ニューヨークのバーンスタイン

先週末に、なんとかひとつのヤマが越せました。ちょっとした失敗もあったのですが、なんとか乗り越える事ができました。めでたしめでたし、であります。とはいうものの、三月にも大きなヤマが待ってますので、これを目指して毎日びーびーゆうてます。しかし、相変わらず寒いです。先日、岡山のユ○ク○に息子と一緒に行ったとき、息子がヒートテックのシャツを買ったのを見て、私も靴下を買いました。早速履いてみたところ、暖かいですね。遅まきながら、その威力に感動した次第であります。もっと早く買えば良かったと思ったのでした。

さて、今年になってあまりＣＤを買っていないのです。欲しいものはなんぼでもあるのですが、まあ我慢我慢（笑）であります。まあ、これまでけっこう買っているので、聴くＣＤには事欠かないのが現状でですねえ。それで、今回はレナード・バーンスタインの演奏。ちょうど私が音楽を聴き始めた頃、50代の初めのバーンスタインでした。カラヤンとは異なったかっこよさを感じました。当時ＣＢＳから出ていたＬＰをいくつか買いました。当時、伝統に縛られない新しい時代の音楽といった印象をもったものでした。そして、1960年代にニューヨークＰＯと録音した演奏が入手しやすくなってきたので、チャイコ、マーラー、ハイドンなどなどをＢＯＸもので買いました。そして、一昨年の夏に出たベートーヴェンの交響曲全集、最近これをよく聴くのでした。この全集、とにかく安かった。６枚組で1990円。まあ一度聴いてみたれ！、と思って買いました。今回はこの中から、交響曲第５番ハ短調作品67『運命』であります。1961年ニューヨークでの録音です。

私は、元来バーンスタインの演奏はそれほど贔屓にしておりませでした。特に、ドイツ系の音楽については、どうもその傾向が強かったのです。例えば、1970年後半にＶＰＯと録音したベートーヴェンの交響曲全集、これは名演奏といわれているものですが、私にはどうも馴染めないのです。ＶＰＯの奏でる音色がどうもこれはちょっと違うのではないか、と思ってしまうのです。つまり、もっとドイツぽい演奏の方に惹かれてしまうのですね。これに対して、今回取り上げるニューヨークＰＯとの録音には、このような気持ちを持つことはないのです。つまり、アメリカのオケとアメリカの指揮者、両者によるベートーヴェンの演奏もあっていいのでは、と思うのです。というよりも、むしろこちらの演奏の方に好感をもつものであります。

そんなことを思いつつ、この演奏です。この全集すべてに言えることなんですが、まずオケのまとまりは非常にいい。さすがのバーンスタインですね。そしてオケの音色はたいそう明るい。一点の曇りもない。加えてバーンスタインの指揮、非常な勢いがあって、スマートで十二分な迫力満点。また、ここぞというところの聴かせどころも、実にしっかりと押さえているんです。スカッと爽快、これがオレのベートーヴェンなんだ！、という、そんな演奏であります。これはこれで、私は大した演奏だと思います。ただ、好きかどうかと言われれば、やはりフルトヴェングラーばりの運命の方がいいな、とは確信を持って言えます。しかし、この演奏も侮れないのです。第１楽章、少し乾き気味の音色ですが、その瞬発力やそれの裏付けとなるオケのまとまりがさすがです。迫力もあり心に訴えるものもあります。第２楽章、少々あっさりめの演奏に、明るいオケが拍車をかける。音楽はスムーズに流れて行っています。一方で、心に何も残らないとは言い過ぎですが、そんな傾向はないわけではないのでした。しかし、第３楽章から終楽章にかけては、一気に心地良い迫力と高揚感にあふれた演奏が展開され、十分に満足させてくれます。若く元気一杯のバーンスタインの活力と躍動感に満ちた勝利の凱歌が繰り広げられます。誠に健康的な『運命』であります。

バーンスタインの晩年の演奏には、なかなか興味深くおもしろいものが多いのですが、1960年代ニューヨークＰＯとの録音もいいですし、むしろこちらの方がいいかな、と思うことがある、今日この頃でございます。
（SONY CLASSICAL 88697683912 2010年 SONY CLASSICAL MASTERS BOX SET　輸入盤）