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【深澤真紀】日本の若者の無力感がすごい!学校教育法の問題。社会に参加する権利を!!

2020年09月16日 | 社会・経済
「若者の政治無関心 悪いことじゃない」麻生氏が高校生に向け 真意は?

 麻生太郎副総理兼財務相は9日、通信制高校での授業に登壇し、「若者が政治に無関心なのは悪いことではない」と語った。そのココロは、若者が政治に無関心でいられるほど日本が平和だからだということらしいが、麻生氏が安倍政権を支えたこの7年8カ月の間に選挙権年齢は18歳に引き下げられ、若者の政治参加は政府全体の呼びかけだったはず。無関心ではいられない麻生発言を考える。(榊原崇仁、佐藤直子)

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【深澤真紀】日本の若者の無力感がすごい!学校教育法の問題。社会に参加する権利を!!


第1次安倍内閣の教育基本法改正は、憲法改正の前段階! 道徳の教科化で子どもたちの心のなかに権力が入っていく!

園児が「教育勅語」、園児のアベさん応援これが「森友」の入り口だった。アベの狙いは何だったのか?


黒人男性にまた暴力。

2020年09月15日 | 事件

「パパ!」と泣き叫ぶ子の前で激しく頭を殴られる動画が拡散。

運転していないのにID提示を求められ、暴力を振るわれたロデリック・ウォーカー氏。弁護士は不当逮捕だと訴えています。

警察による黒人への暴力が続くアメリカ。今度はジョージア州アトランタで、黒人男性が保安官代理によって暴力を振るわれる事件が起きた。

<iframe width="1" height="1" frameborder="0" scrolling="no"></iframe>被害にあったのは、26歳のロデリック・ウォーカー氏だ。乗っていた車を保安官代理によって停止させられた後、何度も殴打された。

この事件を捜査していたクレイトン郡の保安官事務所は9月13日、ウォーカー氏に対する過剰な武力行使により、保安官代理を解雇したと発表した。

運転していないのにID提示を求められた

ウォーカー氏が殴打される事件が起きたのは、9月11日だ。

ウォーカー氏の弁護士シーン・ウィリアムズ氏は記者会見で、ウォーカー氏が流血して何度か意識を失ったと説明した。

ウィリアムズ弁護士によると、ウォーカー氏はレンタカーを返却した後、友人の運転する車で自宅に戻る途中だった。

車にはウォーカー氏のガールフレンドと4人の子どもうちの1人が同乗していた。車は、テールライトの故障で保安官代理に停止させられたという。

「一体なぜ、テールライトの故障で殴られなければいけないのでしょう。彼はチョークホールドをかけられて、死にかけるほどひどく殴られました。動画と事件の証拠は、ウォーカー氏が何一つ悪いことをしていないということをはっきりと示しています」とウィリアムズ弁護士は訴える。

ウィリアムズ弁護士はアトランタのテレビ局WSB-TVに、保安官代理は車両を停止させた後に、ウォーカー氏にIDを見せるように求めたと説明している。

ウォーカー氏が自分は運転していないのでIDは持っていないと述べ、なぜID提示を求めるのか。 私は運転していないし、何一つ悪いことはしていない」と聞くと、保安官代理は怒り始めたという。

動画には、殴られるウォーカー氏をみて車の中から「パパ!」と泣き叫ぶ子どもの声や、保安官が「奴が手を噛んだ」と叫ぶ声、さらに横に立っている女性が泣きながら「彼を離してください!息ができないと言っています」と何度も訴える声も記録されている。

逮捕されるべきは保安官だと弁護士らは訴えている

ウォーカー氏は暴行と公務執行妨害の罪で逮捕され、収監された。

弁護士が公開した写真には、刑務所にいるウォーカー氏の左目が大きく腫れた姿がうつっている。 

逮捕した際に、保安官代理がウォーカー氏が執行猶予期間中であることを知っていたかどうかは明らかになっていない。保安官事務所が現在この事件について捜査しており、捜査結果はクレイトン郡の地区検察局に送られる審査される。

ウォーカー氏の弁護士は記者会見で「なぜ攻撃された彼が、刑務所に入れられなければいけないのでしょう? 刑務所に入れられるべきは、ウォーカー氏を攻撃した保安官代理です」と述べ、ウォーカー氏の釈放と保安官代理の逮捕を求めた。

また、この出来事は黒人がいかに法執行機関によって不平等に扱われているかを示しており、逮捕はウォーカー氏の法律上、憲法上の権利を侵害していると訴えている。

「ロデリック・ウォーカー氏はクレイトン郡保安官代理による違法な逮捕で、刑務所に入れられています。彼がこの事件でやったこと、もしくは過去の出来事には関係ありません」

「彼の法律上、憲法上の権利を侵害するこの違法逮捕がなければ、彼は刑務所にはいません」


  昨日、大阪なおみ選手の「7枚のマスク」を紹介したばかりである。7枚でも到底足りないと言ってる矢先の事件である。(原文には写真・ビデオ・英文ツイッターなどあるのだが、ここではアップできない)

パブリカの収穫が始まった。


大坂なおみがマスクに遺した7人の犠牲者。

2020年09月14日 | 社会・経済

勝ち続けることで貫いたもの【全米OP・画像】

ハフポストNEWS 2020年09月13日

プレーしながら世に訴えかけていく。勝つことで意志を貫く。全米オープンは、それを体現する場となった。

テニスの大坂なおみ選手は、2020年の全米オープンに特別な思いを持って臨んでいた。

<iframe width="1" height="1" frameborder="0" scrolling="no"></iframe>直前のウエスタン・アンド・サザン・オープンでは、黒人男性が背後から警察官に撃たれた事件に対する抗議として、準決勝のボイコットを一時表明した。

プレーしながら世に訴えかけていく。勝つことで自分の意志を貫く。

全米オープンは、それを体現する場となった。

用意した7枚のマスク。その一つ一つに、黒人に対する人種差別や警察による暴力の犠牲者の名前を遺した。

「7枚のマスクでは、多くの犠牲者の名前をつづるのに足りないのを残念に思う。決勝に行って、全てのマスクを見せたい」

決勝を含めて全7試合。大坂選手は、1回戦の勝利インタビュー語った言葉通り決勝まで進み、7枚全てのマスクを披露した。

大坂選手が身につけたマスクに記された犠牲者や、事件について振り返る。

1枚目(1回戦)

ブレオナ・テイラー(Breonna Taylor)

EPA=時事žŽ–
8月31日の一回戦で、ブレオナ・テイラーさんの名前が書かれたマスクをする大坂選手。

ブレオナ・テイラーさんは、ケンタッキー州ルイビルの26歳の救急救命士だった。

彼女の叔母はテイラーさんについて「活発で、少し抜けたところのある子だった」と振り返る。目標に向けて努力を惜しまず、家族を大事にする女性だったという。

テイラーさんが事件に巻き込まれたのは3月13日深夜。麻薬事件の捜索で自宅に押し入ってきた警察官に射殺された。麻薬事件の捜査対象は、テイラーさんではなくその場にいなかった別の容疑者だった。

その深夜、テイラーさんが恋人とベッドで寝ていたところに、ドアを叩く音がした。

令状を持った警察官がドアを壊して中に押し入ると、不審者と思った恋人が1発発砲。警官が応じて銃を繰り返し撃ち、テイラーさんに5発命中した。

その場にいた警察官の一人は、部屋の中めがけて、やみくもに10発放ったという。

テイラーさんは、撃たれてから5分はかすかに息をし、何とか生きながらえていた。恋人が緊急通報ダイアル(911)に助けを求めたが、テイラーさんは20分以上も治療を受けられず手遅れに。

現場近くに待機させていた救急車は、通常の慣習に反して、突入の1時間前に撤収させていたという。

自宅から麻薬は見つからなかった。

やみくもに銃を放った警察官は免職となった。他の2人は配置換えされただけで、誰もテイラーさん射殺の刑事責任を問われていない。

警察側は、アパートに押し入る前に身分を明かしたと主張しているが、この事件をきっかけに、ノックをせず予告なしに家宅捜査をすることを禁じる法律が成立した。 

警察官による黒人の人たちへの暴力やこの事件に抗議する声が上がっている。

▽参考記事

大坂なおみ選手、射殺された黒人女性の名前がプリントされたマスクで入場 全米オープンでも差別に抗議

Breonna Taylor’s Death: What To Know - The New York Times

What a CNN review of evidence shows happened in Breonna Taylor’s case - CNN

2枚目(2回戦)

エライジャ・マクレーン(Elijah McClain)

Matthew Stockman via Getty Images
エライジャ・マクレーンさん名前が書かれたマスクをつける大坂選手。9月2日の2回戦に勝ったあと、インタビューに臨んでいる。

エレイジャ・マクレーンさんは、動物を愛する23歳のマッサージ療法士だった。寂しさを紛らわせてあげようと、里親に引き取られる前の動物たちにギターやバイオリンを弾いて聞かせていた。家族は「美しい心の持ち主」と振り返っている。

事件に巻き込まれたのは2019年8月24日夜。コロラド州オーロラで、コンビニからの帰宅中に3人の警察官に呼び止められた。

緊急通報ダイアルの911番で、顔の部分だけが出ているスキー帽をしている不審な人物がいるという通報があったからだという。

マクレーンさんは違法行為をしていなかった。帰宅したいと伝えても、警官は応じなかった。抵抗したとみなされ、警官から銃を奪おうとしたという理由で地面に押し付けられた。

マクレーンさんはけい動脈のあたりを押さえつけられ意識を失ったが、離すと再びもがいたという。15分後、到着した医療救急隊が鎮静剤ケタミンを投与。病院搬送中に心肺停止となり、数日後に死亡した。

3人の警察官は当初休職処分となったが、検察が起訴せず、再び職務復帰した。検察側は、警察官がマクレーンさんに対して力で制圧した際に、違法行為があったという十分な証拠が得られなかったと報告している。

警察側も、けい動脈を抑えることを含めた力で制圧する行為は「方針やトレーニングの内容と一致する」という見解を出した。

この事件は、5月に起きたジョージ・フロイドさん事件を機に再燃した。全米規模でBLM運動が叫ばれる中で、デンバーのデモ参加者はマクレーンさんや家族が求めた正義や公正さを強く訴えた。

マクレーンさん事件の新たな捜査を求める署名には、500万人以上が署名した。

▽参考記事

Elijah McClain died after a police encounter almost 1 year ago. Here’s what happened since - CNN

Elijah McClain case: Colorado officials investigate ketamine use in his death - CNN

Here’s What You Need to Know About Elijah McClain’s Death - The New York Times

3枚目(3回戦)

アマッド・アーバリー(Ahmaud Arbery)

Al Bello via Getty Images
9月5日の3回戦で、アマッド・アーバリーさんの名前が書かれたマスクをつける大坂選手

アマッド・アーバリーさんは、ジョージア州ブランズウィックに母親とに住む25歳の青年だった。高校時代はアメリカンフットボールで知られた存在だったという。体型を保つため努力を惜しまず、よくジョギングしていた姿が家族や友人たちの記憶に残っている。

事件に巻き込まれたのは、2月23日午後1時ごろ。近所をジョギングしている最中に、白人の親子によって銃殺された。

親子は.357マグナム弾とショットガンを掴んでトラックでアーバリーさんを追いかけ、そして路上でアーバリーさんと口論した後に射殺した。

事件から2カ月もの間、容疑者は逮捕されなかった。5月に事件を撮影した動画が投稿され、話題となったことでようやく、白人の親子が殺人と加重暴行の疑いで逮捕された。その後、動画を撮影していた男も、重罪謀殺と不法監禁未遂で逮捕された。

動画には、車の横を走り過ぎようとしたアーバリーさんを2人の男が止めて、銃撃する様子がうつっていた。3発の銃音が鳴り響き、アーバリーさんがショットガンを奪い取ろうとしたが、撃たれて地面に倒れた。

逮捕された親子はアーバリーさんが撃った理由を「強盗だと思った」と主張しているが、アーバリーさんの家族の弁護士は「これは白昼に起きた現代のリンチ」と訴えている。 

この動画が明るみに出た後、アーバリーさん殺害や2カ月も逮捕されなかったことに対して、大勢の市民が激しい抗議をしている。

なぜ逮捕が遅れたのか。

逮捕された父親は、2019年に引退した元警察官。アーバリーさん事件を最初に担当した検察で仕事をしたことがあった。検察当局側は、事件を扱う検察と容疑者の間に繋がりがあったため、担当替えがあったと釈明。逮捕しないように指示したことはないと否定している。

▽参考記事 

ジョギング中の黒人男性が殺害された事件、動画を撮影していた第3の男が逮捕される 

What We Know About the Shooting Death of Ahmaud Arbery - The New York Times

Ahmaud Arbery Case Updates: Three Men Indicted for Murder
https://www.thecut.com/article/ahmaud-arbery-shooting-georgia-explainer.html

Ahmaud Arbery: What do we know about the case? - BBC News

4枚目(4回戦)

トレイボン・マーティン(Trayvon Martin)

ASSOCIATED PRESS
9月7日(日本時間)の4回戦で、トレイボン・マーティンさんの名前が書かれたマスクをつける大坂選手

トレイボン・マーティンさんは、フロリダ州マイアミで母親と暮らす17歳の高校生だった。コンピューターゲームやスポーツ、ラップやヒップホップが好きだったという。

事件が起きたのは、これまでの3人よりも少し遡る。マーティンさんの死や事件が、Black Lives Matter運動として社会的な広がりを見せるきっかけになっている。

マーティンさんは2012年2月26日、父親を元を訪ねていた。コンビニで買い物をした帰り道、ヒスパニック系の白人の男性と遭遇した。口論となった末、胸を銃で撃たれて死亡した。

男性は、マーティンさんの挙動がおかしかったとして、後を付け、不審者がいると通報。電話口で警察に追跡をやめるよう言われたが、そのまま追いかけた。その直後に、発砲が起きたという。

男性は、マーティンさんに襲われ地面に押し倒されたとして、発砲について「正当防衛」を主張。男性は事件から1カ月以上も逮捕されず、警察の対応に抗議活動が起きた。

司法省とFBIは3月19日、マーティンさんの死について捜査を開始したことを発表。マーティンさんの両親が始めた逮捕を求める署名は、130万人を超えた。

男性は逮捕され、第2級殺人の罪に問われたが、その後の展開が更なる波紋を呼ぶことになる。

2013年7月、無罪評決が言い渡されたからだ。黒人に対する人種差別として、全米で抗議活動が広がった。

Black Lives Matter運動は、この時に生まれた。事件への抗議活動の中で、Black Lives MatterというTwitterハッシュタグや、人々の怒りのうねりが形となった。

▽参考記事

Trayvon Martin Shooting Prompts a Review of Ideals - The New York Times

About - Black Lives Matter

大坂なおみさんが言及した「トレイボン・マーティン射殺事件」とは?17歳の少年が犠牲に。加害者は無罪

5枚目(準々決勝)

ジョージ・フロイド(George Floyd)

ASSOCIATED PRESS
9月9日(日本時間)の準々決勝で、ジョージ・フロイドさんの名前が書かれたマスクをつける大坂選手。

ジョージ・フロイドさんは、テキサス州ヒューストン出身の46歳だった。

高校時代はアメリカンフットボールやバスケットボール選手として活躍し、チームの州チャンピオンに貢献したという。ヒューストンでは、「ビッグ・フロイド」という名前でラッパーとして音楽活動をしており、DJ Screwの楽曲に参加したという。

その後、ミネソタ州ミネアポリスに引っ越し警備員として働いていたが、事件当時は新型コロナの影響で職を失っていた。

事件が起きたのは5月25日。フロイドさんは、偽造した20ドル札を使った容疑で拘束された際、警察官に膝で首を抑え付けられてその後に死亡した。

「息ができない」。

そう何度も助けを求めるフロイドさんの声は無視され、警察官は8分40秒に渡って膝で首を抑え続けた。

その様子を撮影した動画がSNSで拡散し、多くの人が、警察による暴力に対する怒りを表明した。黒人への暴力に抗議するBLM運動が再燃し、全米や世界、そして日本にまで広がった。

警察官は当初、第3級殺人容疑などで逮捕されたが、フロイドさん家族は不信感を示し、より重い容疑の適用を求めた。

その後、第2級殺人の容疑も加えられた。

ミネアポリス警察は、容疑者はアルコールか薬の影響下にあり、警察に「身体的に抵抗」したと主張している。

フロイドさんの死は、国中や世界を巻き込んで、数え切れないほど抗議運動に発展。このBLM運動の盛り上がりは、警察らによる暴力で黒人の人たちが犠牲になった過去の事件に改めて光を当てた。

▽参考記事

亡くなったジョージ・フロイドさんはどんな人だったのか《黒人男性死亡事件》 

George Floyd, Houston’s Protests, and Living Without the Benefit of the Doubt | The New Yorker
This is how loved ones want us to remember George Floyd - CNN

6枚目(準決勝)

フィランド・カスティール(Philando Castile)

ASSOCIATED PRESS
11日(日本時間)の準決勝で、フィランド・カスティールの名前が書かれたマスクをつける大坂選手。

フィランド・カスティールさんは、ミネソタ州に住むビデオゲームが好きな32歳だった。

セントポール学校で食事を提供する担当として勤務し、生徒には「Mr フィル」として知られていた。友人からは、いつも定職についてお金を稼いでいたため、お金を意味するスラング「チェダ(Chedda)」と呼ばれていたという。

事件に巻き込まれたのは2016年7月7日。

ミネソタ州ファルコンハイツ、セントポール郊外で、車を運転していたところ警察官に止められた。

運転席の窓越しにライトがついていないと伝えられ、免許証と保険の提示を求められた。それに対して、カスティールさんは銃を所持していることを告げた。

警察官は「(銃を)手に取らないように」と告げた後、「取り出すな!」と声を荒げた。そして、車内に向けて7発発砲し、うち5発がカスティールさんに命中した。

このやり取りの中で、カスティールさんや同乗していた恋人は警官に対して「取り出していない」と答えていた。車には4歳の子供も乗っていた。

警察官は、カスティールさんがポケットから銃を取り出そうとしたと思い、命の危険を感じたと主張した。

第2級故殺の罪に問われたが、陪審員による裁判で無罪評決が下された。この判断は波紋を呼び、多くの人が抗議活動で怒りを表明した。

カスティールさんの射殺される前日にも、別の黒人男性アルトン・スターリングさんが地元警察に射殺されたばかり。悲劇が繰り返された。

▽参考記事

また警官が黒人を射殺。恋人が一部始終をFacebookライブで撮影 米セントポール

Philando Castile’s killing: The 62-second encounter with Officer Jeronimo Yanez - CNN

Philando Castile death: ‘I lost my best friend in a police shooting’ - BBC News

7枚目(決勝戦)

タミル・ライス(Tamir Rice)

Al Bello via Getty Images
13日(日本時間)の決勝で、タミル・ライスさんの名前が書かれたマスクをつける大坂選手。

タミル・ライスさんは、オハイオ州クリーブランドに住む12歳の少年だった。学校が好きで、スポーツや絵を描くことを楽しんでいた。愛情に溢れ、思いやりがあり、冗談好きだったという。母親は、家族を笑顔にして、結びつける存在だったと振り返る。

事件に巻き込まれたのは、2014年11月22日。

ライスさんは、市内の公園で模造銃を手に遊んでいたところ、通報で駆けつけた白人警官に銃で撃たれて死亡した。

警察側は、ライスさんに手を上げるように指示したが従わず、腰に手を伸ばしたために発砲したという。

警察官がパトカーで現場に到着してから、発砲するまでほんの十数秒のことだった。

通報者は「おそらく偽物の銃だ」と伝えたが、警察はそのことが現場の警察官に伝わっていなかったと主張しているという。

事件の様子を捉えた監視カメラの映像が公開されると、世界中の関心を集め、ライスさんはBLM運動の象徴的な存在となった。

ライスさんの家族は事件について「避けることができたはず。タミルはいまも私たちのそばにいるべきだった。警察は行動に移すのが早急だった」という声明を発表した。

12歳の少年に対する警察の暴力に対して、激しい抗議活動が展開。タミルさんを撃った警察官に対する起訴が見送られ、さらなる怒りが広がった。

8月9日には、ミズーリ州ファーガソンで無防備の18歳の黒人少年マイケル・ブラウンさんが白人の警官に射殺された事件が発生していた。

 ▽参考記事

Tamir Rice Shooting: Newly Released Interview Reveals Cop’s Shifting Story

My 12-year-old son, Tamir Rice, was killed by police. I’m not allowed to be normal. - ABC News

エアガン持った12歳少年を警官が射殺 アメリカのオハイオ州

Cleveland police release Tamir Rice shooting evidence - BBC News

「7枚では足りない」

大坂選手が「7枚では足りない」と話していたように、黒人に対する人種差別や警察の暴力で命を落としたのは、7人よりもはるかに多い。

ジョージ・フロイドさんのように大きく取り上げられず、埋もれてしまっている被害者や事件もある。特に、女性やマイノリティに属する黒人の犠牲者が、そうした傾向にあるという。

2015年には、「アフリカ系アメリカ人政策フォーラム」(African American Policy Forum)が、「Say Her Name」(彼女の名前を伝えよう)キャンペーンをスタート。

ひとりひとりの被害者や事件に光を当て、黒人への暴力に抗議するBLM運動が、ジェンダーという観点も踏まえて人種間の平等を求めていくようサポートしている。

EPA=時事Ž–
マスク姿の大坂なおみ選手

 すっかり寒くなってしまいました。朝晩ストーブのお出ましです。ハウスも全て開けられるところはめいっぱい開けてあったのですが、今日から大方閉めて帰りました。

 昨日はミニトマトのジュース造り。夜8時くらいまでかかり、そんなわけで昨日の更新が遅れてしまいました。

この窯に2つです。この写真を撮ったところでバッテリー切れになってしまいました。


細胞から放出される小さな袋、エクソソーム。がん診断の大きな手掛かりに!種類を見分け、転移先も予測可能に?

2020年09月13日 | 健康・病気

  Imidasオピニオン2020/09/03 

    緑 慎也(科学ライター)

    日本人科学者たちが専門誌に発表したばかりの最新のがん研究の成果について、プロジェクトのリーダーとして論文を発表した星野歩子さん(東京工業大学生命理工学院生命理工学系准教授)に、インタビューした。

体内にがんがあるとエクソソームに変化が現れる

 パンデミック前後で、人々の消費スタイルは世界的に様変わりした。外食費が減って、自炊のための食費は増え、化粧品や美容院などにかける美容費が減り、マスクなどの衛生用品にかける費用は増えた。需要が変われば、サプライチェーンを流れる商品の種類も量も変わる。もし宇宙人が地球人を観察していたとしたら、たとえコロナウイルスを知らずとも、流通する商品の変化から感染症の世界的流行を推測できるに違いない。

 人間の体内で何らかの異常事態が発生した場合にも、全身の細胞が生産する「商品」が変わるらしい。2020年8月13日付で米専門誌Cellのオンライン版に発表された論文「Extracellular Vesicle and Particle Biomarkers Define Multiple Human Cancers」(星野歩子他「血液内のエクソソームをバイオマーカーとしたがん診断法の開発」)によれば、体内にがんがあると、「エクソソーム」と呼ばれる小胞に変化が見られるという。
 エクソソームは、直径50〜150ナノメートル(1ナノメートルは10億分の1メートル)の袋状の粒で、あらゆる細胞の中で作られ、外に分泌される。エクソソームの変化を正しく見極めることができれば、がんの早期発見や、最適な治療法の選択に役立つ可能性がある。宅配の小包の中身をのぞき見して、マスクが入っている小包が多いことから、単にパンデミックが起きていることだけでなく、飛沫感染しうる何かが流行していることを突き止めるようなものだ。

「血液を見ることで、どういうがんを持っているかがわかるようになれば、たとえば原発不明がんの治療法の改善につながる」
 論文を発表した研究チームを率いる、東京工業大学生命理工学院生命理工学系准教授の星野歩子氏は、こう期待を語る。
 原発不明がんとは、その名の通り、どこで最初にできたのかわからないがんのことである。一口にがんと言っても、どの臓器で発生したかによって性質はさまざま。最初に肺で発生したがんと、大腸で発生した後に肺に転移したがんでは、同じ肺から見つかったものでも異なる。がんの性質は、抗がん剤の選択に関わるから、原発巣の特定は極めて重要だ。しかし、転移した後に原発巣がなぜか消えるなどして、がんが発見されたときに原発巣を特定できないケースは、成人がかかるがんの2〜5%を占める。診断から5年後の生存率は、全部位・全ステージの平均で70%に迫るが、原発不明がんの場合、2〜6%と極端に低い。
 星野氏らの前出の研究では、1から4まであるステージに関わりなく、血液など体液中のエクソソームのタンパク質を調べることで原発巣の特定やがんの種類を、きちんと分類できるようになったという。

タンパク質を「機械学習」で網羅的に調べると

 エクソソームに含まれるタンパク質から、どうしてがんの種類がわかるのか?
 研究チームが今回用いたのは、「プロテオミクス」と「機械学習」だ。プロテオミクスは、ある生物が持っている多種多彩なタンパク質(プロテイン)を網羅的に列挙して調べる手法である。タンパク質は、生物の設計図であるゲノムを構成する遺伝子の情報によって作られるが、一つの遺伝子から複数のタンパク質が作られたり、いったん作られたタンパク質も後で他の分子が付いたり、分解したりするため、遺伝子よりはるかに種類が多い。

 プロテオミクスで、どんなタンパク質がどれくらい存在するかを列挙してみる。人間が、そのリストを眺めても、がんの人と、がんでない人を見分けたり、がんの種類を言い当てたりするのはほとんど不可能だ。可能だとしても途方もない時間がかかるだろう。そこで機械学習の出番となる。機械学習は、近年、著しい進展を見せるAIの核となる手法で、あらかじめサンプルデータをコンピュータに与え、正解と不正解を教えてデータを学習させ、本番では未知のデータを与えて答えを出させる。コンピュータはトレーニングの過程で、正解の特徴を学び、未知のデータに対しても対処できるようになる。顔認識や、機器の故障検知などでも同種の手法が使われている。

 実験では、77人のがん患者、43人の健常者の方から採った血漿(血液から赤血球、白血球、血小板などを除いた成分)、胆汁、リンパ液からエクソソームを採取。サンプルの数は400以上に及んだ。各サンプルのプロテオミクスにより、1人あたり1000種類ほどのタンパク質のデータがリストアップされた。「エクソソームに含まれるタンパク質について、これだけ多くのサンプルを扱っている論文は今までなかった」(星野氏)

 400以上のサンプルから得られたデータは、その4分の1を本番用とし、4分の3のデータを機械学習のトレーニングのために使用した。星野氏らは、どれががん患者のサンプルで、どれがそうでないかを当然知っているから、正解と不正解を機械学習させることができるわけだ。
「こういったトレーニングを施したのち、残りの4分の1について、『これはどうですか?』と本番の処理をさせました。そうすると、〈実際にがんで、がんと答えた〉例が19例の中で18例。1例だけ、がんであるのに〈非がん〉=がんではない、と分類されました。また〈実際には非がんで、非がんと答えた〉例が10例中9例で、1例だけ〈非がんであるのに、がん〉と分類されてしまった。

1例ずつ間違いが起こりましたが、かなり高い感度と特異度で、がんと非がんを分けられたと言えます」(星野氏)

 今回のサンプルには、16種類のがんが含まれ、機械学習によりかなりの確かさでがんと非がんを区別でき、さらに5種のがんについては、その種類を正しく分類できたという。

新しいがんのマーカーが見つかる

 今回の研究のポイントは二つあるという。
「一つは、エクソソームから得られたがんの種類を見分けるマーカーは、従来のがんのマーカーではなかったということです」(星野氏)
 がんの兆候を示す腫瘍マーカーには、細胞増殖に関わるKRAS遺伝子、CEA(消化器がん、肺がん、乳がんなど)、PSA(前立腺がん)、CA125(卵巣がんなど)といったタンパク質が多数知られ、すでに利用されている。しかし、今回エクソソームから得られたのは、これまで知られていなかったタンパク質だった。

 興味深いことに、一つのタンパク質が、一つのがんの種類に対応するのではなく、複数のタンパク質の組み合わせが、一つのがんに対応していたことがわかったのだという。一対一ではなく、多対一だったわけだ。こうした複数の組み合わせは「パネル」と呼ばれる。
 宅配の小包にマスクだけでなく、アルコール消毒のウェットティッシュが入っていれば、飛沫感染だけでなく、接触感染もする感染症が社会に流行していることがわかるようなものかもしれない。他の商品の情報も得られれば、そのパネルから、病原体を特定することもできるだろう。

がんは全身を変化させる

 もう一つのポイントは、「がんは体内にシステミック(全身)に変化を引き起こす」ことだと星野氏はいう。
 がん細胞に由来する物質は、いわばがんの直接的な証拠である。しかし、今回の研究で、エクソソームから見つかったタンパク質のパネルは、必ずしもがん細胞に由来するものではなく、正常な細胞からも出ているものだということがわかった。つまり、がんが体内のどこかにあると、全身の細胞がその存在に反応するのだ。パンデミック後の社会の変化が宅配の小包の中身に反映するのと同じ理屈である。

 それでは、がんか非がんか、そしてがんの種類と対応するのは、どんなタンパク質なのか。
「比較的多いのは、免疫グロブリン(抗体)です。体内にがんができると、免疫細胞が反応するのです。これ自体は以前から知られていました。しかし今回わかったのは、がんの種類ごとに反応の仕方がちがい、細胞から産生されるエクソソームもちがうということです」(星野氏)
 われわれの体は、異物に対して、全身で、細やかな闘い方をしているということだろう。
「⾎液中のエクソソームを使ってがんを調べる試みは他にもあり、がん細胞由来のエクソソームを使おうとすることも多いようです。しかし、エクソソームは全身のあらゆる細胞から出ており、がん細胞由来のエクソソームだけを取り分けるのは⾄難の業です。私たちが突き止めたのは、わざわざがん細胞由来のエクソソームを使わなくても、すべての細胞由来のエクソソームの情報を元に、がんか非がんか、そしてがんの種類を見分けられるということです」

陸地から川を流れていく灯篭のように、臓器から血液の流れにのってエクソソームはさまざまなメッセージを運ぶという。星野歩子氏提供(Medical Illustration & Design Services (Dong-Su Jang) of Yonsei University College of Medicine)

エクソソームの「取れ高」を増やす

 星野氏は、大学時代の同級生が骨肉腫にかかったのをきっかけにがん研究に目覚めた。同級生の見舞いのために通った病室で、骨肉腫にかかった子供たちと出会ったという。骨肉腫は幼い子に比較的多く見られるがんである。同級生は足を切断した後、退院して元気にしているが、病室の子供たちの多くが亡くなった。「小さな子が亡くなるがんがあることにショックを受けた」。
 東京理科大学から東京大学大学院へ進み、さらに米コーネル大学で、小児がんを研究するデイビッド・ライデン教授の研究室へ留学した。2015年11月には、ライデン教授と共同で、がん細胞由来のエクソソームを調べることで、転移先を予測できるとする研究成果を、英科学誌Natureで発表した。エクソソームの表面にあるインテグリンと呼ばれるタンパク質を調べることで、あるパターンのインテグリンを持つエクソソームは肺に取り込まれ、また別のパターンのインテグリンを持つエクソソームは肝臓に取り込まれるといったことがわかったのだ。がん細胞は、将来の転移先にエクソソームを送り込んで、転移の準備をするのである。インテグリンは、小包に貼りつけられた「送り状」だったわけだ。

 がんが原発巣にとどまっているだけなら手術で切除するか、抗がん剤や放射線で叩くことで治療が完了するケースは多い。しかし、がんは原発巣を離れ、他の臓器に転移する。がん患者の死亡原因の9割は転移によると言われるように、がんの本当の怖さは転移にあるのだ。転移の兆候や、転移先を知ることができれば、先手を打って治療ができる。星野氏らは、血液からがん細胞由来のエクソソームを採取する技術の開発に着手した。しかし前述の通り、全身から放出されるエクソソームの中から、がん細胞由来のエクソソームだけを取り出すことがなかなかできなかった。

 ところが、今回の研究により、わざわざがん細胞由来のエクソソームを取り出さなくても、全身の細胞から放出されるエクソソームを取ってきて、そのタンパク質を網羅的に解析すればよいことがわかったのだ。さらに、エクソソームを取り出すのにも大きく役立つ成果が得られたという。
「血漿、胆汁、リンパ液から採取したエクソソームに共通して存在するタンパク質を探したところ、これまで知られていなかったタンパク質が13種類、そのうち2種類は、エクソソームの膜上にあることがわかりました。膜上にあれば、(そのタンパク質に結合する抗体を使って)エクソソームを引っぱり出せます。

エクソソームを取り出すマーカーとして利用できるのです」
 新たなマーカーで、エクソソームの「取れ高」を増やせるかもしれないわけだ。

エクソソーム研究は、生命の機密情報をこじあける

 今回の論文でエクソソームに含まれるタンパク質を網羅的に調べることで、がんか非がんか、そしてがんの種類を見分けることが示されたが、完璧に分けられたわけではない。今後は、その精度のさらなる向上を目指して研究を続ける予定だ。
 とはいえ、コロナ禍の中、思い通りには研究を進められない。星野氏は、昨年(2019年)帰国し、東京大学で講師を務めた後、今年4月から東工大に赴任した。3月、研究室を立ち上げつつあったところに新型コロナウイルスの世界的流行がはじまり、政府の緊急事態宣言を受けて、大学への行き来も制限された。オンライン会議などで、共同研究者と連絡を取り合いつつ、少しずつ研究再開の準備を進める。

 共同研究者の一人、東京大学医学部附属病院女性診療科・産科の橋本彩子氏は、今回の研究で主に患者サンプルのエクソソームを取り出す部分を担った。産婦人科医でもある橋本氏は、星野氏と同時期にコーネル大学に留学し、「歩子さんから研究の面白さを教えられた」という。
「エクソソームの研究を、妊娠高血圧や妊娠糖尿病などの妊娠合併症の治療につなげたい」(橋本氏)
 胎盤の細胞も、やはりエクソソームを放出して、母体に物質を送りとどけている。小さな袋に隠された新たな生命からのメッセージを読み解けば、母と子を苦しめる病を防げるかもしれないわけだ。

 東京大学薬学部の大学院生(修士課程1年)の杉浦圭氏は、今回の研究で、エクソソームを取り出すのに役立つマーカー探しの実験に取り組んだ。昨年、東大の学部4年のときに星野氏の講義を聴いたのをきっかけに実験に参加した。杉浦氏は将来、自閉症の研究にエクソソームを活かしたいという。
「自閉症の診断も治療法もまだ確立されていません。自閉症の仕組みを解明したい」(杉浦氏)

◆◆◆

 このようにエクソソームは、がんに限らず、さまざまな領域で、新たな研究ツールとして期待されている。かつて「細胞のゴミ」と見なされ軽視されていたが、エクソソームはゴミどころか、実は生命の機密情報をたくさん詰め込んでいるのである。

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サイエンスZERO 「生命維持の要 エクソソーム」


  すべての生きた細胞からはエクソソームが発生される。野菜からも。しかし、その野菜が農薬やホルモン剤などが使われていたなら、それが遺伝子組み換え作物だったら、どのようなエクソソームを出すであろうか?

「医食同源」まさに未来の野菜の使命はここにある。


EUで使用禁止の農薬が大量に日本へ

2020年09月12日 | 野菜・花・植物

 猪瀬聖 | ジャーナリスト

    YAHOO!ニュース(個人)9/12(土) 

 

    人への影響が懸念されることから、欧州連合(EU)域内での使用が禁止されている農薬が、EUから日本に大量に輸出されていることが、国際環境保護団体グリンピースなどの調べでわかった。欧州やアジア諸国に比べて農薬の規制が緩いと言われている日本が、世界の農薬メーカーの草刈り場になっている構図が浮かび上がった。

第3位の輸出先

    農薬によってはEU内で使用が禁止されていても製造や輸出は可能で、輸出する場合は当局に届け出なければならい。今回、グリンピースとスイスの市民団体パブリックアイが、欧州化学物質庁(ECHA)や各国政府への情報公開請求を通じて農薬メーカーや輸出業者が届け出た書類を入手し、国別や農薬別にまとめた。

    2018年に届け出された書類によると、EU内での使用が禁止されている「禁止農薬」の輸出は、合計で81,615トンに達した。最も輸出量が多かったのは英国で、EU全体の約4割に達する32,200トンを輸出し、他国を大きく引き離した。2位はイタリアで9,500トン、3位は8,100トンのドイツだった。

    一方、禁止農薬の最大の輸入国は米国で、2018年の輸入量は断トツの26,000トン。日本はブラジルに次ぐ3位で、6,700トンだった。日本は単純に量だけ見れば米国の4分の1だが、農地面積が米国の1%しかないことを考えれば、非常に多い輸入量とも言える。

パーキンソン病と関連の可能性

    農薬の種類別に見ると、輸出量が最も多かったのは、除草剤のパラコートで28,200トン。次が殺虫剤の1,3-ジクロロプロペンで15,000トン。2種類で全輸出量の5割強を占めた。日本は2018年、1,3-ジクロロプロペンを4,000トン、パラコートを250トン、いずれも英国から輸入したことになっている。

    1,3-ジクロロプロペンは人への発がん性が疑われているほか、地下水の汚染や、野鳥や野生の哺乳類、水生生物などの繁殖への影響が懸念されている。日本では主に、農作物に被害をもたらす土中の線虫類を駆除するために使用されている。

    パラコートは、強い毒性に加えてパーキンソン病との関連が疑われ、EUは2007年に域内での使用を禁止した。米国では先月、パラコートや殺虫剤のネオニコチノイドなど特に危険と見なされる農薬を禁止する法案が議会に提出されたが、この法案に対し、パーキンソン病と闘う俳優のマイケル・J・フォックスさんが設立した「マイケル・J・フォックス財団」は、強い支持を表明している。

アジアでは使用禁止の流れ

    また、台湾やタイ、マレーシアなどアジアの国や地域も、昨年から今年にかけてパラコートの禁止に動くなど、パラコート追放は世界的な流れになりつつある。

    日本でも、パラコートによる自殺やパラコートを誤って吸引したことによる中毒事故が多発したことから、徐々に規制強化はされてきてはいるが、全面禁止にまでは至っていない。

    グリンピースの調査内容を報じた英高級紙ガーディアンは、「規制の抜け穴によって化学物質が途上国や米国、日本、オーストラリアに送られている」とし、禁止農薬が事実上、自由に輸出できてしまう規制のあり方に疑問を呈した。

    同じく、このニュースを伝えた英放送局BBCは、自分たちの人権や自然環境保護は人一倍重視するのに、輸出先の人たちの人権や自然環境を軽視するような行いをするのは、EUの「ダブルスタンダード」だとする批判的な意見を紹介した。

    欧州の市民団体は、禁止農薬の輸出禁止を各国政府に働きかけている。フランスは2022年から禁止する方針だが、他国は農薬メーカーに輸出中止を強いることは今のところ消極的という。

行き場を失った農薬が日本に向かう

    欧州やアジアの多くの国や地域では、パラコートだけでなく、除草剤のグリホサートや殺虫剤のネオニコチノイド、クロルピリホスなど、人や自然の生態系への影響が強く憂慮されている農薬の規制を強化する動きが急速に広がっている。国レベルでは規制が緩やかな米国でも、自治体レベルでは規制強化が進み始めている。

    そうした世界的な規制強化の結果、行き場を失った禁止農薬が日本に向かったり、日本からそれらの地域に輸出できなくなった農薬が、国内の消費に回されたりしている可能性が、今回の調査から読み取れる。


  釧路のブロガーさんによると落葉キノコが出てきたという。ということは、そろそろこちらにも・・・・・
一応裏山をチェック。まだです。今年は山の管理ができなくて、笹が生い茂っている。間に合うように笹刈りをしなくっちゃ!

なんてキノコかわかりませんが。

アロニアの枝に作られたハチの巣。拡張工事中なのでしょうか?

こちらは山ぶどう。たくさん実をつけています。


「五大栄養素」が揃う大豆  内臓脂肪と中性脂肪を下げ腸内環境を整える効果も

2020年09月11日 | 食・レシピ

 肉に匹敵するほどのたんぱく質量。それでいて、食物繊維も豊富という、夢のような食材「大豆」。形状や食感が七変化する大豆の加工食品は、それによって栄養価まで変わってくる。たんぱく質が不足しがちなシニア世代は。とくにとりたい食材だ。

大豆が日本人に愛される理由

 古くから日本の食卓に欠かせない食材の大豆は、豆腐や油揚げ、納豆といった加工食品となり、毎日のように食卓を彩る。そればかりか、しょうゆやみそといった和食ならではの調味料も、大豆から作られている。大豆とその加工食品が、これほどまで日本人に愛されてきたのは、なぜか。

 その理由を「大豆食品の高い栄養価と同時に、変化のつけやすさにある」と『日本ソイフードマイスター協会』の講師で、管理栄養士の水谷俊江さんは説明する。

「大豆は『畑の肉』ともいわれるように、たんぱく質が豊富。肉食が禁じられた江戸時代の貴重なたんぱく源でした。また、豆腐の淡泊な味わいはさまざまな料理にアレンジしやすいのも魅力です。1782年には『豆腐百珍』という、豆腐料理を100種類集めた本も発刊されています。大豆は日本独自の食文化であり、いまも昔も、私たちの健康を支えてくれる食材といえます」(水谷さん)

 また、大豆にはたんぱく質のほか、炭水化物と脂質、ビタミン、ミネラルも含まれ、五大栄養素のすべてが揃い、栄養価の高さには目を見張るものがある(下表参照)。

《大豆の主な栄養素と健康効果》

■オリゴ糖

 善玉菌の中でも特にビフィズス菌のエサとなり、腸内環境を整える効果が。便秘の改善と同時に、腸の老化防止、美肌効果も期待できる。

■食物繊維

 大豆には、食物繊維が多く含まれ、腸内環境を整えて便秘を改善。発がん性の物質の排泄作用も。血糖値やコレステロール値の上昇の抑制効果もある。

■たんぱく質

 大豆のたんぱく質は100gあたり33.8gもあり、牛豚鶏の生肉や生魚より高い含有量を誇る。体内で合成できない必須アミノ酸をバランスよく含んでおり、体作りに役立つ。

■カルシウム

 大豆に含まれるカルシウムの吸収率は18%とやや低め。一方で、含有する大豆イソフラボンにカルシウムの流出を防ぐ働きがあり、骨粗しょう症予防に有効。

■ビタミン

 糖質の代謝にかかわるビタミンB1、脂質の代謝にかかわるビタミンB2が含まれており、やせやすい体へと導く。抗酸化作用のあるビタミンEも豊富。

■イソフラボン

 女性ホルモンに似た働きをし、更年期障害の症状の緩和、美肌効果が期待できる。1日の摂取目安量の上限は70~75mgで、納豆約2パック分に相当する。

■サポニン

 大豆に含まれる苦みや渋みの成分で、体内で過酸化脂質の生成を抑え、代謝を促進する作用がある。高脂血症や肝機能障害の改善効果もある。

■レシチン

 脂質の一部で、血中コレステロールを排泄して血液をサラサラにし、中性脂肪の低下作用もある。記憶力や集中力を高める効果も報告されている。

 近年の研究により、内臓脂肪を排出する大豆サポニン、中性脂肪を減らす働きがある大豆レシチンが含まれ、ダイエット効果も期待できることがわかった。そのほか、女性ホルモンに似た物質で更年期障害の緩和が期待できる大豆イソフラボンも含まれる。

※女性セブン2020年8月20日・27日号


丁度、枝豆の季節です。ビールのおつまみに最適ですね。

過ごしやすい1日でした。久しぶりに火をおこし熱いコーヒーを。

バラもこれで今年は終わりなのか?


雨宮処凛がゆく! 第532回:「自助・共助・公助」〜「共倒れするまで助け合え」という呪い(雨宮処凛)

2020年09月10日 | 社会・経済

マガジン9 2020年9月9日

  https://maga9.jp/200909-1/

 

 「自助・共助・公助」

 自民党総裁選を控えた菅義偉官房長官がこのところ強調している言葉だ。

 「まず自分でできることはまず自分でやる。自分でできなくなったらまずは家族とか地域で支えてもらう。そしてそれでもダメであればそれは必ず国が責任を持って守ってくれる。そうした信頼のある国づくりというものを行なっていきたいと思います」

 9月2日に出演したニュース番組での発言だ。それ以外の場でも「自助・共助・公助」と書かれたフリップを持ち、この言葉をアピールしている。

 さて、貧困の現場で16年間活動している私なりにこの言葉を通訳すると、

 「自助」とは「自己責任で自分でなんとかしろ」

 「共助」とは、「一家心中するまで家族で助け合え」「共倒れするまで地域で助け合え」

 「公助」は、「何もかも失わないと公的福祉は機能しないからやっぱり自己責任でなんとかしろ」

 という意味である。

 この言葉について書きたいことは山ほどあって、どこから書いていいのかわからない。

 が、公助ということで言えば、第二次安倍政権以前から社会保障費は削減され、年金、医療、介護、生活保護などが引き下げられたり自己負担が増やされたりしてきた。そのような社会保障費削減は、長い時間をかけてまずは共助を支える「家族」を痛めつけてきた。一億総中流と言われた時代は多くの家族がセーフティネットの役割を果たせたが、「家族」「親」「実家」がセーフティネットになり得なくなったのだ。だからこそ、2007年頃から「ネットカフェ難民」という形で比較的若い世代のホームレス化が始まったのだろう。

 さて、それでは「共助」を支える「地域」はどうか。自民党は「地方創生」などとブチ上げているが、なぜそのような言葉を強調し、地方創生担当大臣のポストまで作らなければいけないかというと、それほどに地方が疲弊しているからだ。

 私の地元は北海道の小さな市だが、実家に帰るたびに駅前は空洞化し、すでに商店街だった頃の面影もなく、高齢化と人口減少がすごいスピードで進んでいることをまざまざと感じる。そのような地方の衰退の原因のひとつとしてよく挙げられるのが大店法(大規模小売店舗法)。1974年に中小小売店の保護などを目的として施行、一定程度の面積を超える出店を届け出制にすることで規制したものだが、90年代、規制は緩和され、郊外に巨大なショッピングモールが建設されていく。

 この流れは日本に住むある年齢以上の人であれば、変化をまさに目のあたりにしてきたことだろう。そんなふうに規制緩和によって地方の衰退を進めてきた当人たちが今、「地方創生」とか言っていること自体が大いなる茶番にしか思えないのは私だけではないはずだ。ちなみに政府は地方のシャッター通り対策として、空き店舗への課税強化という方針を打ち出してもいた。なんだか年貢に苦しむ農民にさらに重い年貢を課す悪い殿様みたいな話ではないか。

 このように、家族や地域の余力を奪ってきたのがこの「失われた30年」の政治だと思う。それを奪う政治を先頭で進めてきた政党の人間が今、堂々と「共助」を持ち出すことに対して「いや、それ脆弱化させたの誰?」と突っ込みたくなるのだ。

 ここまで読んで、「なんでそんなにキレてるのかわからない」という人もいるだろう。

 それでは「共助」という言葉の実害の例を上げよう。

 この連載で5年前、私は「利根川一家心中未遂事件」について書いている。

 15年11月、40代の娘が両親とともに車で利根川に突っ込み、両親が命を落とした事件だ。娘は一命をとりとめたものの、殺人と自殺幇助の疑いで逮捕された。

 母親は長年認知症を患い、その介護のため、娘は3年前に仕事をやめていた。一家の収入は父親の新聞配達に支えられていたが、事件が起きる10日ほど前、父親が身体を壊してしまう。一家は生活保護を申請するものの、父親は娘に「一緒に死のう」と声をかけ、心中が決行されてしまった。一家は年金収入も貯金もなく、介護サービスなども一切受けていなかった。

 この事件を受け、私は現地取材を何度かして、また、一家が暮らしていた深谷市の職員にも話を聞いている。そんな市の職員との面談で、印象に残っていることがある。こちら側が一家に対し、「もう少し踏み込んだ対応をすべきだったのでは」と言った時、市の職員は「それよりも、地域の見守りとか、地域の人に頑張ってもらわないと」ということを言ったのだ。

 心中事件に限らず、孤独死などが起きると「地域社会の空洞化」が問題になる。が、私はそれこそが「共助」を巡る危険な議論だと思う。

 たとえば10年前の夏、大阪で1歳と3歳の子どもがマンションに置き去りにされ餓死する事件が起きた。逮捕されたのは風俗で働くシングルマザー。子どもは部屋の中からインターホンで外に助けを求めていたが、単身者が多く住むマンションでは、助けの声に動くような「地域社会」はなかった(通報した人はいたらしいが)。

 「地域社会での見守り」。それを、地域の人たちが率先して言うのならまだいい。が、役所の職員が介護心中事件を受けてそんなことを言うのは大問題だと私は思う。

 なぜなら、それは「役所は何もしない」という宣言だからだ。税金から給料が支払われている役所の職員が何もせず、一円ももらっていない、ただそこに住むだけの、その道のプロでもなんでもない人が義務を負うなんて、絶対におかしいのだ。というか、これはただ「行政はちゃんと仕事をしろ」というだけの話なのだ。そして私たちは、そんな「公助」のために税金を払っているのだ。だからこそ「地域社会」なんて、あるかどうかもわからないものに丸投げするなと言っているのだ。

 丸投げされるのは「地域」だけではない。時に民間のボランティアにも責任が押し付けられる。自民党議員の中には子ども食堂の応援などと言う人もいるが、するべきは「子ども食堂が必要なくなるような貧困対策」に他ならない。

 ちなみにこの4月から、私の周りの人々はコロナ不況による困窮者支援に奔走しており、私も時々手伝いをするが、全員ボランティアだ。コロナ禍の中で活動を始める時、「とにかくコロナに感染しないよう気をつけよう」と何度も確認しあった。一人でも感染してしまうと、支援者全員が濃厚接触者になってしまう可能性がある。そうなると、全支援が止まるからだ。

 このことからもわかるように、民間のボランティアにはバックアップ体制などない。誰かがコロナで倒れれば支援ストップ、という危うさの中でやっているのだ。こういう状態が危険だから、民間のボランティアに任せるのではなく、国が一刻も早い公的な支援制度を、「公助」をちゃんと機能させてくれとずーっと要求し、政府交渉も重ねている。が、一向に進んでいないのはご存知の通りだ。

 というか、そもそもこの国の「公助」がマトモに機能していれば、コロナで失業し、ホームレス化に晒される人々からのSOSが民間の支援団体にひっきりなしに届くはずなどないのだ。「新型コロナ災害緊急アクション」は、これまでに1000人以上に約2000万円の現金給付をし、公的な制度につなぐなどしている。

 本来であれば公助がフル稼働すべき時に自助ばかりが強調され、共助に対してなんの支援もなく「勝手に頑張れ」と放置されている。そのような状況を知るからこそ、私にとっての共助は「一家心中するまで助け合え」「共倒れするまで助け合え」に思えてしまうのだ。

 さて、そんな中でもこの国の「公助」にひっかかることができた人はいる。そんな人がどういう状態にあるか、紹介しよう。

 ある20代の男性は、コロナの影響で寮を追い出され、生活保護を利用し始めた。「公助」に助けられたラッキーなケースに思えるが、そこからがひどかった。なんと役所から「生活保護を利用する条件は無料低額宿泊所に入ること」と言われ、施設に入れられてしまう(もちろんそんな条件はあり得ない)。ちなみに無料低額宿泊所とは、住む場所がない人が生活保護申請をした際に案内されてしまうことが多い施設(もちろん、断ることもできるが、知識がないとそのまま案内されてしまう)。まさに「3密」の条件が揃ったような場所で、大部屋や相部屋のところが多く、トイレや風呂、食堂も共有。「貧困ビジネス」と呼ばれる劣悪な施設も多く、南京虫がいるなど不衛生な話をよく聞く。

 その男性が入れられた無料低額宿泊所は、最寄りの駅から徒歩50分。風呂は午後5時までで門限は9時。門限を3度破れば強制退去。生活保護費としては10万5000円が出ていたが、施設費用として7万9000円が徴収されてしまう。食事は1日2度出るという話だったが、たいした理由のない制裁で1日1食に。携帯電話の料金を払えば月に使えるお金は一万円以下。これでは仕事探しもできないと、支援団体にSOSが入り、支援者が駆けつけ、「救出」した次第である。

 このように、困窮者支援の現場には、すでに「公助」につながっていても、それがあまりにも劣悪なので「助けてくれ」と連絡が来ることもままある。これがコロナ禍のこの国の「公助」の一例だ。

 もうひとつ、書いておきたいのは、「共助」には女性が利用されることだ。

 「良い嫁は福祉の敵」という言葉を知っているだろうか? 私は上野千鶴子氏の『みんな「おひとりさま」』を読んで知った。介護などについて書かれた文章で、上野氏は以下のように書いている。

 「高齢者福祉政策も、見直しが必要だ。現在の介護保険は、家族の介護資源があることが前提に設計されている。『日本型福祉』のもとで『家族は福祉の含み資産』と公言することはさすがになくなったが、それでも亀井静香さんのように『子が親を看る美風』を信じている人たちは多い。通訳しよう、『家族は福祉の含み資産』とは、『嫁さんがいるから公的福祉はやらなくていい』という意味だし、『子が親を看る美風』とは『女房に自分の親の介護をやらせるのが、男の甲斐性』となる。だからこそわたしは、『よい嫁は福祉の敵』と言ってきた。最近では自治体の『孝行嫁』表彰はなくなったが、こんなオヤジにつごうのいい制度をよく続けてきたものだと思う」

 そう、「共助」は、家庭の中にいる「女」が無償の労働力として搾取されてきた歴史とともにあるのだ。

 それにしても、「孝行嫁表彰」って、パワーワードすぎてもう何も突っ込めない。この言葉に、何か昭和のおっさん的価値観のすべてが詰まっているような気がする。他にも「介護嫁表彰」「模範嫁表彰」という言葉もあるようだ。おぞましいとしか言いようがないが、こういう構造が長らく「愛情」なんかに言い換えられてきた歴史があるからやっかいだ。そういえば自民党の憲法草案には、「家族は、互いに助け合わなければならない」と書いてあった。

 さて、ここまで「自助・共助・公助」について書いてきたが、そんな私自身も「国に頼る」ことにはどこかで強い抵抗があるし、自分でできることはなんとかしたいと思っている。だけど、コロナが予期できなかったように、人生、いつ何が起こるかなんて誰にもわからない。そんな時に「公助」が機能していてほしいと思うのは、不確定要素が多い時代であればあるほど当然のことだと思うのだ。

 何度も書くが、私たちは税金を払っている。だから行政にちゃんと仕事をしてほしい、というだけのことなのだ。そして政治家にも、その自覚を常に持っていてほしい。


 1週間の休み明けで彼女の寄稿文が3日も続いてしまった。悪しからず。

 昨日の天気のいい時に撮った写真です。挿し木したブーゲンビリヤが咲き始めました。

 


生きづらい女子たちへ コロナ禍での女性のホームレス化〜シェアハウスという落とし穴

2020年09月09日 | 社会・経済

雨宮処凛(作家、活動家)

  Imidas 連載コラム2020/09/02

 新型コロナウイルスの感染が再び拡大し始め、東京での感染者が連日200人を超えるようになった2020年7月後半頃から、困窮者支援の現場は再び「野戦病院」の様相を呈している。

「ネットカフェにいたけど、とうとう所持金が尽きた」

「もう200円しかない、どうしていいかわからない」

「何日も食べてない」

 そんなメールに、猛暑の中、支援者たちは緊急出動する。住む場所がない人には緊急宿泊費と数日分の生活費を渡し、後日、生活保護などの公的な制度につなぐのだ。

 3月、貧困問題に取り組む30ほどの団体で「新型コロナ災害緊急アクション」を立ち上げて約半年。活動を支えるのは、「反貧困緊急ささえあい基金」に寄せられた寄付金だ。これまでに600世帯、1000人以上に約2000万円の直接給付を行い、多くの命をギリギリのところでつないできた。

 私もボランティアの一人として緊急出動することもある。支援者と出会っていなければ、今頃、東京の路上で餓死していたかもしれない。そんな人々に多く出会ってきた。

 その中には、公的な制度から排除されてしまう外国人も多くいる。働くことが認められていない「仮放免」で在留資格がない人も多い。体調を崩したり、歯痛を訴える人も多いが、健康保険がないために病院にも行けないという人も少なくない。一刻も早く帰国したいが、就労を禁じられているので飛行機代を稼ぐこともできない。

 そんな現実を知れば知るほど、困窮する外国人には公的な支援制度が必要だと切に思う。というか、そもそも日本人外国人問わず、国が十分に役割を果たさないから、民間の支援団体がボランティアでフル稼働しているのだ。

 もともと、この活動は「つなぎ」のはずだった。少し経てば、国から支援策が打ち出されるだろうから、とにかくそれまで、なんとか死者を出さないようにという思いで始まった。が、コロナ禍が始まり半年が経とうとしているのに国は有効で十分な支援策を一向に打ち出そうとしていない。

 そんな状況を受け、8月19日、「新型コロナ災害緊急アクション」は政府交渉を行った。外国人への支援が緊急に必要なこと、生活保護を申請したら保護決定を早くすること、また住民票のない人にも特別定額給付金10万円を給付することなどを、厚生労働省、総務省、国土交通省 、文部科学省、法務省などに要求し、交渉したのだ。しかし、先方は「検討します」と繰り返すばかり。

「死んでも仕方ないってことですか?」

 3月から休みなしで外国人支援に駆けずり回る人々が声を荒げた。辞任を発表する直前、安倍晋三首相が147日休んでいないなどとと話題になったが、困窮者支援の現場では、支援者たちが3月頃からまったく休みなしでフル稼働している。安倍首相には数千万円の歳費があるが、支援者たちは休みなく働いても1円にもならない。

 さて、今、現場で動いている人の多くが08年の「年越し派遣村」などでの支援経験者だ。私もその一人。よって「失業してホームレスになりそう」という人たちの支援のノウハウが蓄積されている。しかし、そんな中、当時と違うのは相談者に女性が多いこと。

 08年、リーマンショックで派遣切りされた人の多くは製造業派遣の男性だった。よって年末の「年越し派遣村」には、寮を追い出されるなどした男性たちが500人以上、集まった。しかし、コロナ禍の今、全国一斉で何度か開催してきたホットラインに電話をかけてくる人の男女比は、私の印象では半々ほど。また、SOSメールをしてくる人の3割ほどが女性だ。

 それもそのはずで、まずコロナ不況は非正規を直撃したわけだが、働く女性の55.3%が非正規(厚労省)。ジャーナリストの竹信三恵子氏は、『ビッグイシュー日本版』20年8月15日号のインタビュー「“女性活躍小国”日本で起こっていること」で、以下のように語っている。

〈……特に対人サービス業は非正規の女性が多く、もともと不安定なところに業界が痛手を受け、短期雇用の契約を結んでいた彼女たちが真っ先に切られたというわけです〉

 同インタビューには、男女別従業員の構成比も掲載されている。それによると、医療・福祉の72.8%、宿泊業・飲食サービス業の58.9%、生活関連サービス業・娯楽業の57.5%を女性が占めているとのこと。そんな女性非正規は、前年同月と比較して3月には29%、4月には71%も減少しているという。どうりで女性からの相談は多いわけだ。

 ちなみにこれを裏付ける数字もある。「新型コロナ災害緊急アクション」に参加するNPO法人「POSSE」(ポッセ)と、「POSSE」が連携する「総合サポートユニオン」には、3〜8月まで2869件の労働相談が寄せられているという。うち派遣労働者からの相談は424件。そのうち65.6%を女性が占めるという。雇い止めの相談だけで約30%になるという。

 ちなみに、非正規女性の平均年収は154万円(18年国税庁調べ)。これでは貯金も難しい。これまで私が対応した相談者の中には、フリーランス女性も多くいた。ヨガやジムのインストラクター、エステティシャンなど。また、風俗の仕事をしていたものの、2月から客が激減。それなのに高額な寮費を請求され続けているが払えず、近々追い出されるという相談も受けた。この女性は、3.11(東日本大震災)の時にも同じような目に遭っている。被災地ではないものの客が激減する中、寮費を払えずに追い出されてしまったのだ。寮にある荷物を取り戻すことはできなかったという。

 コロナ不況の中、多くの女性たちが喘いでいる。

 少し前の日本では、職を失ったことくらいではなかなかホームレス化しなかった。貯金があったり実家に帰ったり、はたまたしばらく滞在させてくれる友達がいたり。

 08年の「年越し派遣村」の「村長」だった「反貧困ネットワーク」事務局長の湯浅誠氏は、このようなものを「溜め」と表現した。貯金や頼れる人間関係、泣きつける家族(家族福祉)や手厚い福利厚生などの企業福祉があったからそうならなかった。しかし、失われた30年の中でそれらは急速に消え去り、今や誰もがホームレス化してもおかしくない。そして今、女性までもが路上に出る危機に晒されている。

 新型コロナウイルス感染症による経済停滞が始まり、真っ先に路上に出たのは居住が不安定な層だった。仕事がなくなったネットカフェ生活者や職場の寮を追い出された人々。一方で、ちらほらと見かけたのは「シェアハウス」を追い出されたという人だ。保証人不要、敷金礼金ゼロを謳うなど初期費用も安く、女性限定の物件などもあり近年もてはやされているシェアハウスだが、コロナ禍の中、1カ月の滞納で追い出すなど利用者にかなり不利な条件での契約が一部でまかり通っている。

「新型コロナ災害緊急アクション」にも、そんなシェアハウス住まいの人からのSOSが届いているのだが、その中には、あまりにも入居者に不利な契約を結ぶシェアハウスもあった。20代女性からのSOSを受け、連日、緊急出動している「反貧困ネットワーク」の瀬戸大作氏が対応したケースだ(「コロナ影響で顕在化した悪質シェアハウスの実態」20年6月20日)。

 それによると、1カ月でも家賃を滞納したら家賃保証会社が債務請求を繰り返す旨の内容が明示され、実際、コロナでバイトが激減し、家賃を1カ月滞納してしまった女性には、連日督促電話がかかり、訴訟を起こすと脅されていた。また、契約には、2年間住まずに転居する場合、退去時費用として計10万円が請求されるなどの記述もあったという。それだけではない。契約書とは別に「肖像権承諾書」の同意書も締結させられていた。

 なぜ、シェアハウスに住むにあたって肖像権云々という言葉が出くるのか? 一方、入居してインタビューを受けると初回月賃料無料になるものの、2度目のインタビューを受けなければあとで返還請求されるということだった。

 女性限定シェアハウスのサイトを見ると、オシャレでキラキラした毎日を切り取ったような写真が並ぶものが多い。入居者は、シェアハウスでのパーティーや交流に触れ、「ここに住み始めてよかった」などとインタビューで答えている。そんなものを見ると「シェアハウス、いいかも……」なんて思うが、一部のインタビューはこういうからくりのもとでなされているのかもしれないと思うと、途端にすべてが嘘っぽく見える。

 このような、居住に関する脱法的な手口は何も新しいものではない。リーマンショックの前後は、「ゼロゼロ物件」が「貧困ビジネス」と大きな批判を受けた。敷金礼金ゼロを謳うものの、家賃を数日でも滞納したら鍵を交換されてそのまま締め出されてしまったり、高額な違約金を請求されるなどが相次いだのだ。このようなことがまかり通った背景には、ゼロゼロ物件の契約が賃貸契約ではなく、「施設付鍵利用契約」などのトリッキーなものだったことがある。鍵の利用権に部屋が付いているという契約だったのだ。

    このようなやり口は当然大きな批判を受けたものの、その後、不安定居住として問題となったのは「脱法ハウス」。レンタルオフィスや貸し倉庫を2〜3畳のスペースに仕切り、貸し出すものだ。初期費用も安く家賃も普通の賃貸ワンルームよりは安いが、もともと倉庫だったところを居住用として貸し出しているので、消防法や建築基準法などに照らすと違法性が高い。この脱法ハウス、国交省 が調査と規制に乗り出したことによって閉鎖されていった。

 さて、この10年間、このようにゼロゼロ物件や脱法ハウスが批判されてきたわけだが、シェアハウスは批判されることなく、市場はどんどん拡大していった。一般社団法人「日本シェアハウス連盟」によると、19年の時点でシェアハウスは全国に4867棟、部屋数は5万6210室。私の周りにもシェアハウスに住む人は多いし、そこでの交流を楽しみにしている人もいる。

 しかし、残念ながら一部には悪質なシェアハウスも存在する。

 国交省はシェアハウスの入居者や入居経験者にアンケートを行い、市場動向調査結果 を公開している。それによると、回答者の5割強が女性、また4割が20〜25歳とのこと。事業者も5割弱が「圧倒的に女性が多い」と回答し、最多年齢層として25〜30歳と答えている。

 入居者の就業形態はというと、正社員が32.8%、学生が28.3%、アルバイトが12.2%。入居時の平均月収は「収入なし」がもっとも多く18%、15〜20万円が16.9%、10〜15万円が16.6%となっている。入居した動機については、回答者の4割以上が「家賃が安いから」と答えている。

 そんなシェアハウスの家賃は、個室だと5〜6万円が29.0%、4〜5万円が24.6%、6〜7万円が18.8%。

 先ほど非正規女性の平均年収が154万円であることを書いた。が、正社員でも20代女性であれば年収200万円台というのは一般的だ。よくシェアハウスは「若い女性に人気」と言われるが、若年女性の中にはシェアハウスに住むしか選択肢がないという人も多くいる。また、一般の賃貸物件のように入居審査が厳しくないのも魅力だろう。

 現在、非正規で働く人々やフリーランスは、賃貸物件の審査に落ちることが少なくない。よって一般の賃貸に住みたくてもシェアハウスしか借りられないというケースもあるだろう。

 そんな「女性の非正規化」「貧困化」というニーズに応えるようにして増え続けてきたシェアハウス。ここがわずかな滞納で追い出されるなど「ホームレス化の入り口」にならないよう、注視していきたい。そして住んでいる人は今一度、契約内容を確認してみるといいだろう。

 4月頃から、都内の各地の炊き出し(ホームレス状態の人に食事をふるまう場)に行っているのだが、リーマンショックとの大きな違いは、炊き出しに女性が並んでいるということだ。一人で、夫婦で、カップルで。そんな光景を見ると、女性には女性に特化した支援が今すぐに必要だと、切に思う。


 今日も30℃超え夜温も20℃超えの暑さ。ところが、明日から気温がドドッと下がり、25℃にも届かない予報。さらに週末からの最低気温は10度前後、いよいよ秋の到来である。家の周りでは、稲刈りが始まった。


雨宮処凛がゆく! 第531回:安倍政権、終わる。〜格差と分断の7年8ヶ月〜の巻

2020年09月08日 | 社会・経済

 マガジン9 2020年9月2日

  https://maga9.jp/200902-2/

 7年8ヶ月続いた安倍政権が、終わった。

 突然の幕引きだった。

 2012年12月に発足して8年近く。思えば、長い長い時間だった。諦めや無力感を植え付けられるような、反対意見を言えば「晒し者」にされかねないような、常にそんな緊張感が頭の片隅にあるような年月だった。ということを、終わって初めて、意識した。自分はどれほど萎縮していたのか、8月28日、辞任の会見が終わってしばらくして、改めて感じた。

 さて、第二次安倍政権が真っ先に手をつけたのが「生活保護基準引き下げ」だったことは、この連載でも書き続けてきた通りだ。もっとも貧しい人の生活費を下げるという決断は、「弱者は見捨てるぞ」という政権メッセージのようにさえ思え、貧困問題に取り組む私は発足そうそう、足がすくんだのを覚えている。

 そうして13年から生活保護費は3年かけて670億円削減。もっとも引き下げ幅が大きかったのは子どもがいる世帯だ。13年、「子どもの貧困対策の推進に関する法律」が成立したものの、その影で、生活保護世帯の子どもはそこから除外されるような現実があった。

 引き下げ後、生活保護利用者から耳にするようになったのは「一日一食にした」「どんなに暑くても電気代が心配でエアコンをつけられない」という悲鳴だ。この夏も数万人以上が熱中症で救急搬送され、東京23区だけでもすでに170人が亡くなっているが、その中には、節約のためにエアコンをつけられずにいる貧しい人々が確実にいる。

 こんなふうに弱者を切り捨てる一方で、安倍政権は「アベノミクス」を打ち出し、ことあるごとに経済政策の効果を喧伝してきた。が、その実態はどうなのか。私たちの生活は、果たして楽になったのか?

 例えば、「非正規という言葉を一掃する」と言いつつも、12年に35.2%だった非正規雇用率は19年、38.3%に上昇した。また、12年から19年にかけて、正規雇用者は154万人増えた一方で、非正規雇用者は352万人増えている。

 金融資産を保有していない単身世帯は12年では33.8%だったが、17年には46.4%まで増えた(18年以降は質問が変わったので単純比較できず)。また、アベノミクスで「400万人を超える雇用を増やした」と胸を張るが、その中には、年金では生活できない高齢者や、夫の給料が上がらず働きに出た女性も多い。

 現在4割に迫る非正規雇用の平均年収は179万円。働く女性の55.3%が非正規だが、その平均年収は154万円。安倍政権は「女性活躍」と打ち出してきたが、多くの女性が求めているのは「活躍」よりも「食べていける仕事」だ。結局、この7年8ヶ月で潤ったのは、ほんの一部の大企業と富裕層だけだ。

 そんなこの国を今、新型コロナウイルスが直撃している。

 この連載でも触れているように、現在、私もコロナ経済危機による困窮者支援をしているが、8月の今も連日「もう何日も食べてない」「3月からなんとか貯金を切り崩して頑張ってきたがとうとうそれも尽きた」「日雇いの仕事にどうしてもありつけず、今日から野宿」などの深刻な相談が寄せられている。真っ先に切り捨てられたのは非正規やフリーランスや自営業。リーマンショックの時との一番の違いは、女性からの相談が多いことだ。それもそのはずで、コロナの影響を真っ先に受けた観光、宿泊、飲食、小売りなどのサービス業を支えるのは非正規雇用の女性たちである。また、「夜の街」と名指された場所で働く女性からのSOSも止まない。相談内容は「近々寮を追い出される」などの深刻なものだ。

 そんな人々が餓死しないために使える制度のひとつが生活保護だ。

 しかし、利用を勧めても、「生活保護だけは受けたくない」と頑なに首を横に振る人も少なくない。そんな光景を見るたびに思い出すのは、自民党が野党だった12年春の「生活保護バッシング」。お笑い芸人家族の生活保護受給が報じられ、不正受給でもなんでもないのに一部自民党議員がこれを問題視。片山さつき議員は厚労省に調査を求めるなどオオゴトにしていった。そんな中、同議員は生活保護について「恥と思わないことが問題」などと発言。このような報道を受け、制度利用者へのバッシングがあっという間に広がった。

 今年6月、安倍首相は国会で、生活保護バッシングをしたのは自民党ではない、などの発言をしたが、今書いたことからもわかるように、生活保護バッシングをしていたのは思い切り自民党である。自民党の生活保護プロジェクトチームの世耕弘成氏は12年、雑誌のインタビューで、生活保護利用者に「フルスペックの人権」があることを疑問視するような発言までしている。このように、ちょっと調べれば誰でもわかることなのに「すぐバレる嘘をつく」のが安倍首相の癖だった。

 さて、自民党が政権に返り咲く半年前の生活保護バッシングはメディアにも広がり、テレビ番組の中には「生活保護利用者の監視」を呼びかけるものまであった。当然、生活保護を利用する人々は怯え、外に出られなくなったりうつ病を悪化させていった。

 なぜ、あれほどまでに生活保護利用者という弱者が叩かれたのか。

 当時野党だった自民党にとって、それはコスパがよかったからなのだと思う。どれほど叩いても、生活保護利用者はさらなるバッシングを恐れて声を上げたりはしない。当事者団体もなければ、彼ら彼女らの声を代弁するような団体もない。そうして利用者を叩けば叩くほど、「自分たちはこんなに働いても低賃金なのに」という層からは絶大な支持を得る。

 生活保護バッシングは、リスクを最小に抑えて「仕事してるフリ」「やってる感」が出せる格好のネタだったのだ。そうしてバッシングによって溜飲を下げた人々からは拍手で迎えられる。このような状況の中、自ら命を絶った生活保護利用者もいたが、彼ら彼女らがその死を知ることは一生ないだろう。そして12年12月、自民党は「生活保護費1割削減」を選挙公約のひとつに掲げて選挙戦を戦い、政権交代。

 そうして実際に保護費はカットされた。

 その後も、生活保護バッシンクは続いた。それだけではない。16年には「貧困バッシング」もあった。子どもの貧困の当事者としてテレビ番組で取材された女子高生の部屋に「アニメグッズがあった」などの理由で「あんなの貧困じゃない」とバッシングが起きたのだ。このことが象徴するように、この7年間は「声を上げた人」が徹底的に叩かれるようになった7年間でもあった。

 「貧しくて大変」と声を上げれば「お前よりもっと大変な人がいる」と言われ(こういう物言いには「犠牲の累進性」と名前がついているのだが)、政権を批判する声を上げれば時に非難を浴び、「炎上」する。

 同時に、この7年間は、「公的な制度に守られている」ように見える人々へのバッシングが繰り返された。生活保護バッシングや、「安定した」公務員に向けられるバッシングだけでなく、おなじみの「在日特権」はもちろん、「公的なケアが受けられる」障害者が「特権」として名指しされたりもした。同時に「子連れヘイト」も広がった。

 このような人々が「守られている」ように見えるのは、障害も病名もない人々が「死ぬまで自己責任で競争し続けてください。負けた場合は野垂れ死ってことで」という無理ゲーを強制されているように感じているからだろう。「失われた30年」の果ての地獄の光景がそこにはあった。

 もうひとつ、書いておきたいことがある。

 それは安倍首相が何度も「敵」を名指してきたことにより、この国には分断とヘイトが蔓延したことだ。

 その被害を、私も一度、受けている。

 それは「悪夢狩り」。安倍首相が「悪夢のような民主党政権」と発言した少し後のことだ。「悪夢狩り」は、スマホにTwitterの通知が怒涛の勢いで表示されることから始まった。見知らぬ人々から「雨宮さん、一体これはどういうことなんですか?」などの質問が次々に届き、あっという間に数百通にも達した。「私、何かやらかしてしまったんだ」と全身から血の気が引いた。それはどう考えても「炎上」が始まった瞬間に思えた。もう終わりだ。心臓がバクバクして、全身に冷や汗が滲んだ。その間も通知はすごい勢いで届き続ける。あの時、電車のホームにいたら飛び込んでいたかもしれないと今も思う。

 「リプ攻撃」は一時間ちょうどで終わった。人生で、あれほど長い一時間はなかった。のちに、それが「悪夢狩り」というものだと知った。「悪夢のような民主党政権」と関係があった人物が次々とそのようにしてSNS上で「狩り」に遭っていたのだ。何月何日何時からと時間を決めて、大勢が一斉にリプを送る。参加する方にしたら軽い気持ちでも、やられた方は追い詰められる。自ら命を絶ってもおかしくないほどに。民主党政権時代、私は厚労省のナショナルミニマム研究会に所属していた。それ以外にも、民主党政権とは、貧困問題に取り組む中で様々なつながりがあった。

 私にとってこの「悪夢狩り」の経験は、第二次安倍政権を象徴するものだ。国のトップが、誰かを「敵」と名指しする。それを受け、「安倍政権が敵とみなした者には何をしてもいい」「自分たちが成敗せねば」という思いを持った人々が誰かをみんなで袋叩きにする。トップは決して手を汚さない。このような忖度のもとで、いじめや排除が正当化され続けてきた7年8ヶ月。「言論弾圧」という高尚なものですらなく、もっともっと幼稚な、子どもが小動物をいたぶるような感覚に近いもの。

 安倍首相は、そんなことを繰り返してきた。自らを批判する人々を「左翼」「こんな人たち」と名指し、また国会で「日教組日教組〜」とからかうような口調で言ったのを見た時、怒りや呆れよりも、恐怖を感じた。

 クラスの中の、人気も信頼もないけど偉い人の息子でお金持ちという生徒が、「今からみんなでこいついじめよーぜ」と言う時の表情にしか見えなかった。

 子どもじみたやり方で進められる分断は、時には誰かを殺すほどのものになるのではないか――。安倍首相が誰かを名指すたびに、総理大臣が「誰かを袋叩きにしてもいい」という免罪符を発行することの罪深さを感じた。しかし、それに異を唱えたら自分がターゲットになってしまうかもしれない。ターゲットにされてしまったら、終わりだ。そんな恐怖感が、私の中にずっとあった。

 そんな安倍政権が終わるのだ。

 冒頭に書いたように、私はどこかほっとしている。今までずっと緊張の中にいたのだと、終わってから初めて、気づいた。「悪夢狩り」のことだって、今だからこそこうして書ける。いつからか息を潜めるような思いで生きていたことに、終わってやっと、気づいた。

 7年8ヶ月。その間には、特定秘密保護法、安保法制、共謀罪など、多くの人が反対の声を上げてきたことが強行採決された。私たちの声が踏みにじられ、届かないことを突きつけられるような年月だった。声を上げることによって、見知らぬ人たちからネット上で凄まじい攻撃も受けた。そんなことを繰り返しているうちに萎縮し、無力感に苛まれるようにもなっていた。

 この約8年で破壊されたものを修復していくのは、並大抵の作業ではないだろう。

 政治は私物化され、自分の身内にのみ配慮するやり方がおおっぴらにまかり通ってきた。災害の中で「赤坂自民亭」が開催され、沖縄の声は踏みにじられ、福島は忘れられ、公文書は改ざんされ、そのせいで自死する人が出ても知らんぷりする姿は「民主主義の劣化」などという言葉ではとても足りない。

 だけど、ここから始めていくしかないのだ。なんだか焼け野原の中、立ち尽くしているような、そんな気分だ。


 一条の光がさした瞬間であった。しかし、次期総裁の本命に名前が挙がったのはアベ政治を支えてきた菅だ。国民の不満はさらに大きくなるであろう。短命の政権、そして民主的政権の樹立を切に望む。


ただいまです!

2020年09月07日 | 健康・病気

 台風10号により被害を受けられた皆様に心よりお見舞い申し上げます。
ブロ友さんに九州の方もいらっしゃいます。どのような被害を受けられたのかわかりませんが、一日も早い復興をお祈りし、お見舞い申し上げます。 

 無事、手術も終わり今日昼前に帰ってきました。
最短3泊4日で金曜日に帰るつもりでした、医師もそれでいいとのことだったのですが、せっかくだから少し体を休めてはどうかと説得され、その氣になってしまいました。土日を挟んで今日、月曜日、予定の2倍の長さになってしまいました。
 石はたくさんありました。米粒くらいの大きさですが全部で20個は超えるのではないでしょうか。記念に小さな瓶に入れてくれましたが、いやはや何とも、すごいもんです。医師にこれだけ溜まるのに何年かかるのですかと問うても、さぁ???でした。

 これから皆様のところへお邪魔させていただき、明日から今まで通りの更新をしていくつもりです。留守中にもかかわらず、たくさん閲覧いただきありがとうございました。これからもよろしくお願いいたします。