「しんぶん赤旗」2025年2月7日
農民運動全国連合会(農民連)は1月15~17日、第26回定期大会を開き、当面の運動方針を採択し長谷川敏郎会長ら役員を選出しました。長谷川会長に、食と農をめぐる情勢や闘いの展望を聞きました。
日本の食と農は、歴史の大きな曲がり角に来ています。昨夏以来、米不足と米価高騰が続いていますが、そもそも主要先進国で、主食が探し回っても手に入らない事態が起こること自体が異常です。農業の担い手も減り、養豚農家は国内で3000戸あまり、ブロイラー(肉用鶏)は2000戸ほど、鶏卵農家も1600戸あまりしかいません。
広がる信頼
畜産・酪農だけでなく、野菜や果樹も含めて、昨年は全ての品目で収量が減少しました。端緒的に表れた主食の米だけでなく他の農畜産物も含めて、日本の食と農は相当深刻な事態にあります。
一方で、この緊急事態を“自分事”として捉える消費者や市民が広がっています。昨年、食と農の学習会が全国草の根で広がりました。農民連の役員が講師を引き受けたものだけでも全国100カ所、参加者は1万人を超えました。学習会で話を聞いて、新日本婦人の会の畑づくり小組に参加するようになったり、生協でも「生産する消費者運動」と銘打った取り組みを始めたりしています。
こうした危機意識の高まりと合わせて、農民連としても、政府の政策に対する対案を示すことだけにとどまらず、アグロエコロジー(生態系を生かした農業)の提案など抜本的な立て直しの方向を示してきました。そうした取り組みに信頼が寄せられていると感じます。
食と農に対する問題意識の高まりを背景に、全国で若い新規就農者も現れています。農民連としては、全国でこうした人たちを受け入れられる組織になっていきたい。そのために必要なのは、「お互いが助け合える組織になる」ということです。
農家の高齢化と離農が全国で進んでいますが、これをどう食い止めるのか。農家は自分の厳しい経営にきゅうきゅうとしています。そして高齢の農家は、機械が一つ壊れたタイミングで、スッと辞めていってしまう。その前に「困っている」「助けてくれ」と声をあげられる関係があるかどうかが大事です。そのためにも今、農家に足を運んで、困りごとを聞き、運動につなげていこうと呼びかけています。
有機給食も
5年に1度立てられる、食料・農業・農村基本法に基づいた「基本計画」が3月に閣議決定されます。当面、ここに食料自給率目標や農家への直接支払い、新規就農支援を書き込ませることが運動の目標になります。合わせて、7月の参院選でも自公を少数に追い込むような情勢をつくりたい。
2009年からの民主党政権では、食料自給率目標も50%に引き上げられ、そのための施策も実行されました。このように、農政を実際に変える闘いをしていきたいです。
学校給食の運動も大事です。無償化と合わせて地場産有機農産物の活用が全国で広がっています。安全面への配慮だけでなく、地域農業を再生しようという動きの表れだと見ています。これも、食と農を“自分事”と捉える流れの一環でしょう。学校給食に支えられて若い農家が有機栽培を始めたり米の生産を始めたりといった動きもあります。全国で力を合わせて後押ししていきたい。
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増えるコメ輸出
「しんぶん赤旗」2025年2月6日【経済】
日本からのコメの輸出額が急増しています。農林水産省の「農林水産物等輸出実績」によると2024年の輸出額はアフリカなどに向けた支援米を除き、120・3億円でした。04年の2・3億円から50倍以上に増加しました。とりわけこの数年は前年に比べた伸びが目立ち、24年は27・8%増でした。
政府は農林水産物・食品の輸出拡大に力を入れ、20年に「農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略」(戦略)を策定。コメなど27品目(その後の改訂で29品目に拡大)を輸出重点品目としました。アメリカや香港を中心に、おにぎり屋やすし店など日本食レストランが増加し、外食向けのコメ需要が拡大したことも影響してコメ輸出が増加しました。
一方、国内では昨年、深刻なコメ不足が起こり、新米が出回っても品薄感から高騰が続きます。政府がコメの生産量を需要ギリギリに抑えてきたため、需要増や不作などに対応できないためです。
政府は「戦略」で日本産米について「冷めてもおいしい」「日本食の普及とともに(輸出)拡大が可能」と評価しています。ならば所得補償と価格保障で農家の経営を支え、十分な量のコメを生産できるようにするのは当然です。(清水渡)
インバウンド需要で米の消費が増えています。
さらに帰国してからも米を食べたい人が増えているようです。
この時期に小麦ではない米を世界にアピールする絶好の機会なのですがねぇ。
丸2日間雪が降り続いています。
明日も丸1日雪予報。