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「丸腰国家」コスタリカを・・・・

2018年06月16日 | 社会・経済

 

世界が注目、最貧国コスタリカの戦略

HARBOR BUSINESS Online - 2018年6月12日

   今年5月、コスタリカで就任した新大統領が仰天プランをブチ上げ、また世界を驚かせている。軍隊を持たない「丸腰国家」コスタリカの次の一手から、辺境の貧困国だったコスタリカが世界の「インフルエンサー」(影響力を与える者)になれたワケを読み解く。

◆「カーボン・ニュートラル国」を目指すことを、強く印象づけるパフォーマンス

 5月8日、第48代コスタリカ共和国大統領に就任したカルロス・アルバラード氏は、その就任演説で、コスタリカを「世界初のカーボン・ニュートラル国にする。一番でなくとも、カーボン・ニュートラルに到達する第一グループの国となる」と高らかに宣言した。

 細工も流々だ。野外で行われた就任式典に臨むにあたり、世界各国の賓客が集まる会場に水素バスで乗りつけ、気候変動担当部局の新しいリーダーの「就任式」まで執り行った。「コスタリカの今後の最重要目標は、カーボン・ニュートラルである」ということを世界に強く印象づけるパフォーマンスは、大成功に終わったといっていいだろう。

 例えば、ゲストとして大統領就任式に参列したボリビアのエボ・モラレス大統領は、「地熱発電はすごい。ボリビアでも考えたい」など、さっそく感化されたようなコメントを漏らしていた。

 式典を生中継していた現地テレビメディアでも、新大統領が気候変動対策に関してスピーチの多くを割いていたことに注目。外国メディアでもコスタリカの「次なる野望」が一様に報じられた。たとえば英ガーディアン紙(ネット版)には、コスタリカを「未来の希望の誘導灯である」と手放しで讃える記事も掲載されている。

◆実は、10年以上前から宣言していた

 非常に野心的と思えるこの戦略目標は、実は以前から存在していた。2007年、当時のオスカル・アリアス大統領が、2021年までに「再生可能エネルギー発電100%」と「国レベルでのカーボン・ニュートラル」を達成するという目標を宣言(アリアス宣言)したのがそれだ。

 そのうち前者は、2015年に実績ベースで約98%に達し、ほぼめどをつけた。ちょうど同じ年の12月にパリ協定が結ばれ、世界中のほぼすべての国が気候変動対策に本腰をいれることで合意した。

 しかも、パリ協定の枠組みである「気候変動枠組条約締結国会議」の事務局長は、1948年に同国で軍隊廃止を宣言し、「丸腰国家」の始祖ともいえるホセ・フィゲーレス元大統領の娘、クリスティアーナ・フィゲーレスだった。これらの要素が重なり、コスタリカが「再エネ100%国」であるというイメージは一気に世界中に広まったのだ。

 その一方で、実はカーボン・ニュートラル政策は遅々として進んでいなかった。正確には、進めてはいたのだが、現状があまりにも厳しすぎて目標に追いついていなかったのだ。例えば、排出される炭素の過半を占める輸送部門では、毎年の新車登録台数が新生児の登録数を上回っていることが現地でも話題になっている。

 そこでアルバラード氏はあえて、大統領就任式という世界が注目する場とタイミングで大見得を切った。実際は2021年までの達成はほぼ不可能と考えられ、当初目標より後退しているはずなのだが、その点はあまり注目されずに称賛ばかりが目立った。そこに、コスタリカの広告戦術のうまさがある。それは伝統的に培われたものだった。

◆軍隊廃止、エコツーリズム発祥etc.世界の注目を引きつける広告戦術の伝統

 遡ること70年、1948年にホセ・フィゲーレスが軍隊廃止を宣言した時も、コスタリカは「丸腰国家になるのだ」という印象を世界中に強く与える、大々的な広告戦術を打った。言葉で宣言するだけでなく、陸軍司令部要塞の壁を大きなハンマーで打ち砕くパフォーマンスを行ったのだ。そのシーンは世界中に配信され、現在でもインパクトを保ったままだ。

 また、要塞の鍵を文化庁長官に渡し、国の資源を軍隊から教育や文化に振り分け直すことを印象づけた。以後現在まで「コスタリカは軍隊を持たず、教育や福祉に投資している」という印象を多くの人が持っているのは、事実関係もさることながら、その広告的手法が効果的であったことを如実に示している。

 1980年代から推進した「エコツーリズム」にしてもそうだ。エコツーリズム的な概念や実践は、それより前から世界のあちこちで行われていたはずだ。だが、コスタリカは「エコツーリズム発祥の地」として世界に知られている。

 それは、コスタリカがその「名づけ親」になったこと、国を挙げて制度面の整備まで含めてエコツーリズムの定義を作ったこと、そして「エコツーリズム」という修辞句を使って世界中の観光客を呼び込んだ広告戦術を展開したことの結果なのだ。

 ちなみにそれは、1987年に中米和平交渉が妥結し、隣国ニカラグアの内戦をはじめ、地域安全保障体制の行く末にある程度道筋を作ったからこそ本腰を入れられたことでもあった。

 つまり、「丸腰国家」の次の戦略は「エコツーリズム国家」だったことになる。事実、20世紀末の主な外貨収入源はコーヒーやバナナといった一次産品の輸出と並んで、観光部門が大きな割合を占めるようになっていった。

 コスタリカが辺境の貧しい小国から世界の注目国にステップアップしていった背景には、国の長期戦略を世界に広める巧みな広告戦術の伝統があるのだ。

◆奇跡を呼び込む努力は、目標を宣言し、その広告をすることから始まる

 そんなコスタリカが次に設定した長期戦略が「再生可能エネルギー発電100%」と「カーボン・ニュートラル」の達成だった。

 幸か不幸か、その2つの戦略目標を謳った2007年の「アリアス宣言」はあまり注目されていなかった。しかも、現在ほぼ達成したと言われている(厳密にはまだなのだが)再エネ発電100%ですら、2010年の段階では「目標年度までの達成は無理ではないか」(環境エネルギー省担当者)とも言われていた。それでも、官民を挙げてこれらの目標に日々取り組んできた。

 結果的に、タイミングよくパリ協定妥結と再エネ発電(ほぼ)100%達成が重なった。ただ、「それは単なる偶然」と一笑に付すことができる話でもない。各分野での継続的な努力がなければ、どちらも達成できなかっただろう。努力が呼び込んだ奇跡といってもいいだろう。

そしてこれら国レベルの戦略は、すべて大々的に「目標を宣言すること」から始まっている。さらに、単に宣言するだけでなく、象徴的なパフォーマンスを付加して世界中に発信する。それがコスタリカの一貫した広告戦術であり、常に目標を達成する第一歩となっている。

◆コスタリカの一貫した長期戦略は「野心国家」であり続けること

 再生可能エネルギー源による実際の年間発電率は2015年度以降、毎年98%以上を確保し、さらに注目が集まってきた。そのタイミングでの新大統領就任に「カーボン・ニュートラル」をぶつけ、最大限の広告効果を得ることにとりあえずは成功した。

「とりあえず」というのは、実はカーボン・ニュートラル達成年度を2030年ごろに繰り延べようとする動きがあるからだ。とはいえ、国レベルで達成年度目標を示したのはコスタリカが世界初だったということは、事実として残る。

 達成できなくとも、野心的な目標をぶち上げるだけで意味を持つ。野心的であればあるほど、広告の打ち方さえ間違えなければ、失敗しても「仕方ない、むしろよくやった」とプラスに作用させられる。

「過大広告」とも思えるこの戦術に今回もあえて踏み込んだのは、実際の目標達成以外に目的があるからだろう。それこそ、「国としての“理想的野心”を対外的に発信すること」なのだ。それにより、対内的にはなかなか進まない脱炭素化の「ネジの巻き直し」効果を狙える。対外的には「理想を追い求め続ける国」という評価がますます高まる。失敗してもリスクは少ない。

 軍隊廃止を宣言した1948年、コスタリカは中米の辺境にある小さな貧しい国だった。それが今や、世界をリードするほどの存在感を見せつけている。それは、次のような一貫した手法によって成し遂げられてきた。

1.理想的かつ野心的な長期戦略目標を立てる

2.それを世界的に広告宣伝する

3.その目標を一定程度達成する

4.それをさらに世界的に広告宣伝する

5.新たな戦略目標を掲げる(=1に戻る。以下繰り返し)

こうしてコスタリカは、最貧国から世界のインフルエンサーにのし上がったのだ。

「丸腰国家」コスタリカ 次の戦略 第一回

<文・写真/足立力也>

コスタリカ研究者、平和学・紛争解決学研究者。著書に『丸腰国家~軍隊を放棄したコスタリカの平和戦略~』(扶桑社新書)など。コスタリカツアー(年1~2回)では企画から通訳、ガイドも務める。


 

 昨日「カジノ法案」が衆院内閣委員会で自・公・維新によって強行採決された。庶民には無いほうがいい「法」ばかり、必要なものは掛け声ばかりで「腰」が入っていない。いまだ政権にしがみついて悪法ばかり通す。早く引き摺り下ろさなきゃ!
 コスタリカを少しでも見習ってほしいものだ。
晋三!