こんなCDを買った!聴いた!

最近購入した、または聴いたCDについて語ります。クラシック中心です。

ベーム=BPOによる『ジュピター』

2025年02月09日 23時55分00秒 | モーツァルト
先週に続き、極寒の日本列島。いやー本当に寒いですねえ。神戸は雪は降らないですが、まあ寒い寒い。その中ほぼ毎日ランニングは欠かさない。この寒い中、よく走りますねえ、と感心というか呆れられています。着替えて外に出るまでは嫌だなあ、と思うのですが、走り出すとそれほどでもいないんですよ。辛いのは指と足の先だけ。両方とも感覚がなくなるときがありますね。特に指先は手袋をしていても、しもやけだらけです。これが最も難儀でありました。

そんな寒さの中、今回はモーツァルトの交響曲第41番ハ長調k551『ジュピター』であります。おそらくはこの曲、幾度もこのブログでは取り上げていると思います。いろんな立派な演奏がある中で、おそらくはこの演奏がベストと信じている。それがカール・ベーム指揮BPOの演奏です。1961年12月、62年3月ベルリンのイエス・キリスト教会での録音。周知の通りベームはBPOとモーツァルト交響曲全集を録音しますが、それの最も早い時期の録音です。

このベームの名演奏、手元には4種類あります。まずはLP。40番と収められているもの。大学生になってしばらくして中古やさんで購入。ジャケットを見ただけで感激。次はCD。出来て間もない時期の心斎橋のタワーレコードで見つけた廉価盤。当時1000円くらいだった記憶。こんなに安く、と感激。そして就職してしばらくして堂島にワルツ堂で買った、ランゲの描くモーツァルトがジャケットの12枚組全集。一万円くらいしたが、全集が買えた.とこれも感激しましたねえ。そしてそして、最後の一枚がSACDシングルレイヤー版。これも梅田の中古やさんで見つけて購入しました。

この中で、一番よく聴いたのはLPですかねえ。買ったときはたいそう嬉しかったからねえ。そして廉価盤CDも。全集ではあまり聴かずでありました。12枚もある中、取り出すのが面倒でした。それで、一番驚いたのはSACDですね。なんせ、いままでと音がまったく違っていました。最初は、これは同じ演奏か、と。しかしSACDで聴いた後、CDで聴くとああ同じ演奏だ、と安堵するのでありました。CDで聴いても、SACDで聴いた時の記憶が残っているので、以前よりいい音のように思うのですが、でも実際はそうでもないですね。残念ながら…(笑)。

それでは、このベームの演奏のSACDがどう凄いのか。誰もが言っているSACD評と重複するんですが少し述べます。まず音の広がりや奥行きが違いますね。非常に立体的な音とでも言うのでしょうか。そして各楽器の音色。実にリアルに聞こえます。そして、大きな音は実態を伴った大きい音になり、小さい音も明瞭に聞こえるのでありました。全体的には、簡単に言うと、実際の音に近くなった、生の音に近づいた、そんな凄さを感じます。

加えて、やはりベームの演奏についても述べなければいけませんね。1970年代以降のベームには演奏にある種の緩みを指摘する向きがありますが、この1960年代はベームの壮年期の厳しさがよく感じられます。ジュピターも非常に構成が堅固であり、冒頭から一音たりとも気を抜かず、一音たりとも無駄な響きがないのであります。すべての音がベームによって、モーツァルトの書いた音楽に昇華されている。それに当時のBPOがこれまた揺るぎない演奏で答えているんですねえ。この演奏を聴く度に、これ以上何を望むのか、と大袈裟にいうなら思ってしまうのであります。

第1楽章。冒頭から緊張感いっぱいの響き。まったくのインテンポ。その中から錐を突き刺すような厳しい展開。BPOも引き締まった音色で応える。聴き手も一音も聴き逃すまいと食らいつくのでした。第2楽章、前楽章の厳しさから解き放たれたような優しげな音楽に、こころが和む。演奏も様変わりして、優しく思いやりを感じさせる。この転換が上手い。BPOも夢見るような演奏を展開。第3楽章メヌエット。再びの厳しさ。冒頭からこれは舞曲ではないな、と思いきや、曲が進むと、次第にこの音楽での舞踊が思い浮かんでくるから不思議。ジュピターに相応しい偉容に満ちた極上の踊りです。このメヌエットに少し体が揺さぶられるのでありました。そしていよいよ終楽章。ここまでの総決算的にBPOが凝縮された、渋い音色で歌う。対位法も揺るぎない偉容を感じさせるところはまったくもって脱帽。目まぐるしい展開にも実に明快。BPOの生き生きとした演奏がとてもいい。終曲のフーガですべてが昇華される凄さは何ものにも代え難いのでありました。

やはりシングイルレイヤーの威力は凄まじい。いろんな意見は耳にしますが、これらのSACDによる音質向上はとてもいい。聴く度によさを実感させられます。ただ、専用のプレーヤーでないと再生できなのが、不便であります。まあ仕方ないですが…。
(DG UCGG-9022 2011年)

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