ユネスコ諮問機関が「世界に類を見ない文化遺産」
ユネスコ世界遺産委員会の諮問機関である国際記念物遺跡会議(イコモス)と日本イコモス国内委員会が9月7日、東京・神宮外苑の再開発に対して「遺産危機警告(ヘリテージアラート)」を出した。
イコモスは今回のヘリテージアラートで「世界的に有名な公園である神宮外苑で3000本もの樹木が伐採され、市民との協議なしに高層ビルが建てられようとしている」として、事業者や東京都などに対して計画を見直すよう求めている。
神宮外苑を「卓越した文化遺産」と評価
神宮外苑は約100年前に、「永遠の杜」である神宮内苑の対になる「人々に開かれた杜」として、国民の寄付や奉仕活動によって作られた。
さらに、都市公園の役割について「人々の憩いの場であり、豊かな生物多様性を維持し、ヒートアイランド現象を和らげ、大規模地震などの自然災害時の避難所としての役割も果たす」と説明している。
ヘリテージアラートを出すとともに、事業者や東京都、自治体、国に対し以下の5つを要請している。
1. 事業者の三井不動産、明治神宮、日本スポーツ振興センター、伊藤忠商事への要請:神宮外苑の再開発計画を撤回し、国際的企業や宗教法人、スポーツ促進団体として、社会的、倫理的責任を果たすこと
2. 東京都への要請:高層ビルの建築が市民の公園利用の権利を永遠に奪うものであるという事態を鑑みて、神宮外苑再開発に関する都市計画決定を見直し、環境アセスメントの再審を行うこと
3. 明治神宮への要請:神宮外苑が市民からの寄付と奉仕活動によって作られ、「美しい公園として永遠に維持する」という約束のもとに奉献された歴史を考慮して、再開発事業から速やかに撤退すること
4. 港区、新宿区、渋谷区への要請:未来の世代のために、神宮外苑を名勝指定するための取り組みを行うこと
神宮外苑の再開発に対し、日本イコモス国内委員会は、樹木を伐採しない案を提案している。
日本イコモス国内委員会が提案する伐採を伴わない再開発プラン
事業者は9月から高中木の伐採を始める予定としている。ハフポスト日本版はイコモスのヘリテージアラートに対するコメントを、事業者と東京都に求めている。
地球「沸騰化」の折も折、わが国では海洋汚染に加え、100年の歴史ある3000本もの樹木が伐採され、高層ビルが建てられようとしている。
「待ったなし」の状況下において、到底許されるべきことではない。
日本1国の問題ではない。
今朝のハウス内最低気温10.2℃だった。