その昔、亡父は野球が大好きでした。夏の甲子園が始まると、第一試合からずっとテレビ観戦。幼い私はそれを一緒に見てました。第四試合が終わると、やっと終わったか、とホッとしました。しかし、そのあとはプロ野球が待ってました。ジャイアンツの試合。さすがにもううんざり。父は最後まで観てました。わが家はいま。家人が父と同じように第一試合から観戦。違うのはプロ野球タイガース戦。さすがにもうええわ、と言って見ません。おかげで私はマリーンズ戦を見ることができるのでした。
まあ、夏ですねえ。それはそれとして、今回はブルックナーの交響曲第7番ホ長調であります。この曲も、幾度も取り上げました。今回は、日本人による演奏。飯守泰次郎指揮東京シティ・フィルハーモニー管による演奏。1999年2月25日東京サントリー・ホールでのライブ録音であります。少し前に、近所のBOOKOFFで見つけて購入しました。700円ほどだったと思います。最初に見つけたときは、買いませんでしたが、次に行ったときは、買っちゃいました。
飯守さんが急逝されて、ちょうど一年。昨年の8月15日急性心不全で82才でした。飯守さんの演奏は、これまでほとんど聴いたことがありませんでした。唯一聴いたのが、2003年の新国立での「トーキョー・リング」の『神々のたそがれ』でした。20年も前のことなので、ほとんど憶えていません。長らくバイロイトでの音楽助手を務められていたことからもワーグナーなどを得意とされ、CDでもベートーヴェンの全集やブルックナーの録音も残されています。
それらの中で、飯守さんのブルックナーは、1998-2003年のライブでの4,5.6,7番。そして2023年4月7日の8番、4月23日の4番のそれぞれライブがCD化されています。この4番は、飯守さんの最後の演奏となったものです。これらの演奏も、ほとんど知らなかったのですが、今回7番の演奏を聴いて、これは聴かなければいけないな、と思ったのでした。特に、4-7番は安価ででますので、なんとか欲しいなと思っています。
さて、この飯守さんの演奏ですが、まずテンポが少しゆったりです。特に、第1・2楽章はなだらかな印象を受けます。また、オケの演奏の安定感がとてもいい。中でも弦楽器がとてもきれいな音色での演奏が印象的ですねえ。そして、非常に穏やかで優しい演奏なんですね。これが先に述べたふたつの印象とも関わるのですが、とても心に残るのであります。ブルックナーの演奏ってこんなに優しかったんだ、と思うことしきりでありました。けっして声高にならない。力業もない。荒々しさも皆無。余裕をもってブルックナーの旋律をたっぷりと、しっかりと歌い上げます。そこには、これまでのブルックナーの演奏では、決して聴くことのなかった優美な世界が展開されるのでありました。
第1楽章、弦のトレモロをバックにチェロによる主題が心地よく歌われる。それに金管や木管が加わり優しくブレンドされていく。オケの演奏もとても柔かで、音色が心の中に染み込んでいくようであります。こんな優美なブルックナーはなかなか聴けないですねえ。第2楽章、第1楽章から継続された優美な世界。穏やかでゆったりとした音楽の世界に、体を優しくとっぷりと浸すような気持ちになります。東京シティPO、実に柔和な表情で真摯な演奏であります。第3楽章スケルツォ。前の楽章からは少し活気などが加わるよう。飯守さんはオケをしっかり統制し、乱れを感じさせない。とても安定した音。そして中間部ではここでも優しい祈りの世界が、第2楽章に続いて現出され、心地よい時間であります。第4楽章、終楽章らしい演奏になるが、弦や木管の優美な響きはそのまま。曲の細部の表情までも、しっかり聴かせてくれる演奏で、最後まで耳を奪われます。曲が終わっての充実感。とてもいいです。
一昨日、宮崎県で地震。南海トラフの大地震との関連が指摘され、なかなか落ち就きませんね。神戸のわが家では、かすかに揺れたな、程度でした。いつ起こっても不思議ではない大地震。しっかりとした心構えをもたないといけませんねえ。
(fontec FOCD9133 2000年)
まあ、夏ですねえ。それはそれとして、今回はブルックナーの交響曲第7番ホ長調であります。この曲も、幾度も取り上げました。今回は、日本人による演奏。飯守泰次郎指揮東京シティ・フィルハーモニー管による演奏。1999年2月25日東京サントリー・ホールでのライブ録音であります。少し前に、近所のBOOKOFFで見つけて購入しました。700円ほどだったと思います。最初に見つけたときは、買いませんでしたが、次に行ったときは、買っちゃいました。
飯守さんが急逝されて、ちょうど一年。昨年の8月15日急性心不全で82才でした。飯守さんの演奏は、これまでほとんど聴いたことがありませんでした。唯一聴いたのが、2003年の新国立での「トーキョー・リング」の『神々のたそがれ』でした。20年も前のことなので、ほとんど憶えていません。長らくバイロイトでの音楽助手を務められていたことからもワーグナーなどを得意とされ、CDでもベートーヴェンの全集やブルックナーの録音も残されています。
それらの中で、飯守さんのブルックナーは、1998-2003年のライブでの4,5.6,7番。そして2023年4月7日の8番、4月23日の4番のそれぞれライブがCD化されています。この4番は、飯守さんの最後の演奏となったものです。これらの演奏も、ほとんど知らなかったのですが、今回7番の演奏を聴いて、これは聴かなければいけないな、と思ったのでした。特に、4-7番は安価ででますので、なんとか欲しいなと思っています。
さて、この飯守さんの演奏ですが、まずテンポが少しゆったりです。特に、第1・2楽章はなだらかな印象を受けます。また、オケの演奏の安定感がとてもいい。中でも弦楽器がとてもきれいな音色での演奏が印象的ですねえ。そして、非常に穏やかで優しい演奏なんですね。これが先に述べたふたつの印象とも関わるのですが、とても心に残るのであります。ブルックナーの演奏ってこんなに優しかったんだ、と思うことしきりでありました。けっして声高にならない。力業もない。荒々しさも皆無。余裕をもってブルックナーの旋律をたっぷりと、しっかりと歌い上げます。そこには、これまでのブルックナーの演奏では、決して聴くことのなかった優美な世界が展開されるのでありました。
第1楽章、弦のトレモロをバックにチェロによる主題が心地よく歌われる。それに金管や木管が加わり優しくブレンドされていく。オケの演奏もとても柔かで、音色が心の中に染み込んでいくようであります。こんな優美なブルックナーはなかなか聴けないですねえ。第2楽章、第1楽章から継続された優美な世界。穏やかでゆったりとした音楽の世界に、体を優しくとっぷりと浸すような気持ちになります。東京シティPO、実に柔和な表情で真摯な演奏であります。第3楽章スケルツォ。前の楽章からは少し活気などが加わるよう。飯守さんはオケをしっかり統制し、乱れを感じさせない。とても安定した音。そして中間部ではここでも優しい祈りの世界が、第2楽章に続いて現出され、心地よい時間であります。第4楽章、終楽章らしい演奏になるが、弦や木管の優美な響きはそのまま。曲の細部の表情までも、しっかり聴かせてくれる演奏で、最後まで耳を奪われます。曲が終わっての充実感。とてもいいです。
一昨日、宮崎県で地震。南海トラフの大地震との関連が指摘され、なかなか落ち就きませんね。神戸のわが家では、かすかに揺れたな、程度でした。いつ起こっても不思議ではない大地震。しっかりとした心構えをもたないといけませんねえ。
(fontec FOCD9133 2000年)
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