ネットで知り、
図書館で借りた本、
「世界屠畜紀行/内澤旬子著」(角川文庫)を読み終えた。
著者の女性は、
実際に世界の屠畜(とちく)現場に行き、
その様子をていねいに見学して、
決して逃げず、
自身によるイラストを添えてルポしている。
読めば肉が食べられなくなるのではないかと
心配したけれど、
生きものの命を奪って食べている以上、
たとえ気分が悪くなっても、
「生きているもの」が「肉」になる工程を
ちゃんと知っておかなければならないと思った。
ずいぶん以前に、
人の良さそうな風貌で人気のある男優さんが、
狩りによって日々の糧を得て生きている家族を訪れ、
父親が狩った獲物をさばくのを見て、
動物が可哀想だと涙ぐみ、
責めるように背をむける姿が放映された。
狩りをしなければ、
その家族は生きていけないのに・・・
それからしばらくして、
同じ男優さんが高級レストランで、
子牛のステーキを美味しい美味しいと頬ばり、
嬉しそうに食レポする姿をテレビで見た。
自分が手を下したり、
目の前でさばかれなければいいのかと、
イヤな心もちになったことを覚えている。
命を食べることで生きている以上、
この本に書かれている内容は、
頭に刻んでおかなければならないし、
それに向き合うことで、
食事の前の「いただきます」も、
きちんと意味をもってくるように思う。
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