軍事費増額に道
「しんぶん赤旗」2025年2月9日
「日米協力の羅針盤となる文書」―。石破茂首相は日米首脳会談後に発表した共同声明を「成果」として誇りました。共同声明は、集団的自衛権の行使容認を盛り込んだ安保法制(2015年)、敵基地攻撃能力の保有や日米司令部の一体化、南西地域の軍事強化、軍事費2倍化などを盛り込んだ安保3文書(22年)に基づく大軍拡路線を継承し、いっそうの強化を狙うものになっています。
重大なのは軍事費のさらなる増額です。日本政府は27年度までに軍事費の国内総生産(GDP)比2%(約11兆円)規模に増額する方針ですが、共同声明に「27年度より後も抜本的に防衛力を強化していく」と明記。2%以上の軍事費増の可能性を示しました。すでに米側からは「3%以上」といった声が相次いで出ています。
石破氏は7日の共同記者会見で軍事費の増額について「米国に言われてやるものではない。日本国の責任で判断する」と言及。トランプ氏の要求を先回りして表明する「自発的な対米従属姿勢」ともいえるものです。
さらに、共同声明は、沖縄県民の民意を無視して辺野古新基地建設の「着実な実施」を明記。その一方、石破氏が長年主張していた日米地位協定の改定に全く触れませんでした。米兵による女性暴行事件など基地が存在するがゆえに苦しむ沖縄県民の「基地はいらない」「日米地位協定の改定を」と求める願いを踏みにじっています。
さらに、核抑止を含む拡大抑止の強化を明記。「核兵器のない世界」を求める広島・長崎の被爆者の思いまで切り捨てて、「日米同盟の強化」に固執する姿勢を示しました。
トランプ、石破両氏とも「平和」という言葉を多用しました。石破氏は会談冒頭、安倍昭恵氏(安倍晋三元首相の妻)を通じて贈られたトランプ氏の写真集に触れ、「ピース(平和)と書かれていて感銘を受けた」と言及。共同声明での軍事協力の項目も「平和のための日米協力」と銘打ちました。
しかし、首脳会談で示された実態は「平和」とは真逆の大軍拡路線。軍事力で相手を脅す「力による平和」という発想そのものであり、典型的な「抑止力論」です。軍拡競争をあおり、緊張を高めるだけであり、この道に未来はありません。
共同声明は冒頭「世界に平和と繁栄をもたらす日米関係の黄金時代を追求する」と掲げました。しかし、実際は「黄金時代」どころかアジアに「暗黒時代」を招く危険しかもたらしません。(斎藤和紀)
日米首脳共同声明に盛り込まれた軍事協力
・日米の司令部一体化
・南西諸島での共同訓練、日米基地化推進
・核抑止を含む拡大抑止のさらなる強化
・日米軍需産業の協力、強化
・宇宙、サイバー分野での一体化推進
・辺野古新基地建設の推進
・日米豪印など多国間軍事協力の推進
⁂ ⁂ ⁂
「国際秩序への攻撃」 ICC所長 米の制裁を非難
79カ国・地域も批判、日本は加わらず
大統領令は、ICCが2024年11月にイスラエルのネタニヤフ首相らに逮捕状を出したことへの報復措置として、ICC職員やその家族らに資産凍結や渡航禁止などの制裁を科すことを可能にする内容。赤根所長は「裁判所の独立性や公平性に干渉しようとするいかなる試みも断固拒否する」と強調しました。
ICC加盟国(125カ国・地域)のうち79カ国・地域も7日、「深刻な犯罪が免責となる危険性を高めるものだ」と大統領令を批判する共同声明を発表。制裁により現在進行中の捜査が阻害されるだけでなく、ICC職員や事件関係者の安全が脅かされると訴えました。声明には英国やフランス、ドイツ、カナダなどが名を連ねましたが、日本は加わっていません。 (時事)
昨年3月からICCのトップを務めるのは日本人女性、検事出身の赤根智子所長(68)だ。被団協にも背を向けアメリカの「ポチ」になり下がる政権を代えるしかないのか?
日本が、さらなる「犬」になるために行ったような会談でしたね。
本当に変えないと、どんどんダメな国になり下がりますね。