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マタチッチのブルックナー 2

2024年08月25日 23時53分00秒 | ブルックナー
甲子園の夏の大会も終わりました。やはり低反発のバットの使用で、本塁打を含む長打が少なかったことや、決勝戦でもあったタイブレークの攻防など見どころは多かったですね。その中でも大社高校は、公立高として大活躍でした。大社の投手のMくんや盗塁のFくん、そして神村学園の二年生投手のHくんなどが強く印象に残りましたかね。いわゆる強豪校と言われる高校が早く敗退したのも、低反発バットの影響でしょうかねえ。それはそれでたいへんでしたねえ。

そんなことで、前回この猛暑の中、クラシック音楽を聴くのはつらいなあ、と申したのですが、今回はその代表とも言えるような、ブルックナーであります。よくこの時期に聴くなあ、ということだったんですが…。それはそれとしてブルックナーを得意とする指揮者、いろんな名があげられるのですが、そのひとりがロヴロ・フォン・マタチッチですねえ。1899年のお生まれで1985年に逝去された旧ユーゴスラヴィアの指揮者であります。私は、ベートーヴェンの交響曲やワーグナーのオペラと、このブルックナーなどを聴いたことがあるくらいですが、日本には1965年以来たびたびN響に客演しており、馴染みの深い指揮者でもありました。

このマタチッチを久々に耳にしたのが、1980-81年のザグレブPOとのライブ録音されたベートーヴェンの交響曲全集の発売でした。マタチッチには、1962年のミラノ・イタリア放響との同じくライブ録音の全集がありましたが、値段的にも半額ほどの値段だったので、このザグレブPOとの全集、かな食指を伸ばしたのですが…、まだ購入には至っておりません。

それでマタチッチのブルックナーですが、モノラルでPOと録音した4番があったそうですが、ステレオではチェコPOとの5・7・9番、POとの3番、そしてN響との8番などがあります。どれも有名な録音ですが、世評が一番高いのは7番ですかねえ。そんな中、交響曲第5番変ロ長調であります。1970年11月2-6日プラハでの録音。

この5番は、20代の前半に当時勤務していた職場の先輩に、何枚かの「聴き飽きた」LPを譲ってもらった1枚でした。ですので、LPでもよく聴いたのです。世間的には、この演奏が一部に改訂版を用いていること、そしてやはりマタチッチの独特の演奏が「正統的」なものとはかけ離れていること、などで大方は支持されているのですが、でもねえ、と眉をひそめる、ような意見をよく目にします。それは7番では、それほど耳にしないのです。版の問題はないですが…。

このマタチッチの演奏、私は実にわかりやすい、明解なものと思います。それはまずはテンポ。まずは速いなという印象を持ちますが、ここぞという聴かせどころではドンとテンポを落としてじっくりと旋律を歌い上げる。このメリハリの妙技がとてもいい。そしてテンポがあがるところでは、金管そして弦も含めて、それはもう豪快の一語に尽きる。第1楽章などそれの繰り返しで、曲のよさに夢中になります。そして、チェコPOもよく鳴り響く。時折、音が外れるところはあるにしても、マタチッチのもと、威勢のいい金管、とても安定感のある木管、気持ちのこもった弦、など、健闘してしていることこの上ありませんねえ。そして第2楽章、全体的にゆったりとしたテンポで味わい深くに歌い上げる。最初から最後まで、約18分間、祈りの音楽がとても心に染み込むのであります。豪快さをもちつつ、実に感動的なのであります。第3楽章スケルツォ。総じて速めのテンポで駆け抜ける。とてもわかりやすいスケルツォ。チェコPOも非常に丁寧な演奏で心地よいのであります。そして、第4楽章。私はこの楽章の演奏、好きです。これまでの楽章の回想、そしてこの楽章の3つの主題、そしてフーガ。とてもわかりやすく、この音楽の素晴らしさが明確になっていくのでした。スケールの大きさや力強さも加わり、感動的に曲を閉じるのでありました。聴き終わったあとの充実感もとてもいいです。

しかし、再び高校野球。この酷暑の炎天下で野球をするというのは、残念ですが厳しい状況になってきましたねえ。今後7回終了も含めて、いろんな改革も検討されているようですが、どうするんでしょうかね。高校野球が終わると、夏もあと少しと寂しくなりますね。
(SUPRAPHON COCO-70415 2002年)

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