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許してはいけない!

2018年06月29日 | 社会・経済

過労死法案採決の狡猾 日本代表の試合の日は気をつけろ!

  日刊ゲンダイ 2018年6月29日

   28日は朝から深夜まで、テレビを中心にサッカーW杯の日本代表戦で一色、決勝トーナメントに進出できるのかどうかで日本中がヤキモキだったが、その裏で国会では、またもや強行採決のデタラメが繰り広げられた。別名“過労死促進法”の「働き方改革法案」が、野党の反対を押し切って参院の厚生労働委員会で採決され、可決されたのだ。これで29日にも、労働者を奴隷化する危険な悪法が成立してしまう。

 28日の厚労委では、法案の採決を阻止するため、立憲民主党、共産党、自由党、社民党の野党4党が厚労委員長の解任決議案を提出。しかし、参院の野党第1党である国民民主党がこれに同調せず、法案採決を認めたため、与党は解任決議案を棚ざらしにして、本会議には上程しなかった。つまり、通常なら先決して最優先に採決される解任決議案を無視するという横暴の末、過労死促進法案は可決されたのだった。

   与党は「審議を尽くした」と主張する。審議時間が衆院33時間30分に対し、参院はそれを上回ったからだというが、問題は時間じゃない。法案の中身がメチャクチャ過ぎるのだ

 

  厚生労働省によるデータの捏造がバレ、裁量労働制の拡大こそ引っ込めたものの、高年収の専門職の残業代をゼロにする「高度プロフェッショナル制度」(高プロ)は残されたままだ。この高プロにしても、データはインチキの極み。必要性を把握するためのヒアリングは法案要綱の作成後に行われた上、たった12人にしか調査していなかったのだから、「労働者のニーズ」なんてウソ八百に決まっている。

  “高年収”というのも口先だけだ。政府は高プロの対象は「年収1075万円以上」と喧伝してきたが、条文にそんな数字はなく、「平均年収の3倍を上回る水準」とあるだけ。前の厚労大臣が「小さく産んで大きく育てる」とホンネを口走ったように、法案さえ成立してしまえば、政府と経済界がタッグを組んで、対象者を広げていくだろうことは目に見えている。

   高プロを提唱した産業競争力会議の委員で、高プロの“旗振り役”でもある人材派遣会社パソナの竹中平蔵会長は、東京新聞のインタビューで高プロの必要性を説きながら、こう言っていた。

 

 「時間内に仕事を終えられない、生産性の低い人に残業代という補助金を出すのも一般論としておかしい」

 

 これには、残業しなければ終わらないほど仕事が多すぎるという発想はない。それだけでも労働者のための法案ではないというのは明白で、廃案にして一からヒアリング調査をやり直し、法案を作り直すのが筋なのである。成立したら、サラリーマンは息の根を止められてしまう。

 

  労働法制に詳しい法大名誉教授の五十嵐仁氏がこう言う。 

 

 「労働法制は人の生き死にがかかる重要な政策です。過労死を容認するような中身で、多くの問題点が明らかになっているのですから、強行して成立させるような法案ではありません。政府も当初こそ『労働者のため』と言っていましたが、ここへきて経営者の利益が優先されていることも見えてきました。正々堂々と議論できないから、『国民がW杯に気を取られているうちに……』『サーカスに惑わされているうちに……』という姑息なやり方で法案を成立させようとするのでしょう」

5年の長期にわたって「ナチスの手口」を実行

   「パンとサーカス」は安倍ペテン政権の常套手段だ。2年前のリオ五輪。国民がメダルラッシュに沸く中、閉会式に安倍首相が「スーパーマリオ」に扮して登場。これだけで世論調査の内閣支持率がハネ上がり、それまで「反対」が多かった「総裁任期の延長」についても「賛成」が増えた。

  安倍は今回のW杯も、トコトン利用する気なのだろう。日本代表がコロンビアと戦った初戦の19日、“腹心の友”がアリバイ作りの記者会見を開いたが、W杯のドサクサに紛れてモリカケ問題の幕引きを狙った官邸との打ち合わせがあっただろうことは想像に難くない。

  日本代表のまさかのコロンビア戦勝利で、日本中がW杯に熱狂し始めると、テレビはどこも、国会のことなんてほとんど報じない。第3戦のポーランド戦があった28日も、現地・ボルゴグラードからの生中継や日本代表のスタメン予想、30度を超える酷暑への不安など一日中、W杯情報にたっぷり時間を割いていた。

こうなれば国民に気づかれないように、安倍政権はやりたい放題を加速させる

  「国会で与党が難しい法案を通そうとする時は、1本でやらないで、いろんな懸案の法案を組み合わせて出して、核心の1本を目立たなくさせるものです。国民の関心がW杯に向かっているところで、働き方法案を成立させようというのも、そうした手法の延長線上にある。W杯によってメディアの国会報道が減るだろうというタイミングを政権は狙ってきているのです。こうした政権の思惑に対し、メディアはきちんと強行採決のことを伝えるのかどうか。メディアが試されています」(政治ジャーナリスト・鈴木哲夫氏)

 28日は働き方法案だけでなく、野党の抵抗むなしく、米国を除く「TPP11」関連法案も参院内閣委で可決している。こちらも、29日成立の運びだ。延長した32日間の会期は与党のためだけにあると言わんばかりに、与野党対決法案が次々、ベルトコンベヤーに載せられて自動成立していく。緊張感のない消化試合――。これが今の茶番国会の姿なのである。

■バラバラ野党が政権をツケ上がらせる

  野党もどうしようもない。働き方法案が参院の委員会であっさり可決したのは、国民民主党が野党共闘から離脱して、採決を容認したからである。参院の野党第1党が、厚労委員長の解任決議案に乗らなかったので、与党は平然と決議案を無視する強行に出ることができた。与党の国対筋は「野党間の溝が顕在化して助かる」と漏らしていたという。

  そういえば、国民民主の応援団の連合も27日、事務局長が自民党の岸田政調会長を党本部に訪ね、来年度予算編成に向け、長時間労働是正など重点政策の要望書を渡していた。毎年恒例のことだとはいうが、自分たちが反対する高プロの含まれる働き方法案が成立しそうなタイミングに、なぜわざわざ与党にスリ寄るのか。野党がバラバラ、チグハグで、与党は楽チン。安倍政権をますますツケ上がらせるばかりである。

「支持率1%に低迷したままの国民民主は立憲民主とは違うことをして独自性を示したいのでしょうが、与党を利するだけです。『野党の足並みが乱れている』とメディアに報じられ、有権者にも『党利党略』と思われ、結果的に国民民主にとってプラスにならない。支持率も上がりませんよ。どうしてそういうことが分からないのでしょう」(五十嵐仁氏=前出)

  パンとサーカスを与えることで、民衆を支配するのがうまかったのはヒトラーのナチスだった。安倍政権も5年の長期にわたって、「ナチスの手口」を実行に移してきている。決勝トーナメント進出を決めた日本代表の次の試合は7月2日。狡猾政権は今度は何を仕掛けてくるのか。国民は浮かれていないで、注視しなければならない。


 「野党もどうしようもない」ではないでしょう!支持率1パーセントしかない「国民民主」が「野党」を代表するから問題なのであって、「立憲」と「国民民主」がちょっと前までは「民主党」として同じ釜の飯を食っていたのだから。より勢力分布がはっきりしたのに、彼らまで「野党」として期待できないのはわかりきったことだ。「維新」と同じなのだ。今度の選挙で消滅させなければならん。「進歩的」と言われるメディアでもこれなのだ。

 そもそも「生産手段」を持たぬ労働者、自らの労働能力を売るしかない弱い立場を、団結して権利を守り人間としての生存権を拡張してきた長い長い歴史の上に立つ、働く者の権利である。なん世紀にも及ぶ「資本」と「労働者」の戦いであった。

   許してはいけない!