野宿者支援に取り組む市議が平塚駅前ベンチ改修に込めた思いは
「東京新聞」2023年9月4日
「排除ベンチ」の排除に成功──。今年7月、神奈川県平塚市のJR平塚駅前に置かれているベンチの座面の仕切りが取り外された。かつて野宿者(ホームレス)対策で後付けされたとみられ、市議の江口友子さん(47)が設置者の市に改善を働きかけた。長居しにくいデザインのベンチやオブジェは「排除アート」と呼ばれ、特定の人たちの利用を物理的に妨げている。江口さんは「ベンチは本来、コミュニケーションの場。誰かを排除するためにあるのではない」と訴える。(佐藤圭)
排除アート 明確な定義はないが、ホームレスなど特定の人による公共空間の利用を物理的に妨げている造形物を指すことが多い。座面が仕切られた公園やバス停のベンチ、高速道路の高架下や歩道橋の下に置かれたオブジェ風の丸石などが代表例。1990年代以降、設置者の意図にかかわらず、「アート」と呼ばれるようになった。2020年、東京・渋谷でホームレスとみられる60代女性が男に殴られた事件では、女性が夜を過ごしていたバス停のベンチが狭く仕切られていたことが話題となった。
問題のベンチは、平塚駅西改札口の北側に据え付けられている。口の字形の木製で背もたれはなく、大きさは縦横各263センチ、幅43センチ、高さ44センチ。仕切りの突起物は4カ所あり、これが邪魔で横たわることができない。ベンチを管理する市道路管理課には、設置年などの記録は残っていないが、後から取り付けられたことは確からしい。
◆前から意地悪だと感じていた
江口さんのもとに5月23日、市民の男性から「古くて座れない」と連絡があった。すぐに足を運ぶと、座面が腐食するなど老朽化が進んでいた。江口さんは「座るとけがをするので早急な対応が必要だった。排除ベンチであることも、その時に気が付いた」と振り返る。
現場の写真を撮影し、「ベンチを直してほしい。その際、突起物を外してほしい」と同課に掛け合った。担当者も賛同し、改修と仕切りの撤去を約束。7月3日に完成した新たなベンチは木製の座面が新調され、仕切りもなくなった。男性に伝えると、「こんなに早く直してくれるんだ」と喜んだ。
2003年の市議選に無所属で立候補し、27歳で初当選した江口さんは現在6期目。市議になる前から野宿者支援に取り組んだ。バブル崩壊後の1990年代、平塚でも野宿者が増加し、街中では排除ベンチが目立つようになった。「当時から意地悪だと感じていたが、やめさせることはできなかった。今回が初めての成功体験です」
◆弱者目線の人が増えてきたのでは
排除ベンチの設置は、住民の側が「野宿者が寝そべっていては問題」などと後押ししてきた面がある。その点、江口さんも心配したが、今のところ、市にクレームなどは届いていない。江口さんは「今まではホームレスは邪魔者だったが、社会が高齢化する中、弱者の目線でものごとを考える人が増えてきたのでは」と感じている。
野宿者にも優しい街の実現に向けた一歩となるのか。平塚駅前の中心商店街は電柱が地中化され、年間を通じて歩行者天国になっているが、一休みしようと思っても、そこにあるのは座面が細すぎる「排除ベンチ」ばかり。江口さんは力説する。
「商店街にゆったりと座ることができるベンチを増やせば、人も集まり、お金も落ちる。排除ベンチが陳腐に見えてくるはずです」
わたしも、あの事件でようやく知ったことです。
なんていじわるな・・・
寝床のない人になぜそこまで意地悪しなければいけないのか・・・
全国のベンチを総点検する必要がありますね。
週間天気予報を見ても30度超えの日はなくなりました。
最低気温も15℃と、作物にはいい環境です。
暗くなるのも一気に早まった感じがします。