないんです。でもそれでもこの演奏には、ぐいぐいと惹きつけられていき、聴き入ってしまう。第3楽章のスケルツォ、私はヴァントのスケルツォは大好きなんですが、この演奏には、少し違った愉悦感を持ちます。まだ、第4楽章、終結部では新日フィルの金管が加わって増強された金管の咆哮が実に迫力満点で、心地よいですね。そこには朝比奈さんとオケのみなさんの曲を演奏する意気込みや心があるからでしょうか。「朝比奈と大フィルが討ち死に覚悟で東京に乗り込んできた」ということなので、みなさん心に期するものがあったんでしょうね。
やはり、朝比奈さんの演奏には、日本人としての相通じる何がは根底にはあるんでしょうか。いつも演奏を聴いてそう思わざるを得ないのであります。
(TOKYO FM TFMC-0005 2003年 TOKYO FM ARCHIVES SLECTION)
さて、今回はブルックナー。交響曲第5番であります。演奏は、朝比奈隆指揮大坂フィルハーモニー交響楽団。1973年7月24日、東京文化会館で大阪フィル第12回東京定期演奏会のライブです。朝比奈さんは、ブルックナーを得意とする指揮者であることは周知の通りであります。この1973年の東京での演奏について、「自分がブルックナーをやって行けると確信したのは、この東京での5番がきっかけだった」と朝比奈さん自身がおっしゃっています。朝比奈さんのブルックナーの指揮の原点ともいえるのが、この1973年の演奏。以降ブルックナー指揮者として数々の名演を残されることになります。朝比奈さん、このとき65才。「へー、そうなんやーっ」と軽く言ってはいけないかも知れませんが、65才になって、この成果をあげ、新たな頂上へと登っていく、この姿勢は、見習わなければいけません。
ブルックナーについては、以前にも申したかもしれませんが、聴く気にならないときもあれば、演奏によって、ずいぶん変わってきます。この5番もなかなかしんどい演奏もあります。しかし、この演奏は、まったくもって、そんなことには無縁の演奏であります。いやー、この演奏は、半端ではないです。初めから終わりまで、実に剛毅な骨太の管弦楽を大フィルから引き出しています。そんな管弦楽を駆使して、これまた朝比奈さんのたいそうスケールの大きい音作り。細かいところには、目もくれず、全体の音の響きを重視して、ずんずんとテンポをほとんど変えることなく、曲は進んでいきます。ブルックナーの5番は、大伽藍に例えられるような曲ですが、朝比奈さんの造作した大伽藍は、空前絶後のような偉容を我々の前に誇っているのでした。ただ、演奏の細部については、金管のピッチが合っていないとか、アンサンブルがバラバラとか、まあいろんな問題点があるそうですし、それが気になって良い演奏とというレベルではない、という向きもあるみたいですね。しかし、そんなことは全く私には気にならない。それ以上にこの演奏は、すごい迫力と興奮を我々にもたらしてくれるのであります。この演奏、それならばどこが我々を惹きつけるのが。朝比奈さんの指揮は、私にはまったくの自然体、音符をそのまま素直に演奏しているようです。他の演奏を比較すると、実に楽譜をそのまま、なんら作為的なものはない。オケも音の強弱などの他は、そのままやっていると思ってしまうような、そんな演奏に終始しています。きれいな旋律であるとか、ここのところは巧いなあ、そんな印象はまったくもってないのです。例えば、第二楽章、私は大好きなんですが、ここでオーボエの主題のあとに弦楽合奏でコラール風の主題が出て来ます。他の演奏で巧いなあと思うものがありますが、この演奏はまったくそれは感じないんです。でもそれでもこの演奏には、ぐいぐいと惹きつけられていき、聴き入ってしまう。第3楽章のスケルツォ、私はヴァントのスケルツォは大好きなんですが、この演奏には、少し違った愉悦感を持ちます。まだ、第4楽章、終結部では新日フィルの金管が加わって増強された金管の咆哮が実に迫力満点で、心地よいですね。そこには朝比奈さんとオケのみなさんの曲を演奏する意気込みや心があるからでしょうか。「朝比奈と大フィルが討ち死に覚悟で東京に乗り込んできた」ということなので、みなさん心に期するものがあったんでしょうね。
やはり、朝比奈さんの演奏には、日本人としての相通じる何がは根底にはあるんでしょうか。いつも演奏を聴いてそう思わざるを得ないのであります。
(TOKYO FM TFMC-0005 2003年 TOKYO FM ARCHIVES SLECTION)
私は朝比奈さんの実演は、唯一一度だけ、東京サントリーホールに大阪フィルで乗り込んでの、ベートーヴェン第3番を聴いたのみです。
2000年のことで、この時御年92歳。このお歳にして、凄いお人だな~と思いました。演奏も素晴らしかったですえ。奏者たちが全員去ったあとも何度も何度もお一人でのカーテンコール。
もう10年以上も経つんですが、いまだによく覚えています。この演奏は、後にCDにもなりました。
この人の指揮は、ブルックナーもベートーヴェンも、もっと聴きたかったですね~。
朝比奈先生時代の大フィルは、東京公演の回になると俄然、気合いが入るらしく(晩年もそうでした)、わざわざ同じプログラムを聴きに東京まで行く人、多数・・・だったとか。
僕は、やっぱり94年のライヴの8番が一番好きですが、5番も朝比奈先生には合いそうですね。
あーぁぁー交響曲第一番《HIROSHIMA》を朝比奈先生で聴きたかった。。。。。